松・竹・梅のメニュー なぜ真ん中を選んでしまう?
数ある商品やサービスの中から、私たちはなぜそれを選んでしまうのか?

2024年2月26日

流通お店づくりトピックス

■業種・業態:小売業  
■キーワード:極端の回避効果/松竹梅の法則/ゴルディロックスの原理

スーパーで1980円の値札が付いたお寿司を手に持っている女性のイラストイメージ

人間は極端なものを回避する

寿司屋やうなぎ屋などに行くと、「松4000円」「竹2500円」「梅1500円」のように、「松・竹・梅」に分かれたメニューを目にすることがあります。料理や金額にもよりますが、その場合、おおよそ「松2、竹5、梅3」の割合で「竹」を選ぶ人が多いといわれています。

理由として、人は極端なものを避ける傾向があるからです。つまり「松ではちょっと贅沢だけど、梅では寂しすぎる」と考え、無意識のうちに真ん中の「竹」を選ぶのです。

行動経済学ではこれを「極端の回避効果」または「松竹梅の法則」といいます。

例えば、6000円と4000円の2種類のコースしかないと、人は価格の安い方がお得と考え、4000円のコースを選ぶことが多くなります。これに8000円というさらに高いコースが加わると、6000円が相対的に安く感じられ、真ん中のコースを選ぶ人が増えます。

お店にとっては、結果的に売上が伸びることになります。

松と竹の間の価格差を大きくし、竹と梅の差をなるべく小さくすると、「極端の回避効果」がさらに高まります。例えば、「松8500円」「竹5500円」「梅4000円」という値付けにすると、「松は高すぎるけど、竹なら少し上乗せするだけでいい」と考える人が増え、竹がより選ばれやすくなります。

3つの選択肢があった場合、真ん中を選ぶ傾向があるのは海外でも同じです。

欧米では、イギリスの童話「ゴルディロックスと3匹の熊」に登場する少女・ゴルディロックスが、熱い粥でも冷たい粥でもない、ちょうどよい温度の粥を選ぶという逸話から、極端なものを回避する人間の行動心理を「ゴルディロックスの原理」と呼んでいます。

※当記事は2022年7月時点のものです。
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