手間がかかる方がよく売れる?
数ある商品やサービスの中から、私たちはなぜそれを選んでしまうのか?

2024年2月26日

流通お店づくりトピックス

■業種・業態:小売業  
■キーワード:価値/愛着/手間/社会的規範

スーパーで1980円の値札が付いたお寿司を手に持っている女性のイラストイメージ

本来以上の価値を感じさせる「イケア効果」

手作りした子ども服や陶芸体験で作った湯呑み茶碗。もう使わないとわかっているのに、なかなか捨てられないという経験はありませんか。私たちは自分が労力をかけて作ったものに対して、本来以上の価値を与えてしまう傾向があります。

例えば、組み立て式の家具でも、完成品で購入したものより、自分で苦労して組み立てた方が価格以上の価値と愛着を感じます。

人によっては面倒と感じるこうした作業が逆に高い価値を感じさせる現象を、行動経済学で「イケア効果」と呼びます。世界的な家具メーカー・IKEA(イケア)の家具の多くがユーザーによる組み立てを必要とすることから、そう名付けられました。

アクセサリーや小物を自作する人が利用する100円ショップの手芸コーナーや、ホームセンターの日曜大工コーナーの人気が高いのも同じ理由からです。

他人の目を気にする「社会的規範」も作用

あえて手間を要する商品を提供することで、お客様からの評価が高まり、よく売れる例は少なくありません。

近年、スーパーマーケットや通販などで売上を伸ばしている「ミールキット」もその一つ。あらかじめカットした食材や調味料などをセットにして販売することで、フライパンなどで火を通すだけで手軽に本格的な料理を楽しめるだけでなく、手作り感が出やすく、「料理をした」という達成感を得やすいのも人気の秘密です。

ミールキットが売れるのは、他人の評価を気にしたり、他人に配慮したりする「社会的規範」が働いていることも理由の一つです。

たとえば、できあいの惣菜を食卓に並べるだけで、家族に「手抜きをしているのでは?」と思われないためにも、多少手間がかかってもミールキットの方を選ぶというわけです。

※当記事は2023年10月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。