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富士電機株式会社

インタビュー

富士電機株式会社様

東芝テックのパートナー企業である富士電機株式会社。2022年2月に発売された冷凍自動販売機「FROZEN STATION(フローズン ステーション)」の特徴や、同社のSDGsへの取り組みについて、食品流通事業本部の中山正樹さんと渋澤良太さんにお聞きしました。

冷凍自動販売機は社会課題をどう解決する?
――富士電機株式会社インタビュー

東芝テックでは、お客様のソリューションパートナーとして店舗・オフィス・物流・製造各領域の課題解決に取り組むことで、社会や環境をより良くし、SDGsの目標達成を実現したいと考えています。

今回は、2022年2月に冷凍自動販売機「FROZEN STATION(フローズン ステーション)」を発売した富士電機株式会社を訪問。なぜいま“冷凍”自動販売機なのか、この製品の可能性や同社のSDGsへの取り組みについて、食品流通事業本部の中山正樹さん(写真左)と渋澤良太さん(同右)にお聞きしました。

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−はじめに、富士電機様の事業概要を教えてください。

中山正樹さん(以下、中山)
当社は、1923年に創業して以来、エネルギー・環境技術の革新を追求してきました。「熱く、高く、そして優しく」をスローガンに掲げ、現在は、パワーエレクトロニクスや半導体など、エネルギーの安定供給や省エネに貢献する4つの事業を展開しています。私どもの食品流通事業本部もそのひとつ。当社の中でも、一般消費者の方の目に触れたり、使っていただいたりする製品を多く開発しているセグメントですね。

−食品流通事業本部の製品にはどのようなものがあるのでしょうか?

中山
食品流通事業本部は、「自動販売機」と「店舗流通」といった2つの分野を大きな柱にしています。自動販売機は、缶やペットボトル、紙容器の飲料を販売する自動販売機から、カップ式の飲料、食品や物品を販売する自動販売機までさまざまな製品を展開。業界のリーディングカンパニーとして、環境対応型自動販売機の普及・拡大にも取り組んでいますね。一方、店舗流通では、冷凍・冷蔵ショーケースや、自動釣銭機などレジ周りの設備、カウンター周りの什器などの製品を展開しています。
渋澤良太さん(以下、渋澤)
店舗流通の製品で最近増えてきているのは、お客様のほうを向いた自動釣銭機ですね。コンビニエンスストアなどで見かける、いわゆるセルフレジです。このように、私たちの製品は皆さまの生活に近いところにあり、誰もが一度は触れたことがあるものが多いと思います。

−御社の自動販売機の国内シェアは、7割を占めると聞いています。今年2月に、新しく冷凍自動販売機「FROZEN STATION」を発売されましたが、開発の経緯を教えてください。

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冷凍自動販売機 「FROZEN STATION」
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冷凍自動販売機 「FROZEN STATION」
中山
当社では、以前からアイスクリームを販売できる自動販売機を開発・製造していました。なので、自動販売機に冷凍機能を搭載する技術はもともと持ち合わせていたんですね。今回、その技術をうまく活用して、冷凍食品を販売できるように開発したのが「FROZEN STATION」です。冷凍自動販売機については、実は2年前から開発の話が出ていました。これからの時代、どのような自動販売機が求められていくかといったニーズを分析していたときにコロナ禍になり、中食や冷凍食品の需要が伸びてきたことによって、開発を急いだ経緯があります。
渋澤
冷凍食品は味のクオリティーが非常に高く、調理したそのままのおいしさをキープできる点が評価されています。また、冷凍することによって食品の賞味期限が伸ばせるため、食品ロスも出にくいですね。まだ検討段階ですが、セントラルキッチンで商品を作っている食品メーカー様の中には、調理工程で出る肉や魚の切れ端を廃棄するのではなく、まとめて冷凍自動販売機で安く販売できないかといったことを考えているお客様もいらっしゃいます。
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−この製品によって、いままで世の中になかった新しい事業が生まれる可能性もありますね。食品ロスのお話が出ましたが、それ以外に、SDGsに貢献できる部分はありますか?

