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新しい社会のキーワード「サーキュラーエコノミー(循環経済)」とは?
SDGsをはじめとして、世界規模で持続可能な社会の実現が問われるなか、大量消費社会からの脱却を目指す経済システムとして「サーキュラーエコノミー(循環経済)」が大きな注目を浴びています。当記事では、そのポイントを整理しながら、サーキュラーエコノミーをわかりやすく解説します。
- 目次
「サーキュラーエコノミー」とは?
持続可能な経済のあり方「サーキュラーエコノミー」
「サーキュラーエコノミー」とは、日本語では「循環経済」と訳される経済のあり方で、一種の経済モデルと捉えることができます。
幅広い循環型経済の概念のなかでも、サーキュラーエコノミーは「資源の循環を図り、廃棄物を出さない」ことを主軸とした経済モデルです。
製品の一生(原料調達から廃棄まで)を通じてリサイクルやアップサイクルを推進するとともに、廃棄物を資源として再利用することで連続的な資源利用の仕組みを実現し、資源廃棄ゼロを目指すという概念から成り立っています。
日本の各省庁では、サーキュラーエコノミー(循環経済)を以下のように説明しています。
環境省
循環経済とは、従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」のリニアな経済(線形経済)に代わる、 製品と資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、廃棄物の発生を最小化した経済を指す。
(引用:環境省 サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環分野の取組について)
経済産業省
あらゆる段階で資源の効率的・循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を図る経済。
(引用:経済産業省 循環経済ビジョン2020 概要)
サーキュラーエコノミーはこのような概念から、環境に配慮した経済活動と社会づくりを実現する手段として知られています。
サーキュラーエコノミーに関心が向けられる背景とは
当ブログのほかの記事SDGs17の目標、エシカル消費、ゼロエミッション)でも、これまでの経済活動が「大量生産・大量消費・大量廃棄」をもたらし、さまざまな環境問題や社会問題を生み出してきたことをお伝えしましたが、その根本的な要因は、原料調達→生産→消費→廃棄といった、一方通行の経済システムであることが指摘されています。
この一方通行の経済システムは、資源や製品、物資の流れが循環せず、一方向に直線的であることから「リニアエコノミー(線形経済)」または「リニア経済」とも呼ばれ、しばし、サーキュラーエコノミーと相対する経済のあり方として語られています。
近年、地球資源の枯渇や国際的な廃棄物処理システムの機能不全、海洋プラスチック問題がますます深刻化し、リニア経済の限界が顕在化するなか、欧州を中心として、サーキュラーエコノミーは急速に注目を浴びるようになりました。
サーキュラーエコノミーの「3原則」
現在、サーキュラーエコノミーの実現に向けては、3つの原則が提唱されています。
提唱者であるエレン・マッカーサー財団(※国際的にサーキュラーエコノミーを牽引する団体)は、循環経済の実現において、この原則に基づいた経済活動や行動が欠かせないとしています。
①DESIGN OUT WASTE AND POLLUTION
廃棄物や汚染を生み出さない設計(デザイン)をおこなう
②KEEP PRODUCTS AND MATERIALS IN USE
製品や原材料を使い続ける
③REGENERATE NATURAL SYSTEMS
自然のシステムを再生する
(引用:エレン・マッカーサー財団 The following three principles are the foundations of a new system)
上記の3原則のうち、とくに「廃棄物や汚染を生み出さない設計(デザイン)をおこなう」ことは、最も重要視すべき項目とされています。
この項目は、サーキュラーエコノミーの主軸である「廃棄物を出さない」といった概念にも通ずる原則であり、従来のリニア経済の仕組みを根本から転換するものであると言えます。
また、サーキュラーエコノミーをより深く理解するにあたって役立つのが、サーキュラーエコノミーの仕組みを視覚化した「サーキュラーエコノミー概念図」です。
エレン・マッカーサー財団による概念図は、サーキュラーエコノミーにおける物資や資源が循環する流れが、蝶々の形に似ていることから「バタフライ・ダイアグラム」と称されており、詳しくはエレン・マッカーサー財団のウェブサイトでご確認いただけます。
なお、サーキュラーエコノミーの概念図は、政府や組織各々の取り組み内容によって違いがあることから、さまざまな概念図が存在します。
サーキュラーエコノミーに対する国際的な動き
