モバイルセルフスキャンが世界中で拡大中

2024年1月29日

流通トピックス

■業種・業態:スーパー  
■キーワード:スマートフォン/セルフレジ/セルフスキャン/スマートカート

選ばれ続けるお店になるためにのイメージ画像

顧客が自らのスマートフォン、または小売業者が提供するデバイスで、商品のバーコードを読み取ってショッピングカートに入れ、セルフレジで決済する小売店は、世界中で増加しています。このような「モバイルセルフスキャン」を導入する店舗は、英国の市場調査会社によると、世界中の店舗では2022年は5万7000店に上ります。2021年の3万2000店と比較すると2倍近く伸びています。
導入しているのはスーパーマーケットだけではありません。スウェーデン発の家具店は、ほとんどの店舗で導入しています。米国では、日本の100円ショップのような1ドルストアとして有名なディスカウンターや、スポーツ店など大手小売店でも導入しています。日本最大のコンビニチェーンでは、すでに数カ国の何百もの店舗でモバイルセルフスキャンを提供しています。

顧客のスマホでのスキャンが主流に

スマートフォンとQR画像

欧州では小売業者がデバイスを顧客に提供することが多いのですが、世界的に見ると、スマホのアプリのほうが主流になりそうです。ドイツや日本、スウェーデンの大手スーパーマーケットでは、2021年以来、顧客がスマホでセルフスキャンできる店舗が増加しています。

さらに進んだソリューションも登場しています。後述しますが、セルフスキャンしなくても、ショッピングカートに入れると自動的に登録する「スマートカート」がお目見えしているのです。

英国の市場調査会社では、モバイルセルフスキャン市場は今後6年間で年平均20%の成長を遂げるだろうと予想しています。アジアでは、ショッピングカートに搭載したモバイルセルフスキャンも、一般的になりつつあるようです。

日本のスーパーでの導入率は7.6%

スーパー店内でカートを押す女性の画像

日本では、大手総合スーパー(GMS:General Merchandise Store)でデバイスを提供したモバイルセルフスキャンが2020年3月からスタート、徐々に導入店舗を拡大しています。系列の首都圏のスーパー500店舗でも導入されています。スウェーデン発の家具店では、全国の店舗でスマホのアプリを使ったモバイルセルフスキャンが2022年3月に導入されています。

日本スーパーマーケット協会によると、「セルフバーコードスキャン(モバイルセルフスキャンの日本語名)」の2022年導入率は全体の7.6%です。2020年が4.2%で2021年に7.4%と急拡大して、2022年はほぼ横ばいですが、大規模店舗での導入が進んでいます。

日本スーパーマーケット協会によると、「セルフバーコードスキャン」を「新たに導入したい」企業は年々増えているものの、2022年は15.2%とまだ少なく、「どちらともいえない」が最も多く、2021年は44.8%、2022年は45.1%となっています。世界の動向と比較すると、日本は消極的で、半数近くの企業が様子を見ているようです。

その前段階のセルフ精算レジ(セミセルフレジ)の2022年設置率は全体の75.1%で、年々伸びています。

スマートカートの試験運用が始まる

ショッピングカートのイラスト画像

モバイルセルフスキャンの次の段階は、前述した「スマートカート」に移行するようです。ショッピングカートにタッチスクリーンが統合され、カメラシステムとスケールが装備されているため、商品をショッピングカートに入れるだけで済み、価格が表示され、スキャンする手間が省けます。モバイルセルフスキャンは、お客がスキャンを忘れるなど、スキャン漏れがどうしても生じることから、早いうちにスマートカートに移行する可能性があります。

フランスの大手スーパーでは、23年の春にイスラエルの新興企業のスマートカートを15台導入しました。イスラエルのスーパーでは1300台、米国のスーパーでも50台試験運用されています。

(文)経済ジャーナリスト 嶋津典代
発行・編集文責:株式会社アール・アイ・シー
代表取締役 毛利英昭

※当記事は2023年6月時点のものです。
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