マーケティングの目的とは?
必要な理由を簡単にわかりやすく解説
マーケティングの重要性は理解していても、その理由や目的を明確に内面化できているでしょうか?
マーケティングは企業が利益を出すために不可欠な活動ではあるもの、漠然と実施しても効果は表れません。マーケティングの目的を理解し、適切な手法を選択できなければ、効果の実感は困難でしょう。
本記事では、マーケティングの目的と必要な要素、マーケティングの主なフレームワークを解説します。
マーケティングの目的とは
マーケティングとは、自社の商品・サービスが顧客に認知され、自然と売れるようになる仕組み作りを推進する活動です。たとえば、広告の出稿やキャンペーンなどを実施する際には、市場調査や商品開発、広告宣伝、さらに効果検証など一連のマーケティング活動が欠かせません。
マーケティングが目指すべきゴールはおおむね「利益の最大化」に帰結します。マーケティングの目的をあらためて整理すべく、ピーター・ドラッカーとフィリップス・コトラーの2人の定義を見ていきましょう。
ピーター・ドラッカーの定義
ピーター・ドラッカーは、歴史上はじめてマネジメントの分野を体系化したことで知られる、オーストリア出身の経営学者です。常に調査と分析から理論を導き出す姿勢を貫いており、現在のビジネスシーンでも活用されるマネジメント理論を確立した人物でもあります。
ドラッカーの考えるマーケティングの目的を意訳すると、「顧客を理解することで、製品やサービスが顧客にマッチングし、自然に売れるようになる」と解釈できます。利益の最大化は企業にとって最重要課題ではあるものの、あくまでも企業ではなく、顧客が得られる価値が優先である、というのがドラッガーの定義です。
企業目線ではなく顧客目線で利益を感じられる商品・サービスを提供することで、企業の利益を最大化できるとも捉えられるでしょう。
フィリップ・コトラーの定義
フィリップ・コトラーは、アメリカの経営学者で、現代マネジメントの第一人者として知られる人物です。ドラッカーからも影響を受けたとされており、マーケティングの目的を・定義にもドラッカーとの親和性が見られます。
コトラーによるマーケティングの目的は「人と社会のニーズを見極め、満たすことである」と解釈できます。ドラッカーと同じように見えますが、コトラーはターゲット設定の重要性に注目している点がドラッカーとの差分です。事実、コトラーはマーケティングを1.0~4.0までの段階分けをしており、社会の変化に合わせたマーケティング理論の更新を行っています。
いずれにしても、両者ともに「自然と顧客が商品・サービスを購入できる仕組み作りが重要」としている点は同じです。無理に売り込むのではなく、仕組みを作って提供することがマーケティングであるということです。
企業ごとに異なるマーケティングの目的
ひと口にマーケティングとっても、その具体的な志向性は企業によって異なります。複数の企業にて頻繁に引き合いに出されるマーケティングの目的は次の通りです。
- リードの増加
- 既存顧客の増加
- ブランディング
上記の目的は、目標を設定する前段としても重要な部分です。目的が明確になっていなければ、目標となる数字やゴールも不鮮明になってしまい、達成は難しくなってしまうでしょう。
リードの増加
新規のリードを獲得できなければ、事業規模の拡大は成されません。また、リードは新たなビジネスのヒントを獲得できる重要な存在でもあります。
マーケティングによるターゲティングと、それに伴う認知向上のための施策を推進しなければ、リードが自社の商品・サービスに気が付くことはありません。つまり、利益を拡大できないことに直結するため、マーケティングの目的に据えられることが多いです。
リピーターの増加
リピーターの増加も、マーケティングの目的に据えられます。顧客満足度とロイヤルティを維持・向上し、商品やサービスのファンを創出することにおいても、マーケティングは欠かせない取り組みです。
マーケティングを実施し顧客が重視している価値を理解できれば、繰り返しの購入を促す販売戦略の立案および実施が可能になります。結果、企業の利益も最大化へと向かうでしょう。
ブランディング
マーケティングには、ブランディングの観点も欠かせません。顧客の重視している価値を尊重し、それに紐づいた商品やサービスを提供することで、他社にはない価値を提供できるとブランディングが確立します。
ブランド力が高まると、顧客はSNSなどを使って商品やサービスを拡散してくれるようになります。ひとり一人の購入金額が小さかったとしても、その人数が増えれば増えるほど利益は大きくなっていくでしょう。
マーケティングに必要な要素
適切なマーケティングを展開するには、次の4つの工程が不可欠です。
- 市場分析
- ターゲットの策定
- 戦略・戦術の策定
- 効果検証
どの工程も重要ではあるものの、特に効果検証はマーケティングを成功させるうえで重要なポイントです。とはいえ、実際にマーケティング戦略を実行するには、その前段階である市場分析やターゲット策定を慎重に講じる必要があるのも事実です。
市場分析