中山
「FROZEN STATION」には特徴が2つあり、1つは収容量の大きさです。たくさんの商品を収容できることによって、頻繁に補充する必要がなくなるため、輸送の際のエネルギー削減につながります。
渋澤
もう1つの特徴は、自社開発した通信端末を標準取付しているため、簡単に「自販機オペレーションシステム」のオプション対応ができること。売上や在庫などのデータが見える化されることによって、遠隔地にいながら適切なタイミングでオペレーションを行えるだけでなく、輸送頻度も下がり環境負荷の低減にもつなげることができると考えています。

−御社のエントランスには、SDGsに関するパネルが展示されていて、SDGsにかなり力を入れて取り組んでいることが窺えます。具体的に、どのような取り組みをされているか教えてください。

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中山
当社では、SDGsの目標の中で9つをピックアップし、企業活動全体でこれに取り組むために、SDGs推進委員会を立ち上げて進捗管理や評価を行っています。SDGsの目標の中でも、食品流通事業本部で特に注力しているのは、省エネの推進と廃棄物の削減ですね。
渋澤
自動販売機を新しく設置する際には、本体に傷がつくのを防ぐために、輸送過程で梱包材が必要になります。近年、それらをできる限り少ない梱包材で構成するようにしたり、単一の部材だけで梱包したりすることによって、廃棄物を減らす工夫をしていますね。
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−自動販売機は消費電力が大きいイメージがありますが、そのあたりはどのように取り組んでいらっしゃいますか?

中山
そのようなイメージを持たれている方が多いと思います。でも実は、缶・ペットボトルの自動販売機に関しては、20年で70%以上の消費電力削減に成功しているんですよ。私どもが省エネに積極的に取り組むのは「自動販売機は社会にとって本当に必要なものか」ということを問われるタイミングがしばしばあるからです。

−東日本大震災のときも、「電力を消費する自動販売機は必要ない」といった当時の都知事の発言が話題になりました。

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災害救援ベンダー
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災害救援ベンダー
中山
そうですね。当社も、環境や社会に積極的に関与していかなければ、これから先、生き残っていくのは難しいと感じています。そのような危機感は阪神淡路大震災の頃からあり、災害時に水分を供給することで社会貢献できるのではないかという発想で作ったのが、災害救援型の自動販売機です。この自動販売機には、災害時に電力の供給がなくなったとき内蔵型のバッテリーに切り替わって、中の商品をフリーベンドで排出できる機能が搭載されています。2005年に開発後、市役所や体育館、区が管理している公園など、公共のロケーションに比較的多く 導入をしていただいていますね。

−そんな自動販売機があるとは知りませんでした! 新製品のことだけでなく、このような御社の取り組みも、たくさんの方に知っていただきたいですね。最後に、食品流通事業本部として今後チャレンジしていきたいことがありましたらお聞かせください。

中山
私たちのお客様である飲食業界は、人手不足が深刻です。食品流通事業本部は自動販売機と店舗流通といった分野に分かれていますが、今後はその2つをうまく融合し、自動販売機の技術をもって店舗の無人化を実現するような方向に持っていきたいですね。そういった意味で、冷凍自動販売機は、これから頼れる柱になるのではないかと思っています。現在、冷凍自動販売機を開発している企業は、当社を含めて国内で2社しかありません。これまでになかった新しい製品ということもあり、この2社で切磋琢磨して、業界を盛り上げていきたいですね。

東芝テックが掲げるスローガンは「ともにつくる、つぎをつくる」。今後も、お客様に寄り添いながら、パートナー企業と協力し、人手不足の解消や業務効率化を実現したり、環境にやさしい製品をいっしょに作り出したりしていきたいと考えています。2022年4月からプラスチック資源循環促進法が施行され、脱プラへの社会の目はますますシビアになっていくでしょう。冷凍自動販売機ではおもに食品が販売されると思いますが、梱包材を紙容器に切り替える提案なども積極的に行っていきたいですね。(東芝テック・渡辺)

次回誰でもわかるSDGsは、を紹介していきます。

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