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環境対策

大気汚染の現状とコロナ後に求められる本質的な対策とは

新型コロナウイルス感染症の影響でロックダウンした都市は前例のないレベルで大気汚染が改善しました。しかし経済活動の再開により、再び元の状態に戻ろうとしています。コロナショックがもたらした大気汚染の改善を「一時的な現象」で終わらせないために、これまでとは違った新しい経済発展のパターンが今求められています。

目次
  1. 世界の大気汚染の歴史
  2. 主な大気汚染物質と人体への影響
  3. PM2.5と新型コロナウイルスの死亡率の関係
  4. 一時的に改善が見られた大気汚染は再び元の状態へ
  5. 化石燃料から再生可能エネルギーへの転換へ

世界の大気汚染の歴史

大気汚染問題の歴史は古く、14世紀のイギリスでは人体への影響がすでに問題になっていました。イギリスでは工業の発展に伴う石炭使用の増加と、家庭用暖房器具の燃料使用による大気汚染が深刻化していました。

そのため、イギリスロンドンでは1306年に大気汚染が公害と認定され、職人が炉で石炭を炊くことが禁止されました。しかし、代替燃料が無かったため長続きせず、街の発展や人口の増加とともに改善することはありませんでした。その後、18世紀半ばから欧州で産業革命が起こり、石炭の使用がますます増加し、大気汚染は深刻化の一途をたどります。

日本では明治維新以降、鉄道や電気、郵便といったインフラ整備、綿糸や生糸の大量生産・大量輸出を始めるなど急速な近代化を進めた結果、欧州のように大気汚染が進行しました。その後、第二次世界大戦に敗れた日本でしたが敗戦後、類のない経済発展を遂げた代償として、深刻な大気汚染を経験し、四日市ぜんそくをはじめとする様々な公害によって生活者の健康被害に大きな影響を及ぼしました。

このように産業の発展によって発生する大気汚染は「産業公害型大気汚染」と呼ばれています。この「産業公害型大気汚染」は世界中で被害が顕在化したことで、さまざまな法が整備され改善に向かっていますが、それに代わって「都市・生活型大気汚染」が地球規模の問題となっています。

「都市・生活型大気汚染」は、都市部へ人口が集中することによって、自動車などの交通量が増加し、そこから排出される有害な汚染物質によって大気が汚染されることを指します。「産業公害型大気汚染」は、工場と生活者のように原因者と被害者の区別が明確でしたが「都市・生活型大気汚染」の場合は個々の人が原因者であるため、その影響が顕在化しにくく、慢性的な汚染状態が続くという特徴があります。改善するためには、生活者全員の消費や生活パターンの変革が必要であると考えられています。

主な大気汚染物質と人体への影響

大気汚染は様々な物質が原因となって起こります。窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)など、すでに法律によって大気汚染対策として環境基準が設けられ、発生が抑えられているものもあります。大気汚染物質はどれだけの種類があって、どのような特徴があるのか、この記事では人体への影響も含めて見ていきたいと思います。

窒素酸化物(NOx)

窒素酸化物(NOx)は、ものを高温で燃焼させることで窒素と酸素が結びついて発生します。火力発電所や工場だけではなく、家庭からも発生するため、発生源は多様です。自動車の排気ガスからも窒素酸化物は発生するため、厳しい排出ガス規制によって排出量を減らす努力が行われています。特に高濃度の二酸化窒素は喉や気管、肺などの呼吸器に悪影響を与えます。

硫黄酸化物(SOx)

硫黄酸化物(SOx)は石炭や石油など硫黄分が含まれる化石燃料が燃えるときに発生します。さまざまな対策や規制を設けた結果、硫黄酸化物(SOx)の濃度は減少してきています。気管支炎やぜん息、また大気中で硫酸に変化するため、酸性雨の原因になります。

光化学オキシダント(Ox)

工場の煙や自動車の排気ガスなどに含まれている窒素酸化物(NOx)や炭化水素(HC)が、太陽からの紫外線を受けて光化学反応を起こし、オゾン、パーオキシアセチルナイトレートが生成され、これらの酸化力の強い物質を総称して、オキシダントあるいは光化学オキシダントと呼びます。これらの物質からできたスモッグを光化学スモッグといいます。目の痛みや吐き気、頭痛などを引き起こします。

粒子状物質(PM)

粒子状物質(PM)は大気中に含まれる、さまざまな固体および液体の粒の総称です。工場などの煙から出るばいじんや鉱物の堆積上などから発生する粉じん、ディーゼル車の排出ガスに含まれる黒鉛だけでなく、自然に起こる土ぼこりによるものも含まれます。発ガン性やアレルギー疾患との関連性が指摘されています。

浮遊粒子状物質(SPM)

