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マーケティングプロセスとは?
市場調査・STP・MMの流れとフレームワーク

店舗運営や事業マーケティングの強化に向けて、どのような施策を、どのような流れで進めていけばよいのか。その正解の特定は困難ではありますが、一定の再現性を満たした方策があります。

マーケティング戦略を立案し、実行するまでの「マーケティングプロセス」には一般的な流れがあり、6つのステップを踏んで進行していきます。マーケティングプロセスの基本的な流れを追っていきましょう。

マーケティングプロセスの基本的な流れとフレームワーク

マーケティングプロセスとは、マーケティング戦略の「立案」から「実行」までをフォローする一連の流れです。

新商品を開発する際などに進行するマーケティングプロセスは、一般的に次のような流れをたどります。

  1. 市場分析
  2. セグメンテーション
  3. ターゲティング
  4. ポジショニング
  5. マーケティングミックス
  6. 実行・評価

なおマーケティングプロセスは、市場へ投入してからある程度の期間が経過している既存商品においても同様に求められます。新規顧客の獲得や既存顧客の維持を図るには、現状の課題を発見して解決へと導くプロセスが欠かせません。

市場分析

マーケティングプロセスにおいてまず手掛けるべきは、自社の内部環境・外部環境の調査および分析を行う「市場分析」です。

市場分析の目的は、自社の強みや弱みを洗い出し、市場内のポジションや差別化ポイントを確認して、優位性をもって勝負できる領域を見つけることにあります。分析結果は、自社の事業の方向性を左右する重要なものになります。

市場分析を行う際は、行政やリサーチ会社のデータを十分に考慮するなど、客観的な視点が欠かせません

このフェーズでは、次に挙げるようなフレームワークを用います。

  • PEST分析
  • SWOT分析
  • 3C分析

PEST分析

PEST分析は、外部環境のうちマクロ外部環境を分析するフレームワークです。以下の4つの視点から、自社に与える影響を考察します。

  • Politics:政治
  • Economy:経済
  • Society:社会
  • Technology:技術

外部環境は、「マクロ外部環境」と「ミクロ外部環境」に分類されます。

  • マクロ外部環境:自社ではコントロールできない、政治や技術など社会経済全体に影響を及ぼす環境要因で
  • ミクロ環境:市場や競合他社などの環境要因

PEST分析は、現在から将来の一定の地点まで、マクロ外部環境が事業にどのような影響を与えるのか、市場の将来象を予測するときに用いられます。

SWOT分析

SWOT分析は、以下の4つの要素にフォーカスし、自社が置かれている状況を分析するフレームワークです。

  • Strength:強み
  • Weakness:弱み
  • Opportunity:機会
  • Threat:脅威

SWOT分析では、「内部環境」と「外部環境」、「プラス要因」と「マイナス要因」の2軸によるマトリクスを用います。

  • 内部環境:自社が保有する資産やブランド力、商品やサービス
  • 外部環境:政治や経済、社会、技術などマクロ環境、および市場や競合、流通・供給業者などミクロ環境

SWOT分析は、自社を取り巻く環境や強み・弱みを洗い出し、自社が優位性を有する市場領域や課題となるギャップを把握し、マーケティング戦略を組み立てていくために行います。

3C分析

3C分析は、ミクロ外部環境を分析するフレームワークです。以下の3つの視点に着目します。

  • Customer:市場・顧客環境
  • Company:自社環境
  • Competitor:競合環境

「市場・顧客環境」では市場規模や成長性、顧客のニーズ、「自社環境」では経営資源や既存事業・商品の現状、「競合環境」では業界シェアや各社の特徴などの客観的な情報を集約し、それぞれを俯瞰します。

3C分析を実施する目的は、事業の「KSF(成功要因)」を見出すことにあります。外部環境にあたる「市場・顧客環境」や「競合環境」と、内部環境である「自社環境」の情報を照らし合わせてみましょう。

セグメンテーション

セグメンテーションは、自社商品のターゲットになりえる市場領域を特定するために、対象となる市場に存在する顧客を細分化してグルーピングするステップです。「市場細分化」とも呼ばれます。

顧客の細分化には、複数の切り口が用いられます。

  • 地域環境・特性など「地理的変数」
  • 年齢や年齢、家族構成、職業など「人口動態変数」
  • 価値観や嗜好など「心理的変数」
  • 購買状況など「行動変数」