市場分析とは、いわば「顧客が求めているものは何か」を知るための作業です。自然と自社の商品・サービスを売れるような仕組みを作るには、顧客が求めているものを把握しなければいけません。
市場分析では、企業が独自で行うアンケートやモニター調査の結果のほか、政府の統計データや競合他社の商品に関する情報など、あらゆる定量的なデータを参照します。加えて、顧客の年代や性別、住んでいる地域などの情報も考慮することで、より精度の高い市場分析がなされます。
ターゲットの策定
ターゲットとは、市場分析で獲得したデータ・情報をもとに重点的にリーチを図る顧客層です。誰に対してどんな価値を提供するのか、定量的・定性的データに基づいて決定することで、どのようなマーケティング施策が効果的なのか判断できるようになります。
ターゲットが判然としないままでは、広告の打ち出し方や営業先の決定もできません。例えば、20代女性をターゲットとしているにもかかわらず、広告の出稿先を新聞や折り込み広告にしても、期待するような効果は望めないでしょう。
ターゲットを明確にすることで販促が期待できるだけでなく、マーケティングの手法も明確になります。
戦略・戦術の策定
戦略・戦術とは、商品やサービスをどのような手段で顧客に届けるかを考えることです。先にも少し触れましたが、広告の出稿先を検討したり、商品開発や価格設定を行ったりします。
効果検証
効果検証とは、実施したマーケティング施策が実際の売上につながっているのか測定することです。
具体的には、マーケティング施策にかかった費用と、それによって得られた売上を勘案して算出します。認知度や見込み顧客数の増減などを指標に用いることもありますが、いずれにせよ「施策を実施して終わりではない」点がポイントです。
思ったような成果が出ていなかった場合は、施策のボトルネックを検証し、広告の打ち出し方などの修正を図ります。成果が出ている施策に対しても同様に検証を行い、さらに利益拡大につなげられる要素を発掘するとよいでしょう。
マーケティングの主なフレームワーク
フレームワークとは、業種や業態などを問わず、広く応用できる考え方や分析方法であり、マーケティングにおいても無数のフレームワークが存在しています。なかでも代表的なものは次の3つです。
- PEST分析
- 3C分析
- SWOT分析
PEST分析
PEST分析とは、以下の4つの外部要因から自社の事業に与える影響を分析するフレームワークです。
- 政治的要因(Politics)
- 経済的要因(Economy)
- 社会的要因(Society)
- 技術的要因(Technology)
これら、社会の変化や技術革新など、自社では介入できない外部要因から市場の将来性などを検討します。
PEST分析はマーケティング戦略の中でも「環境」部分を分析するもので、施策の方向性を決定するのに適しています。詳細な戦略立案には向いていませんが、大まかな方向性を固めるためにぜひ活用したいフレームワークです。
3C分析
3C分析とは、以下の3つの観点からマーケティング環境を分析するフレームワークです。
- 市場・顧客(Customer)
- 競合(Competitor)
- 自社(Company)
PEST分析と同じく環境を分析するものですが、政治や経済などの膨大なデータソースを参考にするのではなく、顧客や市場のニーズ、あるいは競合と自社との差分などを分析する点で異なります。
この3Cの関係性を読み解くことで、自社の商品・サービスのマーケティングを成功させるために適したポジショニングを発見できるようになるでしょう。具体的な強みや成功要因が見つけられることから、PEST分析よりも戦略立案に向いています。
一方で、独自性の高い商品・サービスを提供しようとした場合、3C分析は不向きです。あくまでも市場のシェアや競合他社の評価、売上情報などを変数とするフレームワークであるため、一定の市場規模を有する商品やサービスでなければ実効性が保たれないこともあるでしょう。
SWOT分析
SWOT分析とは、内部要因と外部要因の2方向からマーケティング戦略を考える分析方法です。具体的には以下の要素を考えます。
【内部環境】
- 強み(Strength)
- 弱み(Weakness)
【外部環境】
- 機会(Opportunity)
- 脅威(Threat)
ここまで紹介したPEST分析や4C分析と比較してもシンプルなため、具体的な戦略まで落とし込むのが比較的容易な手法です。同じ環境分析の手法の中でも取り扱いやすいことから、派生形であるクロスSWOT分析なども登場しているメジャーな分析方法と評価されています。
一方、すでに自社にノウハウやブランド力、クレームなどの情報が一定量あることが要素に含まれるため、スタートアップの企業や商品・サービスには応用しにくい点が課題です。自社のノウハウの量などを鑑みて採用可否を判断しましょう。
まとめ
マーケティングの最終的な目的は、企業の利益最大化です。しかし、企業が利益優先で強引に売り込んでも、期待したような効果が得られることは少ないでしょう。顧客の目線に立ってどのような商品・サービスが求められているのかを検証し、具体的な戦略に落とし込むことが、企業の利益最大化への近道です。