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SINKPIA・JAPAN
株式会社

インタビュー

SINKPIA・JAPAN株式会社様

東芝テックのパートナー企業であるSINKPIA・JAPAN株式会社。同社が扱う生分解生ごみ処理機の特徴や、SDGsへの考え方についてお聞きしました。

深刻な「生ごみ処理問題」を
広い視野とテクノロジーで解決する
――SINKPIA・JAPAN株式会社インタビュー

環境省が2021年に発表した「一般廃棄物の排出及び処理状況等」によると、国内のごみ焼却施設の数は1,067施設。焼却時に膨大な量のCO2が発生することはもちろん、全体の約40%といわれる生ごみは水分含有量が多く燃えにくいため、大きな問題となっています。

このような課題の解決に向けて事業を展開しているのが東芝テックのパートナー企業であるSINKPIA・JAPAN株式会社です。同社は、生ごみの発生場所であるキッチンや食品加工工場のほか、食品残渣(ざんさ)が多く廃棄・排出される各種事業所などで、安全で快適に生ごみを処理できる生ごみ処理機の開発に取り組んできました。生ごみ処理機のメーカーとしては後発組の同社だからこそなし得た、社会に寄り添った製品開発についてお聞きしました。

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―御社では、生ごみ処理機をゼロから開発されたと伺っています。開発の経緯を教えてください。

既存の生ごみ処理機は、排気ダクトや脱臭装置のついた大型タイプが主流であり、室内設置できる製品はありませんでした。生ごみ処理機の一番の問題は、においと大きいエネルギーを使うことでした。当社では、生ごみを「運ばない」「その場で処理」の室内設置も可能なコンパクト製品があれば……と課題改善につながる考えで、従来にない製品の開発に取り組むことにしたんです。

―製品開発の際に最も苦労したことは何でしょうか?

業界そのもの、生ごみ処理機に信頼感がありませんでした。信用を得られていなかった理由は、「分解できないものを分解できる」などと謳い「正直ではなかった」からです。例えば、梅干しの種など人が食べても消化できないものは生ごみ処理機でも分解できませんし、玉ねぎの茶色い外皮には殺菌力があり微生物が活動しません。また、鶏もも肉などの骨の表面は、硬くて微生物が入りこめません。このように、生分解が極めて難しい食材があるにもかかわらず「食材を99.9%生分解し、水と二酸化炭素に変換する」と謳って製品を販売していたメーカーがありました。

乾燥式の生ごみ処理機も多く販売されていましたが、ここでも実態と異なる内容が謳われていました。乾燥式の生ごみ処理機は、20%ほどの残渣(ざんさ)が槽内に溜まり、定期的な取り出しと運搬が必要です。残渣は水分を飛ばしただけでは発酵しないのに、残渣がそのまま堆肥になると喧伝されていました。乾燥式は、残飯含水率が約80%、野菜は約90%もあり、電力を大量消費して水分を飛ばさなければなりません。その先に、残渣の運搬作業も必要になるんです。

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―御社の生ごみ処理機の特長や、競合製品との違いを教えてください。

競合製品は、投入した食材・担体(もみ殻等)を週ごとに取り出したり、1ヵ月ごとに菌床を取り出し入れ替えたりするなど運搬作業が伴います。菌床が流れ出てしまうため、定期的に追加が必要なのです。これに比べて、当社の製品は投入した食材・微生物ハウスを基本的に2年は取り出す必要がありません。今後は、微生物ハウスに生分解性プラスチックを一部使用し取り出しの手間がかからない生ごみ処理機や、コンパクトで狭い場所に設置できる生ごみ処理機の開発を目指します。

当社の生ごみ処理機のポイントのひとつは、微生物ハウスと微生物です。微生物は25度以上の環境温度で活発化し、発酵温度が高くなるとにおいが強くなりますが、当社の微生物は25度の低温発酵で活性化するため、臭気が少ない仕様になっています。

また、コンパクトなサイズもポイントです。生ごみが発生する場所は1階とは限らず、高層階で発生した場合はエレベーターでごみ庫まで運ばなくてはなりません。当社製品のように、生ごみが発生する場所の近くに生ごみ処理機を設置できれば「運ばない」「その場で処理」が可能となり、働き方改革になります。生ごみをごみ庫に長時間放置しないことで、きれいでにおいの少ないごみ庫も実現できますね。

―御社の製品を使用することで、どのように環境に寄与できるでしょうか?

1企業あたり年間100トン以上の事業者は、食品リサイクル法処理が義務づけられています。当社製品の食品リサイクル法の項目は減量(脱水、乾燥、発酵、炭化の方法により 食品廃棄物等の量を減少させること)で、発酵させることで、投入した有機物残渣が生分解処理され100%カウントされるのです。人の作り出したエネルギーを使用するのではなく、自然界の微生物の働きにより生分解することで、カーボンニュートラルにもつながります。

―製品を導入したお客様からはどのような声が上がっているでしょうか。

ある大きな病院では、生ごみを天候にかかわらず遠いごみ庫まで運ぶ作業に苦労されていました。当社の製品を洗浄室に設置したことで、毎日の運搬作業がなくなり、ほかの業務に時間を割けるようになったそうです。また、食品加工工場では、製品をごみ庫に設置することで作業効率がアップしたと聞いています。

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―御社の SDGs への考え方や取り組みについて教えてください。

「運ばない」「燃やさない」「その場で処理」できる製品によってCO2削減に貢献しているほか、作業効率アップなど働き方改革にも寄与していると自負しています。現在、最も力を入れているのは、汚れたプラスチック容器ごと生分解できる製品の開発です。生分解性プラスチックの開発に取り組まれている企業様と協業して、取り組みを進めています。

―今後、社としてチャレンジしたいことがありましたら教えてください。

大阪万博の「共創チャレンジ」の一員にもなっていますので、大量の生ごみが出る事業所、行政も含め、日量約10トンと推測されている会場の生ごみ処理資源化事業や再生エネルギー事業にも積極的に取り組んでいます。今後、社会のあらゆる領域でより必要とされる企業になることを目指しています。

次回誰でもわかるSDGsは、を紹介していきます。

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