さて、エレン・マッカーサー財団は『サーキュラーエコノミーへの移行を加速させる』をスローガンとして、2010年の創設以来、国際社会を舞台にサーキュラーエコノミーの推進と普及を精力的におこなってきました。こうした組織の存在がサーキュラーエコノミーの大きな後押しとなり、国際社会においてもサーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みが加速しています。
とりわけ、サーキュラーエコノミーに積極的な姿勢を示しているのがEU(欧州委員会)です。
EUにおけるサーキュラーエコノミー政策
欧州は、サーキュラーエコノミーによる環境課題への対処、持続可能な経済成長、雇用創出、投資、国際競争力の強化などの促進から、ヨーロッパ経済を循環経済システムに移行する考えを示しています。
EU(欧州委員会)は、2015年に「CEパッケージ(Circular Economy Package)」を打ち出し、サーキュラーエコノミーを実現するにあたって、①行動計画(Action Plan) ②廃棄物法令の改正案 ③優先分野 ④経済効果 についての具体的な政策内容を明示。
その後、2018年に「EUプラスチック戦略」を、2020年には「新循環型経済行動計画(New Circular Economy Action Plan)」を発表し、サーキュラーエコノミー政策を前進させています。
国連によるサーキュラーエコノミーの推進
SDGsをはじめとして、国際連合においてもサーキュラーエコノミーは重要性を増しています。2007年に設立された国連環境計画(UNEP)国際資源パネルは、国連によるサーキュラーエコノミーの取り組みの一環と言えます。
UNEP国際資源パネルでは、持続可能な発展に向け、資源利用における環境影響の科学的評価の提供や、環境負荷と経済成長の切り離し(デカップリング)の必要性を提唱しています。
また、2020年に、パリ協定の大きな目標である気候変動の緩和を目的として、循環経済のガイダンスを公開。気候変動への緩和のほか、経済の資源効率と循環性を高め、SDGs目標12に掲げられた持続可能な生産・消費パターンの寄与につながる内容が盛り込まれています。
日本におけるサーキュラーエコノミーへの取り組み
日本では、最終処分場の逼迫という廃棄物の問題への対応から、「循環型社会形成推進基本法(循環型社会基本法)」を2000年6月に公布し、「廃棄物の発生を抑制(Reduce)」「可能な限り再使用(Reuse)」「再生利用(Recycle)」の3R政策を、循環型社会への取り組みとしてきました。
しかし、資源効率の向上による環境負荷の低減と経済成長の両立が求められる昨今、3Rをさらに発展させた政策が求められていることから、1999年以来、21年ぶりとなる2020年5月に「循環経済ビジョン2020」を公表。サーキュラーエコノミーへの移行に向けて舵を取りました。
似て非なり?「3R 」と「サーキュラーエコノミー」の違い
長く3Rを推進してきた日本ですが、サーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に向けては遅れをとっています。
しばし、「3Rの推進=サーキュラーエコノミーの推進」と捉えられることがありますが、両者は似ているようで異なります。
まず、両者の前提条件には、大きな違いがあります。
3Rは廃棄物が出る前提の政策であることに対して、サーキュラーエコノミーは、そもそも廃棄物や汚染を出さないという前提に立っています。
また、3Rはサーキュラーエコノミーを構成する要素であるものの、おもに廃棄物の抑制を目的とした考え方であり、ビジネスとして資源循環を進めることは難しいとされています。一方、サーキュラーエコノミーは、そもそもの経済モデルを大きく変化させることで、廃棄物や環境負荷を無くし、資源循環を高め、持続可能な経済の成長をもたらすことをその目的としています。
こうしたことから、「3R」と「サーキュラーエコノミー」を混同させることなく、それぞれに応じた対策が求められています。
サーキュラーエコノミーに関する企業の動き
盛り上がりをみせるサーキュラーエコノミーの動向に、経済界は敏感な反応を示しています。
現在、国内ではグローバル企業や大手企業を中心として、徐々にサーキュラーエコノミーへの関心が高まり、こうした企業では、環境商品の開発にはじまり、動脈産業と静脈産業の連携などにも積極的に取り組む姿勢をみせています。
また、サーキュラーエコノミーは環境課題への対応だけでなく、新たな経済成長モデルになり得るとの期待から、金融業界では循環経済を支えるESG投資が拡大。サーキュラーエコノミーに関連する新たなビジネスモデルの誕生にも期待が寄せられています。
サーキュラーエコノミーの実現には、政府だけでなく、企業の努力も必要であることから、さまざまな環境問題とともに循環経済への理解を深めておくことが重要です。そして、自身にできることから行動に移していきましょう。
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