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生物多様性を守るために…
ストローから考える「脱プラスチック」

現在深刻化している地球環境問題のひとつに、海洋プラスチックごみ汚染や生物多様性の損失が挙げられます。これらは、日本だけではなく世界全体で解決すべき問題として、ローカルな活動から国家規模の取り組みまで、さまざまなアプローチで問題提起と解決提案が行われています。

今回の「誰でもわかるSDGs」では、「プラスチック製ストロー」の取扱いに関する国や企業の動きから、脱プラスチックが必要な理由や、既に行動を始めている企業の事例などについてご紹介します。

「脱プラスチック」に関する世界・国内の動き

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近年、海洋プラスチックごみや気候変動などの環境問題が、世界的に深刻化しています。

2018年5月には、欧州連合(EU)が、一部の使い捨てプラスチック製品の使用禁止を提案。2019年に大阪で開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)では、海洋プラスチックごみに関して2050年までに追加的な汚染をゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が共有されました。

2021年6月には、日本でも「プラスチック資源循環促進法」が成立。同年8月に、環境省と経済産業省がその具体案を公表し、ストローやスプーンなどのカトラリー類を含む使い捨てプラスチック製品12品目を、「特定プラスチック使用製品」として指定することを明らかにしました。

この法案は2022年4月から施行される予定で、小売店や飲食店などでは、これまで無償で提供していたプラスチック使用製品の取扱いについて見直しが求められることになります。これをきっかけに、国内でも、プラスチック資源の再利用促進や事業者によるプラスチックごみの排出抑制など、脱プラスチックの動きが広がると予想されています。

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廃棄されたプラスチックストローが生き物や環境を傷つける!?

なぜいま、これほどまでに「脱プラスチック」の動きが加速しているのでしょうか? その理由のひとつとして、海の生き物や環境を守ることが挙げられます。

世界では年間800万トンものプラスチックが海に流れ込んでいるという報告があります。これらは、紫外線や波の力で5ミリ以下のマイクロプラスチックとなり、それをのみ込んだ海の生き物の生態系に影響するのです。

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また、プラスチック製品がそのまま生き物の体を傷つけることもあります。特にプラスチック製ストローは、他のプラスチック製品と比べて小さく軽いためリサイクルしにくく、川や海に流れ出しやすいそう。2015年にYouTubeで公開された、ウミガメの鼻に刺さってしまったプラスチック製ストローを抜く映像は、2021年現在までに、4,200万回以上の再生数を記録しています。

さまざまな企業が「脱プラスチック」に動き出している

米市場調査会社Technomic社の推計によると、アメリカで2017年に使われたプラスチック製ストローは約630億本(1日あたり約1億7,000万本)。ただし、自宅での使用や、自動販売機の飲料についているものは調査から除いているため、実際にはもっと多いと推定されています。

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膨大な量に加えて、最も問題視されているのは、これらがリサイクルされず、そのまま廃棄されている点です。このような状況を深刻に捉え、「脱プラスチック」に動き出している飲食店チェーンも少なくありません。

プラスチック製ストローの提供を廃止

例えば、年間10億本以上のストローを提供していたアメリカ発の大手コーヒーチェーンは、2018年に、全世界2万8,000以上の店舗でプラスチック製ストローの提供を廃止すると発表。日本国内の店舗では、2020年1月から紙製ストローの提供を段階的にスタートし、同年3月には国内全店舗において、プラスチック製から紙製ストローに切り替えました。

使い捨てカトラリーを植物由来のものに切り替え

ファミリーレストランを展開する国内の大手飲食チェーンも、プラスチック製ストローを廃止したり、割り箸の梱包を紙製に変更したりするなど「脱プラスチック」に取り組んできました。さらに、テイクアウトやデリバリーで提供しているカトラリーも、植物由来の原料で作られたバイオマスプラスチックに切り替えています。

東芝テックが取扱う3種類の環境配慮型ストロー

紙製のストローは環境に負荷がかかりにくい反面、プラスチック製に比べてふやけやすく、飲み口の感触が気になる人も多いようです。このような一般消費者の意見をもとに、最近では、植物由来のプラスチックを使った「PLAストロー」に切り替える事業者も増えてきました。

東芝テックでは、以下の3種類の環境配慮型ストローを取扱っています。

ペーパーストロー
紙製のため生成分解にすぐれていて、燃えるゴミとして廃棄可能。表面に印刷ができるため、ボーダー柄や水玉模様など、デザイン性を重視したい場合にもおすすめです。
PLAストロー
植物由来のデンプンや糖から生成される生分解樹脂を使ったストローで、使用後はゆっくり分解されて自然に還ります。燃焼時に排出されるCO2量は、数あるプラスチックの中でも最低レベル。さらに、カーボンニュートラルの特性によって、CO2の排出量を大幅に削減します。消費期限が約1年と短く、リサイクルはできません。
バイオマスプラストロー
植物などに由来する、再生可能な有機性資源を添加したプラスチックを使用。カーボンニュートラルの特性によって、焼却した場合に発生したCO2はバイオマス率の分だけ相殺されます。生成分解しないため、海洋プラスチック問題の解決にはつながらない点がデメリットです。
「脱プラスチック」に向けて何ができるか考えよう

プラスチック資源循環促進法が施行される2022年4月以降、飲食店などが使い捨てプラスチック製品を提供する際は「有料化する」「消費者の意思を確認する」といった見直しや、紙製やPLAなど代替素材製品に切り替えるなど工夫が求められることになるでしょう。

テイクアウトやデリバリーの需要が増えたいま、小売りや飲食をはじめとする各企業が「脱プラスチック」に向けて何ができるか、改めて考えていけるといいですね。

次回誰でもわかるSDGsは、注目される新たな経済モデル「サーキュラーエコノミー」について学んでいきましょう。

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