人はなぜセットメニューを選ぶのか?
数ある商品やサービスの中から、私たちはなぜそれを選んでしまうのか?

2024年2月26日

流通お店づくりトピックス

■業種・業態:小売業  
■キーワード:ナッジ/マーケティング手法/デフォルト

スーパーで1980円の値札が付いたお寿司を手に持っている女性のイラストイメージ

望ましい行動を促す「ナッジ」

スーパーマーケットやコンビニエンスストアに行くと、レジ前の床に描かれた矢印や線を目にすることがあります。コロナ禍ではお客様同士が適切な距離を保てるよう、行列ができる場所にこうした矢印や線を描く施設が増えました。私たちはそれを見ると、無意識のうちにその場所に並ぼうとします。

つまり、お店や施設が望んでいる行動を知らず知らずのうちに選択しています。社員食堂でサラダなどを目立つ場所に置き、健康的な食生活を促すのもその一例です。

このように、相手に自発的に望ましい行動を選ぶよう促すことを「ナッジ」と言います。「ナッジ(nudge)」とは「(注意を促すために)ひじでそっと突く」ことで、この手法を用いることで、相手に強制することなく望ましい行動を取らせることができます。

「デフォルト」で選ぶ手間を省く

一方、あらかじめ選んでほしい選択肢を初期設定するマーケティング手法に「デフォルト」があります。私たちは情報量が多いと深く考えるのをやめ、提示されたものの中から選んでしまう傾向があり、それを利用したものです。

こうした「デフォルト」の考え方は、飲食店ではよく行われています。

サラダや副菜、飲み物などを組み合わせたセットメニューは、たくさんのメニューの中から選ぶのが煩わしいという人にとっては便利です。

お客様にお得感を感じてもらえますし、お店側にも客単価の向上や、オーダーされるメニューの数や種類をある程度予測できるというメリットがあります。

小売店の場合は、贈答用に人気商品をピックアップした「おすすめセット」を用意したり、一人暮らしを始める人向けの必要な家電や台所用品のセットなどの販売企画が考えられます。売りたい商品を「デフォルト」で提案することで、お客様の選ぶ手間を省き、利便性を高めると同時に、セットにすることで予定になかった商品まで購入していただけるといった効果も期待できます。

※当記事は2023年7月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。