米国の食品ECで満足度が最も高いのはスーパー

2024年1月29日

流通トピックス

■業種・業態:スーパー  
■キーワード:EC/食品EC/配達サービス

スーパーマーケットでの買い物中のイメージ

米国の調査会社がオンライン買い物客の様々な年齢の1,000人を調査すると、消費者の食品のネット通販の満足度が最も高いのは、スーパーマーケットであり、EC大手や量販店のサイトを上回っていることが分かりました。
スーパーの満足度は5点満点で4.4点なのに対し、EC大手は4.3点、量販店は4.26点、ディスカウントストアは3.9点でした。
高得点を獲得したスーパーマーケットにも改善の余地はあります。高額商品については、価格設定が4.2点と低めで、最も低かったのが3.84点の商品入手の信頼度でした。
在庫切れという大きな問題があること、そして、生鮮食品の品質には、それほど満足していないことが明らかになったのです。

都市部では食品の配達サービスが半数に上る

購入した商品が自宅に郵送されているイメージの画像

消費者の年代によっても、満足度は異なっています。最も満足度が高いのが60~70代のベビーブーマー世代、続いて40代後半から50代のX世代。

一方、デジタルネイティブの若い消費者を見ると、食品のネット通販には満足していない傾向があります。20代後半から40代前半のミレニアム世代の満足度は4.1点に対し、20代中心のZ世代は3.95点と最も低くなっています。

ネットのサービスをいろいろ使っている若い消費者は、食品のネット通販についても年配の消費者よりも高い期待を抱いている分、厳しい回答になっていると、この調査会社では分析しています。

また、居住地で見ると、都市部に住む消費者は食料品をオンラインで購入することが多く、54%と半数以上が食料品の配達サービスを利用しています。このような会社のスマホのアプリを使えば、注文して30分ぐらいで商品が届きます。飲食店のデリバリーサービスと同じような仕組みです。

地方の消費者の3分の2は、スーパーの「ピックアップサービス」を利用しています。ピックアップサービスとは、オンラインで注文した商品を店舗で受け取るサービスのことです。そして6割はオンラインショッピングを増やすつもりはないと回答しています。

日米の食品ECの差

パソコンの上にミニチュアの買い物カートが載って画像

米国ではコロナ禍で、都市部の食料品の配達サービスの利用が大きく伸びました。スーパーのEC支援会社の調査によると、2020年の米国の食品のEC化率は4.3%でしたが、右肩上がりで伸び続け、2025年には13.5%になると予想しています。

日本ではどうでしょうか。経済産業省の「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」よると、「食品、飲料、酒類」のEC化率が2020年は3.31%でしたが、20221年には4.16%に増加。伸び率は低いものの、市場規模では「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」の2兆5,528億円を抜いて、2兆7,505億円と最も高くなっています。

項目別では肉類、生鮮野菜、生鮮果物、調理食品、酒類等が増えています。提供している会社はGMSなどによるネットスーパー、EC 販売に特化したネットスーパー、EC大手企業のほか、飲料専門事業者、日用品メーカーなども参入して百花繚乱です。

売上規模では、大手ネットスーパーが上位を占めています。新たな動きとして注目されているのが、クイックコマース(食料品の配達サービス)で、子育てや介護している人たちに支持されていて、今後、さらに注目が集まりそうです。

BtoC-EC市場規模の経年推移を表すグラフの画像
BtoC-EC市場規模の経年推移(単位:億円)

物販系分野のBtoC-EC市場規模

分類 2021 2022
市場規模
(億円)
※下段:前年比
EC化率 市場規模
(億円)
※下段:前年比
EC化率

 
食品、飲料、酒類

 
25,199
(14.10%増)
3.77% 27,505
(9.15%増)
4.16%
生活家電、AV機器、PC・周辺機器等 24,584
(4.66%増)
38.13% 25,528
(3.84%増)
42.01%
書籍、映像・音楽ソフト

 
17,518
(7.88%増)
46.20% 18,222
(4.02%増)
52.16%
化粧品、医薬品

 
8,552
(9.82%増)
7.52% 9,191
(7.48%増)
8.24%
生活雑貨、家具、インテリア

 
22,752
(6.71%増)
28.25% 23,541
(3.47%増)
29.59%
衣類・服装雑貨等 24,279
(9.35%増)
21.15% 25,499
(5.02%増)
21.56%
自動車、自動二輪車、パーツ等

 
3,016
(8.33%増)
3.86% 3,183
(5.55%増)
3.98%
その他

 
6,964
(8.42%増)
1.96% 7,327
(5.22%増)
1.89%
合計
 
132,865
 (8.61%増)
8.78% 139,997
(5.37 %増)
9.13%

出典:経済産業省ニュースリリース
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002.html

(文)経済ジャーナリスト 嶋津典代
発行・編集文責:株式会社アール・アイ・シー
代表取締役 毛利英昭

※当記事は2023年6月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。