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環境問題にも関係する「食品ロス」とは?
食べられるのに廃棄されてしまう食品。これを食品ロス(食品廃棄)と言います。日本も然ることながら、近年、世界的にも食品ロスが問題視されています。この記事では、食品ロスの現状やそれに関連する環境・社会問題、SDGsとの関係性について解説します。
- 目次
食品ロスとは?「日本」の食品ロス排出量
食品ロスとは、日本の定義で「まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のこと」を指します。
捨てられてしまう食品には、「まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物」と「食品の加工段階ででる食材の皮や骨など食べられない部分」が含まれており、日本の法律ではこれらをあわせて『食品廃棄物等』と呼んでいます。
環境省が公表した平成29年度の推計によると、日本の食品廃棄物等の発生量は年間約2,550万トン。そのうち、食品ロスと呼ばれる可食部の廃棄量は年間約612万トンにものぼるとしています。
具体的に表すと、食品ロスの発生量はなんと東京ドームの約5杯分に相当し、国民一人につき、毎日茶碗一杯分(132g)の食品を捨てていることになるそうです。
では、どういった理由で食品ロスが起こっているのか、その要因を整理してみましょう。発生要因はさまざまですが、以下の通り、食品ロスはおもに3種類にわけられます。
【食品ロスの種類】
食べ残し
・作りすぎて食べきれなかった料理。
・作り置きしたものの消費しきれなかった料理。
・ストックしておいたが使い切れなかった食材。
手つかず食品(直接廃棄)
・消費期限が過ぎたことで、未開封だが廃棄されてしまう食品。
・使わないままで傷んでしまった生鮮食品(野菜、果物、魚類、肉類)。
・規格外のため、売り物にならない食材。
・お店で売れ残った食品。
・お店(小売店)からメーカーへ返品された食品。
過剰除去
・厚くむき過ぎた野菜の皮など、不可食部と一緒に可食部まで取り除いてしまった食材。
また、こうしたロスの発生源は、大きく2つにわけることができます。
まず、スーパーマーケットや飲食店などから出る「事業系ロス(328万トン)」。そして、一般家庭などから出る「家庭系ロス(284万トン)」です。
このように、食品ロスは身近なところで発生しており、「食」を通じて生命を維持する以上、誰もが他人事ではいられない問題なのです。
世界の飢餓と先進国の食料事情
日本だけでなく、世界においても食品ロスの状況は深刻です。
FAO(国際連合食糧農業機関)の報告では、日本も含めた世界の食品ロスの量は、年間13億トン。WFP(国連食糧計画)によれば、これは、約40億トンと言われる世界の食料生産量の3分の1に当たり、さらには、約20億人分の食料に匹敵するとしています。
このような現状がある一方で、世界ではおよそ8億人の人々が飢餓や栄養不足に苦しんでおり(※参照)、もし仮に、13億トンの食料が人々に適切に配分された場合、世界人口を十分に賄えると言われています。
しかし、世界の食料のほとんどは「先進国」に集中しており、こうした食料の不均衡の問題が、世界の飢餓問題を悪化させる一要因となっています。
また、先進国と開発途上国における食品廃棄の発生要因の違いも、このような食料不均衡の問題を一層明らかにするものです。
開発途上国の食品ロスの4割は収穫後と加工の段階で発生し、先進国では食品ロスの4割以上が小売と消費の段階で発生しています。つまり、“先進国はより多くの食料を得ながらも、食べられるのに捨てられてしまっている”という現状を察することができます。
なお、FAO(国際連合食糧農業機関)では、 “食料の栽培・収穫/運輸/製造・加工/卸売/小売/消費”という食料消費の一連の流れ(フードサプライチェーンと言う)における食料廃棄の種類を「Food loss(フードロス)」と「Food waste(フードウェイスト)」に分けて定義しています。
Food loss(フードロス)とは、「小売業者、食品サービス事業者、消費者を除くフードサプライチェーンのなかで、食料の量的または質的な価値が減少すること」、すなわち、小売に到達する前段階までのロスを表しています。他方、Food waste(フードウェイスト)は、小売・消費段階でのロスを指します(※参照)。
先ほどお伝えした開発途上国と先進国の食品廃棄の状況に当てはめると、開発途上国ではFood loss(フードロス)が、先進国ではFood waste(フードウェイスト)がおもな食品廃棄の要因と捉えることができます。
日本ではFood loss(フードロス)とFood waste(フードウェイスト)をあわせて、「食品ロス」と呼ぶ傾向にあるため、必ずしも、日本で言われる「食品ロス」が世界的な「Food loss(フードロス)」と同一の意味を示すとは限らない、ということを理解しておきましょう。
食品ロスに関係する「環境問題」や「社会問題」
さて、食品ロスは、食料の不均衡による飢餓や栄養不足といったこと以外にも、さまざまな問題に関連しています。
例えば、食品ロスの増加は、埋め立て処分場の不足、廃棄物処理費用の増大など、廃棄物処理問題に直結します。もっと言えば、焼却・埋め立て処理によるCO2排出などの環境問題にも派生していきます。
また、食品ロスは、食料生産のために使われた土地や水、労力、資材のすべてを無駄に帰する行為であり、大量生産大量消費が象徴する大きな問題としても認識されています。
しかし、外国で生産して輸入している食料においては、そこにどれくらいの資源が使われているのか、推し量るのは簡単ではありません。そこで、覚えておきたいのが「バーチャルウォーター」と「フードマイレージ」という概念です。
