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環境対策

日本の環境問題を紹介。一人ひとりが心がけたいことは?

環境問題には、地球規模で起こっている「地球環境問題」と特定の地域で起こっている「地域の環境問題」があります。日本にはどのような地域の環境問題があるのでしょうか?
当記事では、日本の環境問題について整理します

日本の環境問題を紹介。一人ひとりが心がけたいことは?

目次
  1. 「地球環境問題」と「地域の環境問題」
  2. 日本の環境問題とその対策
  3. 日本が抱える環境問題、いつから始まった?
  4. 環境保全のために心がけたいこと

「地球環境問題」と「地域の環境問題」

「地球環境問題」と「地域の環境問題」

環境問題は「地球環境問題」と「地域の環境問題」に大別して考えることができます。
「地球環境問題」は国境を越えて地球の広範囲にわたって起きている環境問題です。
他方、「地域の環境問題」は特定の地域で顕著になっている環境問題です。
問題の原因に対して、その影響や現象が比較的近い地域に現れるのが特徴だとされています。

ただし、社会のグローバル化が進んだいま、地球環境問題と地域の環境問題は重複しているものも多いのが現状です。

次の項目では、日本における地域の環境問題についてご紹介していきます。
なお、代表的な地球環境問題については、過去の記事『いま私たちは何ができる?環境問題への対策を紹介』でお伝えしていますので、ぜひご覧ください。

日本の環境問題とその対策

日本の環境問題とその対策

日本が抱える地域の環境問題は複数あります。以下は代表的な環境問題です。

大気汚染

大気汚染とは、人為的に発生した大気汚染の原因となる物質(ガス、液体、粒子物質など)が大気中で増加したり、拡散、反応したりして、空気が汚れる現象です。
原因物質の発生源は、工場や事業場などの固定発生源と、自動車などの移動発生源に大別できます。

大気汚染物質としては、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)、光化学オキシダント(Ox)、浮遊粒子状物質(SPM)、ベンゼン、ジクロロメタンなどが代表的です。これらは人への健康被害だけでなく、酸性雨や光化学スモッグを誘発します。

◎対応策
日本の大気環境の保全に関する法律としては、「大気汚染防止法(1968年制定)」があります。
同法では、工場や事業場などの固定発生源に対して、ばい煙の排出基準を定め、自動車などの移動発生源に対しては排出ガスの規制基準を定めています。
加えて、「自動車NOx・PM法(2001年)」では、特定の大都市地域を対象として、排出基準を満たさない自動車の車両登録を規制しています。

水質汚濁

河川や湖沼、海域などの水が汚染される水質汚濁。そのおもな原因は、人間の社会経済活動によって発生する排水です。例えば、工場や事業場などからの産業排水、家庭から出る生活排水、農地からの農薬を含んだ農業排水などです。

川や湖、地下水などは、人間や動植物の生命維持に欠かせない淡水の供給源になっており、汚濁した公共用水域の利用は人への健康被害や、水辺の自然生態系の破壊にもつながります。
足尾銅山鉱毒事件、水俣病やイタイイタイ病などは水質汚濁による公害として知られています。

◎対応策
水環境の保全に関しては、公共用水域※1や地下水の水質汚濁の防止を図るための「水質汚濁防止法(1970年)」があります。同法では、事業場からの排水を規制し、生活排水対策を推進しています。さらに「環境基本法(1993年)」では、公共用水域や地下水の水質について環境基準※2を定めています。

また、閉鎖性海域の水質の保全を目的として「瀬戸内海環境保全特別措置法(1973年)」「湖沼水質保全特別措置法(1984年)」「有明海及び八代海を再生するための特別措置法(2002年)」などが制定されており、健全な水循環(人の活動と環境保全に果たす水の機能が適切に保たれた状態)の維持・回復という観点からは「水循環基本法(2014年)」も定められています。

  • ※1 公共用水域…河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他公共の用に供される水域及びこれに接続する公共溝渠(こうきょ)、灌漑用水路その他公共の用に供される水路。
  • ※2 環境基準…人の健康を保護し生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準。

土壌汚染

土壌汚染とは、人体に有害な物質(揮発性の有機化合物、重金属、農薬など)によって土壌が汚染されていることを指します。工場からの有害な排水の流出、農薬の散布、有害物質を含む廃棄物の埋め立てなどが原因です。
土壌は水や大気のように移動をしないことから、一旦汚染されると汚染状態が継続され、自然浄化が困難だとされています。

◎対応策
土壌汚染の対策には「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(1970年)」や「土壌汚染対策法(2002年)」があります。
また、土壌汚染の未然防止策として、「水質汚濁防止法(1970年)」では排水に関する規制を、「大気汚染防止法(1968年)」では“ばい煙”の排出や有害廃棄物の埋め立てを規制。農薬の土壌残留については「農薬取締法(1948年)」に基づく規制がなされています。