粒子状物質(PM)の中で、粒径が10マイクロメートル以下のものを浮遊粒子状物質(SPM)と呼びます。粒径がより小さいため、吸い込まれると肺や気管などに沈着しやすく、より深刻な呼吸器疾患を引き起こします。

微小粒子状物質(PM2.5)

粒子状物質(PM)の中で、さらに粒径が小さい2.5マイクロメートル以下のものを微小粒子状物質と呼びます。粒径が髪の毛の太さと比べて数10分の1しかなく、気管を通り抜け、気管支や肺の奥深くまで入りこみます。近年、中国から飛来した大気汚染物質の影響で、日本各地でPM2.5の測定値が上昇し、大きな社会問題になっています。

(出典:環境再生保全機構「主な大気汚染物質と人体への影響」

PM2.5と新型コロナウイルスの死亡率の関係

英医学誌「ランセット」に掲載されたレポートによると2015年に環境汚染が原因で死亡した人の数は世界中で年間900万人に上るとされています。環境汚染による死亡はほぼ全てが低・中所得国で発生しました。

この中で最も影響が大きいのは大気汚染と考えられ、大気汚染が原因となった死亡者数の3分の2にあたる600万人が世界で亡くなっている計算になります。中でも(PM2.5)による影響は深刻と考えられており、ハーバード大学公衆衛生大学院(HSPH)の研究によると、(PM2.5)の濃度が高い環境に長期間身を置いた経験と、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の死亡率の上昇には相関があることがわかりました。

(PM2.5)の密度がたった「1立方メートルあたり1マイクログラム」高くなっただけで、COVID-19による死亡率が8%上昇したのです。この結論は、ヨーロッパで行われたほかの研究の結果とも一致し、ヨーロッパの研究でも、大気汚染が著しい地域でCOVID-19による死亡率の上昇が確認されています。

COVID-19が基礎疾患を持つ人の間で特に重症化しやすいことはすでに分かっていますが、大気汚染はこうした基礎疾患を悪化させる要因の1つになるのです。

一時的に改善が見られた大気汚染は再び元の状態へ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でロックダウンした都市は前例のないレベルで大気汚染が改善しています。外出自粛によって自動車から排出される(PM2.5)が削減され、工場の稼働が停止し、一時的ではあるものの大気環境の状態はかなりの改善が見られたようです。

スタンフォード大学教授のMarshall Burke氏によると中国の4都市の大気中のPM2.5の濃度の推移を分析した結果、2カ月間にわたり大気汚染レベルが低下したことで、中国では5歳以下の子供4,000人と、70歳以上の高齢者73,000人以上の命が救われた可能性があると発表しました。

日本においても、中国から飛来する大気汚染物質が劇的に減少。福岡工業大環境科学研究所が昨年末から今春にかけて九州山間部の樹氷に含まれる汚染物質を調査したところ、今年4月は窒素酸化物と硫黄酸化物の比率が2010年以降の最高値に比べて10分の1以下であったと報告しました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は依然として公衆衛生上の深刻な脅威となっていますが、大気汚染の軽減という視点から見ると一つ前向きな効果が見えたともいえるのではないでしょうか。

ESA(欧州宇宙機関)により、現在の大気汚染の状況が一目でわかるマップが一般公開されています。衛星からのデータをもとに、二酸化窒素濃度を直近14日間の移動平均で表し、期間を変更して時系列での変化を見ることも可能なため、新型コロナのロックダウンによる影響も確認することができます。日本においても、大都市圏で二酸化窒素濃度が高いことが分かりますが、4月半ば~5月初頭についてはマップ上の色が薄くなっていることが確認できます。

化石燃料から再生可能エネルギーへの転換へ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が一段落し、各国が本格的な経済再開に乗り出す中、その際これまでと同じように石炭や石油などの化石燃料を使い、自動車による交通を復活させ、経済回復を目指せば、大気汚染物質の排出が再び急増することになります。

コロナショックがもたらした大気汚染の改善を「一時的な現象」で終わらせないためには、これまでとは違った新しい経済発展パターンを追求することが求められます。

日本はパリ協定によって定められた温室効果ガス削減目標を掲げており、その目標値は2030年までに2013年度と比較して26%削減することです。最終的に「脱炭素社会」を目指し、2050年まで80%の温室効果ガス削減を目指しています。

EUでも加盟国全体の目標として「2030年に1990年比で40%の温室効果ガス排出削減」を定めています。中でも、ドイツは大きな目標を掲げており「2030年に1990年比で55%の温室効果ガス排出削減」を目指しています。

アジアでは、中国が「2030年の国内排出量をGDP当たりで2005年比で60-65%削減」、韓国が「2030年までに予想排出量と比べて37%削減」という目標を掲げています。

これらの目標を必達するためにも、今回私達が経験したコロナによる活動の自粛で起こった大気汚染の改善をきっかけに、化石燃料から太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスなどの再生可能エネルギーへの転換を加速させるタイミングなのではないでしょうか。

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