バーチャルウォーターは以前の記事『他人事ではない水不足、「バーチャルウォーター(仮想水)」からわかる問題』でも紹介していますが、「輸入する物質を自国で生産するとしたら、どのくらいの水の量が必要かを推定した水の量」を示すものです。
もう一つ、フードマイレージは、「生産地と消費地が離れていた場合、輸送にかかるエネルギーが多く必要となるため、地球環境に負荷を与える」という概念であり、「食べ物の量×運ばれて来た距離」からそれを示した指標でもあります。
日本は、食料自給率が37%(カロリーベース)と低く、多くの食料を輸入に頼っていることから、バーチャルウォーターとフードマイレージともに大きい値にあり、大量に資源を使い、大量の食品ロスを出しているという現状がうかがえます。
こうしたことから、日本は諸外国以上に、食品ロスの問題に積極的に向き合うべき立ち位置にあると言えるのです。
「国」「企業」「個人」における食品ロスへの取り組み
こうした状況下、食品ロスの削減に向けてどのような取り組みがおこなわれているのでしょうか?ここからは、「国や自治体」「企業」「個人」にわけて、その取り組みについて整理していきたいと思います。
国や自治体の取り組み
まず、国の動きとしては、食品ロス削減に関する法整備や基本計画の策定、国民運動プロジェクトの主導などがあげられます。
おもに事業系食品ロスへの対策として日本は、2000年に「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」を制定。食品関連事業者に食品廃棄物の減量に取り組むと同時に、加工食品の製造過程で発生した食品廃棄物を、肥料や飼料などとして再生利用もしくは熱回収を促す法律です。
2018年には「第四次循環型社会形成推進基本計画」を策定し、2030年度までに家庭系食品ロスを2000年度比で半減する目標を設定しました。翌年2019年には「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)」を制定。食品ロスの定義、国・地方公共団体・事業者の責務、消費者の役割を明確にし、削減に向けた基本的な施策を定めています。
このほかに、事業系食品ロスの要因となっていた食品流通業界の商慣習である「3分の1ルール」を「2分の1ルール」に改める働きかけや、食料自給率を向上させる方針の打ち出し。消費者庁、内閣府、農林水産省、環境省をはじめとした府省庁による食品ロス削減国民運動「NO-FOODLOSS」プロジェクトの展開などを実施しています。
こうした国の動きを受けて各自治体では、食品ロス削減を呼びかける独自の取り組みをおこなっています。
企業の取り組み
企業でも、食品ロス削減を意識した動向が加速しています。
食品流通業界は政府の呼びかけに応じて、食品ロスを招く要因となっていた日本の商慣習であった「3分の1ルール」を「2分の1ルール」へ見直し(※参照)、食品業界全体としても「ロスを出さない仕入れ」「売り切ること」「余剰食料の寄付」などが推進されています。
また、食品ロスをゼロにする取り組みとして、食料廃棄を出さないためのフードシェアリングサービスやアプリの開発や利用促進、廃棄予定の食材から抽出した染料を活用した靴作りなども進められています。
さらに、目新しい動きとしては、廃棄野菜から抽出した繊維で作る洋服の開発や、野菜のセルロースから作る植物性プラスチック、廃棄野菜でつくられたコンクリートの研究開発など、食品ロス削減に期待が高まる新たな技術開発が拡大しています。
個人の取り組み
国や自治体、企業が食品ロス削減への取り組みを進めるなかで、個人消費者にも食品ロス排出量を抑制するための行動が求められるようになりました。
以下は、食品ロス削減に向けて個々人が意識したい行動です。
・冷蔵庫を日頃から整理整頓し、必要な食材と不要な食材を把握しておく。
・買い物メモを作り、足りない食材を必要な分だけ購入する。
・すぐ食べる食品は、陳列棚の一番手前に置いてあるものを購入する。
・季節商品(クリスマスケーキや恵方巻きなど)の売れ残り削減のため、予約購入するように心がける。
・必要以上に食品を購入してしまう空腹時には、買い物に行かない。
・備蓄食品の消費・入れ替えなど小まめに行う「ローリングストック」の実践。
・「フードドライブ」を活用する。
・「フードシェアリング」を活用する。
・捨てる野菜くずでできるスープ「ベジブロス」にチャレンジする。
・保存方法を工夫して、食材を長持ちさせるように心がける。
・外食をする際は、食べられる量だけを注文する。
意外にも個人が取り組めることは多いものです。自身が無理なくできることから行動してみてはいかがでしょうか。
SDGsと食品ロスの関係性
国際化している食品ロスの問題は、SDGsでもその解消を目標に掲げています。
SDGs17のゴールのうち、「SDGs2:貧困をなくそう」と「SDGs12:つくる責任つかう責任」は食品ロスの問題と大きく結びついていますが、とりわけ、「SDGs12:つくる責任つかう責任」では、そのターゲットを『2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる(ターゲット12.3)』としており、食品ロスの削減目標を明確に示しています。
日本はこうしたことと連動して、「第四次循環基本計画(2018年6月)」では家庭から発生する食品ロスを、「食品リサイクル法」では食品関連事業者から発生する食品ロスを、“2030年度までに2000年比でその量を半減する”といった目標を定めています。
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