地盤沈下

地盤が徐々に沈んでいく地盤沈下。地下水の大量採取、天然ガス開発、土木工事、地震などが要因にあげられます。沈下した地盤が元に戻ることはないとされており、未然の防止策が重要です。

◎対応策
地下水の大量採取を防止するため、「工業用水法(1956年)」「建物用地下水の採取の規制に関する法律(1962年)」に加えて、条例などで規制を実施しています。

ヒートアイランド現象

ヒートアイランド現象とは、郊外に比べて都市の中心部が温暖化する現象です。
その原因は ①緑地や水面の減少 ②アスファルトやコンクリートで被覆された地面の増大 ③人工排熱の増加(自動車や建物、工場などからの排熱) ④建物の密集による風通しの悪化 などです。
東京や名古屋などの大都市では、1900年〜2000年の100年の間に平均気温が2.2℃~3.0℃上昇しています。

ヒートアイランド現象の影響は多岐にわたり、気温の上昇、熱中症や熱帯夜の増加、大気汚染や集中豪雨の誘発、都市型洪水の発生、植物の育成の阻害、エネルギー消費量の増大などが懸念されています。

◎対応策
ヒートアイランド現象の総合的な対策のため、2004年に「ヒートアイランド対策大綱」が策定されています。
同大綱では、①人工排熱の低減 ②地表面被覆の改善 ③都市形態の改善 ④ライフスタイルの改善 ⑤人の健康への影響等を軽減する適応策の推進 が解消対策として盛り込まれています。適応策には「暑さ指数の予報値提供」や「緑のカーテンの取組」が具体的施策として示されています。

騒音・振動・悪臭

「騒音」「振動」「悪臭」は、都市化に伴って発生する都市生活型・公害です。
人の感覚を刺激する感覚公害とも呼ばれ、その感じ方には個人差が生じますが、精神的ストレスや健康被害に発展する問題です。

「騒音」の要因は、自動車や航空機、鉄道に起因するもの、風力発電所から発生するもののほか、生活騒音、低周波音などがあります。
「振動」や「悪臭」のおもな発生源は、自動車や鉄道、建設現場、工場、事業場などがありますが、複数の要因が考えられます。

◎対応策
騒音規制法(1968年)」では、工場や事業場における事業活動や建設工事によって発生する騒音を規制するほか、自動車騒音に関する許容限度を取り決めています。
また、「振動規制法(1976年)」では振動に関する規制を行っており、悪臭に関する規制については「悪臭防止法(1971年)」で規制をしています。

化学物質の問題

食品類に医療品、衣類、洗剤、化粧品、農薬や塗料・接着剤、家電製品、自動車など、私たちは化学物質からつくった製品を日常的に使用しています。
こうした製品によって暮らしの利便性は向上しましたが、適正な管理や製造・使用がなされなければ環境汚染や重大な健康被害を引き起こします。

◎対応策
化学物質を審査し、その危険性に応じて製造・輸入・使用に関する規制を行う「化審法(1973年)」、事業者の自主的な化学物質の管理の改善を促進する「化管法(1999年)」は、化学物質の使用や管理に関する法律です。
さらに、「ダイオキシン類対策特別措置法(1999年)」「PCB特措法(2001年)」「労働安全衛生法(1972年)」「農薬取締法(1948年)」などでも化学物質の使用を規制しています。

廃棄物の問題

日本では高度経済成長期以降、所得増加や大量生産・大量消費・大量廃棄の社会経済システムに伴って、廃棄物が急激に増加して、廃棄物の最終処分場の不足とひっ迫が起きました。
近年では、陸上からのプラスチックなどを原因とする海洋ごみ、東日本大震災や自然災害で生じた災害廃棄物、原子力発電所の稼働によって発生する放射性廃棄物なども問題視されるようになりました。

このほかに、「コロナごみ」という新たな廃棄物の問題も浮上しています。
感染症対策用の使い捨て衛生用品、巣ごもり需要拡大によって、家庭から排出されるプラスチックごみの量が増加しました。

◎対応策
1970年に制定された「廃棄物処理法」は、廃棄物の適正処理対策を促すための法律です。その後、増大する廃棄物の再生利用や排出抑制を図るため「資源リサイクル法(1991年)」をはじめとした各リサイクル法、2000年には3Rの理念を基軸とした「循環型社会形成推進基本法」が制定されます。

災害廃棄物に関しては、大規模災害時の災害廃棄物対策を意図して2015年に「廃棄物処理法」と「災害対策基本法」の一部を改正。対策が急務となっているプラスチックごみへの対策としては、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(新プラ法)」が2021年に制定され、削減が図られる方針です。

生物多様性の危機

「生きものたちの豊かな個性とつながり」が喪失してしまう、生物多様性の危機。過去の記事『生物多様性とは?重要性や損失の原因、保全の取り組みを知ろう』でも触れたように、国内でもその状況は深刻です。いまでは、環境破壊に加えて、遺伝子組み換え作物や、ゲノム編集作物の栽培・利用による生物多様性の損失も懸念されています。

◎対応策
生物の多様性を健全に維持するための施策には、「生物多様性基本法(2008年)」「生物多様性地域連携促進法(2010年)」「生物多様性国家戦略2012-2020(2012年)」があります。なお、2020年から新しい生物多様性国家戦略の策定に向けた検討が実施されています。

日本が抱える環境問題、いつから始まった?

