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脱ガソリン車?政府が「2035年ガソリン車新車販売の禁止」を打ち出した理由とは

2021年1月、施政方針演説において「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」旨が発表され、大きな話題となりました。この発表の背景には、一体どのような事情があるのでしょうか?当記事では、その理由を探ります。

脱ガソリン車?政府が「2035年ガソリン車新車販売の禁止」を打ち出した理由とは

目次
  1. 政府が打ち出した「ガソリン車の新車販売禁止」とは?
  2. 「グリーン成長戦略」における自動車産業のこれから
  3. 電動車への移行に向けた課題
  4. 諸外国の状況
  5. 日本政府が「ガソリン車の禁止」に踏み切った理由とは?

政府が打ち出した「ガソリン車の新車販売禁止」とは?

2021年1月18日の第240回国会の施政方針演説にて、菅義偉首相は2035年までに新車販売で電動車100%を実現することを表明しました。

この発表は、日本政府が“事実上のガソリン車の禁止”に舵を切ったものとして捉えられており、2020年12月に「経済産業省はガソリン車の新車販売を2030年代半ばまでに終了する方向で調整している」という報道があって以降、その時期を明確にした形です。

なお、政府が新車販売を100%にするとした電動車には、「電気自動車(BEV ※一般的にはEVとも呼ばれる)」「燃料電池自動車(FCV)」「プラグインハイブリッド自動車(PHV)」「ハイブリッド自動車(HV)」が該当します。 新車販売を終了する見込みのガソリン車には、「ガソリン車」のほかに「ディーゼル車」が含まれます。

2035年ガソリン車新規販売禁止の背景

政府が、実質的なガソリン車禁止の方針を固めた背景には、『パリ協定』と『2050年カーボンニュートラル』が深く関係しています。

地球温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定では、長期的な努力目標に「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つ(2℃目標)とともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(1.5℃目標)」を掲げています。

この1.5℃目標の達成に向けては、世界が2050年までに脱炭素化しなければならないとされており、国際社会が脱炭素社会の実現を目指すなか、日本では2020年10月26日に菅義偉首相が「2050年カーボンニュートラル」を宣言。その宣言を実行に移すべく、同年12月25日には『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(以下略:グリーン成長戦略)』が初めて策定されました。

そして、さらなる策定を経て2021年6月18日に公表された『グリーン成長戦略』には、「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」旨が明記されています。

「グリーン成長戦略」における自動車産業のこれから

経済産業省は『グリーン成長戦略』を、「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を「経済と環境の好循環」につなげるための産業政策と位置づけています。

同戦略は「2050年カーボンニュートラル」を実現するための実行計画として、重要産業とする14の分野ごとに、目標や現状と課題をはじめ、今後の取組、予算、税、規制改革・標準化、国際連携などの一連の政策が盛り込まれています。

自動車産業(自動車・蓄電池産業)は、「2050年の自動車のライフサイクル全体でのカーボンニュートラル化を目指すとともに、新たなエネルギー基盤としての蓄電池産業の競争力強化を図る」という方針が打ち出されており、「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」ということも含めて、同戦略のなかには自動車のEV化に向けた取組みが示されています。

詳しくは「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(本文)」および「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(概要資料)」をご参考ください。

電動車への移行に向けた課題

自動車産業は日本の主軸となる一大産業であることから、完全なる自動車のEV化は産業構造の大転換となります。そのため、大小さまざまな課題や問題があります。

【サプライヤーに関する問題】

自動車メーカーが2035年までに電動車100%の体制に移行できるのかという現実的な課題も懸念されていますが、関連して、従来から自動車部品などを提供してきた自動車関連事業者(サプライヤー)の先行きも大きなテーマです。
自動車関連産業は中小零細企業が多数を占める分野も多く、完全EV化の影響は計り知れません。そうした事態に対して、政府がどのような支援策を実施していくのかという点が注視されています。

【エネルギーインフラと環境問題】

また、電動車に必要とされる電力(エネルギーインフラ)の分野も複雑な事情を抱えています。

電動車は、利用時だけでなく、生産段階の電池製造においても大量の電気を必要とします。その主電源として再生可能エネルギーが期待されていますが、導入が加速化したメガソーラー(太陽光発電)は、昨今、設置場所によっては環境破壊や自然災害を誘発することが明らかになっており、有害物質を含んだ太陽光パネルの廃棄処分についても環境汚染を懸念する声があがっています。
加えて、火力発電は多くのCO2を排出することが指摘されており、原子力エネルギーは、東日本大震災の教訓から、引き続き安全性の確保が問題視されています。

【製品のライフサイクルに関する問題】

一方で、電動車は本当にエコなのか?という議論もあります。
電動車は走行時のCO2排出量は少ないものの、電気をつくる行為も含めて製品のライフサイクルをみると、ガソリン車よりも環境負荷が大きいといった指摘もあがっています。電動車への大幅な移行を本末転倒としないためにも、こうした問題にどのように対応していくのかが問われています。

『グリーン成長戦略』では電動車への移行の課題として、大きくは「EV等の低価格化・インフラ整備(電動車関連の技術強化含む)」「合成燃料の商用化に向けた課題(コストと製造技術の確立)」「大量生産と性能向上」が挙げられていますが、一つ一つの課題を深掘りすると、さらに多岐に渡る課題がみえてきます。
ガソリン車の禁止は、日本の自動車産業の構造を大きく変え、ひいては関連する産業にも大きな影響を及ぼすことから、政府は難しい舵取りを迫られていると言えます。

諸外国の状況

しかし国際社会では、先進各国が次々と脱ガソリン車に向けての方針を打ち出しています。以下は諸外国の状況です。

英国:ガソリン車とディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止
フランス:2040年まで化石燃料車の販売を禁止
中国:2035年をめどに新車販売を環境対応車(EVやハイブリッド車など)のみとする
米国:カリフォルニア州 2035年までに州内での新車販売の全てを排気ガスを出さない「ゼロエミッション車」にする
カナダ:2035年までにガソリン車やディーゼル車といった内燃エンジンを搭載する新車の販売を禁止
※2021年7月記事作成時点

2021年6月に英国で開催された『G7コーンウォールサミット』の共同宣言では、脱ガソリン車の目標時期は明示されなかったものの、「ディーゼル車およびガソリン車の新規販売からの移行を加速させ、ゼロエミッション車の導入を促進する」という宣言がなされました。

その翌月となる2021年7月、EU(欧州連合)は気候変動対策を理由に、2035年以降の新車販売においてハイブリッド車を含むガソリン車やディーゼル車の販売を実質的に禁止する方針を表明。これに関連して、EUでは脱炭素への取組みが不十分な国からの輸入品に「炭素国境調整措置」(事実上の関税措置)を導入するとしています。
ただ、ヨーロッパは国々によって事情が大きく異なることから、欧州自動車工業会はこの方針に反対姿勢を示しており、EU内でも意見が割れている状況です。

日本政府が「ガソリン車の禁止」に踏み切った理由とは?

脱炭素化を目標とするパリ協定への対応や、国の基盤産業となる自動車産業の国際競争力強化、経済成長など、政府がガソリン車の禁止に踏み切った理由はこうした事情によるものと言えます。

地球温暖化対策はもちろんのこと、日本の自動車産業にとってEUや米国をはじめとする海外は重要な市場であることから、諸外国からの外圧や国際的なEV化の潮流を無視することはできません。 温暖化対策に端を発したEV車の急速な普及に、電動車市場のシェアや対応を巡って日本の自動メーカー各社も新たに目標を設定し、動き出しています。

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