なお、セグメンテーションのフェーズでは過剰な細分化は望ましくありません。「収益を確保できるだけの規模」を考慮したグルーピングが求められます。

セグメンテーションとは|企業マーケティングでの事例と「ターゲティング」との違い

ターゲティング

ターゲティングは、セグメンテーションを介して細分化された市場グループから、自社が優位性を備える領域を選択していくステップです。

各グループに存在する顧客や競合企業を調査し、自社の強みで勝負できる領域を特定することがポイントになります。

ポジショニング

ポジショニングは、ターゲティングにて選択した市場で、どのようなポジションに立脚して勝負するのかを決定するステップです。

このフェーズでは、自社商品への深い理解および差別化が欠かせません。自社が有する独自性のある価値を、顧客に認識してもらうことが大切になります。

ポジショニングに活用されるフレームワーク「ポジショニングマップ」を用いて、商品を俯瞰してみましょう。

ポジショニングマップ

ポジショニングマップは、自社および競合企業の商品やサービスのポジションを示すフレームワークです。市場の状況や競合商品との差分を視覚的に把握し、自社商品の優位性を活かせる立ち位置や今後参入していきたい領域の発見に用います。

縦軸や横軸には、ターゲットのKBF(購買決定要因)の中で、重要視される判断基準を用いることがポイントです。たとえば、価格や機能性、デザイン性、品質などが挙げられます。

競合企業と重ならない空白となっているポジションに立ち位置をとると、独自性を明確に打ち出せます。

マーケティングミックス

マーケティングミックスは、消費者の購買行動を促すために、マーケティング戦略の具体的な施策を立案・策定するステップです。

マーケティング施策には複数の要素が組み合わされることから、マーケティングミックスと呼ばれています。ターゲティング・ポジショニングを経て決定した市場および立ち位置と整合性がとれ、自社の強みを打ち出していける施策を検討しましょう。

このステップでは、KGI(重要目標達成指標)を達成するための中間目標に該当するKPI(重要業績評価指標)も定めます。「4P」や「4C」のフレームワークも活用しましょう。

4P

4Pは以下の4つの要素から、売れる仕組みづくりを推進するマーケティング施策を検討するフレームワークです。

  • Product:製品
  • Price:価格
  • Place:流通
  • Promotion:販促

どのような特徴で商品を訴求し、いくらで販売し、どのような流通チャネルを用い、どのような販促活動を講じるか。要素ごとに戦略を検討し、全体整合性をもたせて施策を構築します。

4C

4Cは、以下の4つを構成要素として、顧客目線からアプローチするフレームワークです。4Pの企業側の目線とはコインの裏表であり、切り離せない関係と定義できます。

  • Customer Value:顧客価値
  • Cost:顧客コスト
  • Convenience:利便性
  • Communication:コミュニケーション

4Cでは、顧客にとってどのような価値があり、コストに妥当性が担保され、購入しやすい環境を整備できるか。そして広告など販促活動を通じて顧客が望む情報を届け、顧客の声を受け取れてるかといったコミュニケーションを検討します。

実行・評価

策定したマーケティング戦略を実行して、評価を下すステップです。

KPIが未達のケースなど、想定していたような施策効果を獲得できていない場合には、各ステップのどこにボトルネックがあるのか検証を行い、結果とのギャップを埋めるべく施策をチューニングします。

「R-STP-MM-I-C」で考えるマーケティングプロセス

ここまで確認してきたマーケティングプロセスは、「R-STP-MM-I-C」の流れに分類されることもあります。

  1. R:Research(調査)
  2. STP:Segmentation・Targeting・Positioning(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)
  3. MM:Marketing Mix(マーケティングミックス)
  4. I:Implementation(実施)
  5. C:Control(管理)

まず、「Research」は「市場分析」のプロセスに該当します。続くステップである「セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング」は一式で講じられることも多く、「STP分析」とも呼ばれます。

「Marketing Mix」で具体的な施策を策定し、「Implementation」で施策を実行。「Control」は施策の評価・改善ステップとなり、一連のおおむねの流れに大きな違いはありません。

STP分析とは?|分析方法と企業マーケティングの活用事例

BtoBとBtoCの戦略の違い

BtoBとBtoCでも、基本的なマーケティングプロセスは変わりません。ただし、対象となる顧客が異なることから、販売までのリードタイムに差分が生じる傾向があります。

BtoB BtoC
顧客 企業 個人
販売リードタイム 見込み顧客の獲得から、成約までのリードタイムは長くなる傾向にある 商品を見てその場で購入するケースも多い

成約までのリードタイムが長期化しがちなBtoBマーケティングでは、顧客ニーズの背景にある状況をより深く理解すること、そして課題解決につながる提案を介した訴求が重要になります。イベントやセミナーの開催などの施策も効果的です。

まとめ

マーケティングは市場調査から始まります。そこで獲得した知見や定量データを活用したSTP分析を通じ、具体的なマー施策を立案していくプロセスをたどることがポイントです。施策の実行後には効果測定を必ず行い、特定した課題を改善していきましょう。

市場調査やSTP分析を効果的に実践していくには、データにもとづいた施策の展開が前提となります。POSデータの売上データを活用するなど、定量的な観点に立脚したアプローチを取り入れていきましょう。

POSデータの分析方法|マーケティングに活用して売上アップ

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