日本が抱える環境問題、いつから始まった?

時代や生活様式の移り変わりとともに、環境問題の内容も変化しています。日本ではいつ頃から環境問題に意識が向けられるようになったのでしょうか?
ここでは、日本における環境問題の系譜を整理していきます。

公害から始まった日本の環境問題、環境庁の発足
日本の環境問題の歴史は、公害から始まったとされています。
公害とは、事業活動や人の活動を原因とした相当範囲の「大気の汚染」「水質の汚濁」「土壌の汚染」「騒音」「振動」「地盤の沈下」「悪臭」などによって、人の健康や生活環境などに被害が生じることを指します。

日本における公害問題の原点は、1877年(明治10年)頃に発生した「足尾銅山鉱毒事件」だと言われています。
戦後から高度経済成長期に突入した1950年代~1960年代には、4大公害病(水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく)が発生し、多くの人に健康被害をもたらした激甚災害として大きな社会問題となりました。

こうした状況を受け、1967年に「公害対策基本法※3」、1968年に「大気汚染防止法」「騒音規制法」が制定されます。
1970年のいわゆる「公害国会※4」では、公害対策基本法の改正と14もの公害関係法案が改正・制定されます。そして、1971年には公害行政の一本化を目的として環境行政を扱う「環境庁」が発足します。

  • ※3 公害対策基本法…環境基本法に統合される形で現在は廃止
  • ※4 公害国会…1970年末の第64臨時国会。公害に関係する法案が集中的に審議され、関連する法改正・新法が多く成立したことから公害国会と呼ばれた。

高度経済成長を背景とした環境問題の悪化
続く高度経済成長期、経済優先の社会システムは、大気汚染や水質汚濁、地盤沈下などの環境問題を次々に誘発していきます。

1980年代~1990年代前半のバブル景気の頃になると、ごみ量増加に伴う廃棄物処分の問題も深刻化。さらに、都市に人が集中し、住居が過密化することで起こる都市型公害や、モータリゼーション化による大気汚染、プラスチックをはじめとした石油化学製品や化学物質の利用拡大によって、環境破壊は進行します。

「持続可能な開発」の台頭

一方、世界では、環境問題に関する国際議論が活発化。環境問題は国際的な問題として扱われ、1992年に環境と開発をテーマとした「国連環境開発会議(地球サミット)」が開催されます。

180以上の国々が参加した同会議では、気候変動枠組条約の採択、生物多様性条約の署名、森林原則声明の採択、アジェンダ21(21世紀に向けて持続可能な開発を実現するための自主行動計画)が採択されました。
また、この頃から、自然環境の保全と社会経済活動の両立を目指す「持続可能な開発」に高い関心が示されるようになります。

日本はその動きに追随する形で、環境問題への対応を進めるため、環境に関する最上位の法律である「環境基本法(1993年)」を定めます。

循環型社会への方向転換とSDGs

2000年代を迎えると、日本では、廃棄物問題の解決を図りながら環境負荷の少ない循環型社会の形成を目指す「循環型社会形成推進基本法(2000年)」が制定されます。

2001年には中央省庁の再編によって「環境省」が誕生し、公害、廃棄物問題、地球環境問題などの環境分野の対策に取り組むこととなりました。
そのもとで「生物多様性基本法(2008年)」や「プラスチック資源循環戦略(2019年〜)」なども成立しています。

2015年に国連サミットでSDGsが採択されて以降、世界各国で「持続可能な社会」の実現に向けた取り組みが加速し、日本でもSDGsを取り入れた環境政策が実施されています。

環境保全のために心がけたいこと

環境保全のために心がけたいこと

経済発展と企業利益を優先した結果、日本では、公害をはじめとしたさまざまな環境問題が生まれました。
これ以上事態を悪化させないためには、私たち一人ひとりが暮らしのなかで考え方を変えることが大切です。

例えば、廃棄物を少なくするために余分な買い込みを避ける、環境にやさしい育て方をした食材を購入する、環境に配慮された製品を選択する、生活排水を意識する(環境負荷の少ない洗剤を使う、洗濯の際にマイクロプラスチック排出の原因となる衣類を避けるなど)といった、環境を意識した日々のちょっとした心がけが、暮らしの考え方を変えることになります。

企業では、会社規模で環境負荷を軽減する行動を意識し、できることからSDGsへの取り組みを行っていくことも環境保全の入り口になります。

地球の持続可能性に大きな注目が集まる現在、世の中の環境保全に対する意識はよりスタンダードなものとなっていくことでしょう。

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