HP内チラシ、SNSなどオンライン販促増える
スーパーマーケット業界3団体
「2023年統計調査結果」より

2024年4月22日

流通トピックス

■業種・業態:スーパー  
■キーワード:折込チラシ/来店宅配/ネットスーパー/移動スーパー

スーパーマーケットの看板イメージ画像

前回に続きスーパーマーケット業界3団体(一般社団法人全国スーパーマーケット協会、一般社団法人日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会)が調査した「2023年スーパーマーケット年次統計調査報告書」より、販売促進とプライベート商品についてレポートします。

同調査は、2023年7月~8月の期間、952社にアンケートを送付、有効回答は283社(回収率29.7%)を得ています。

<販促・サービス>
折込チラシの発行率84%、地方ほど高い傾向

紙チラシの画像

新聞折込チラシを発行している割合(発行率)は84.1%で、前回22年調査より7ポイント減少しています。地方圏と都市圏との差が大きく、地方は89%に対し都市は75%と14ポイントほど高くなっています。地方ほどチラシに頼る傾向がまだまだ強いようです。また、企業規模では大規模チェーンになるほど高くなっています。

週当たりの新聞折込チラシの発行回数は「1回」の割合が47.4%と最も高く、次いで「2回」の42.1%が続いています。ここ数年では「1回」の増加傾向が続いていて、平均では週当たり1.6回。こちらも規模が大きくなるに従って発行回数が増える傾向にあり、都市圏より地方の発行回数が多くなっています。

今後、折込チラシを増やしたいかの意向では「増やしたい」が僅か1.2%に対し、「減らしたい」が44.2%と圧倒的に上回っています。ただ、実際の発行率が8割を超えている現状をみると、競合の関係で減らしたいけど減らせないというのが現状のようです。

新聞折込チラシ以外の販促手段では、「自社ホームページジ内にチラシ掲載」が71.5%と最も多く、次いで「SNS」の61.0%、「電子チラシ」の51.9%が続いています。

企業規模別では、保有店舗数が多い企業で、電子チラシ、SNS、ホームページ内でのチラシ掲載、携帯・スマホアプリなどオンラインを利用した販促手段の実施率が高くなっています。特に51店以上の企業では携帯・スマホアプリでの実施割合が高くなっています。

一方で、地方圏では、テレビCM、ラジオCM,新聞・雑誌の紙面広告などといった従来のメディアの実施割合が都市に比べ高くなっています。また、シニア優遇サービス、子育て優遇サービスなども地方での実施割合が高いという結果になりました。

<店舗外販売、配送>
来店宅配48%実施、ネットスーパー、移動スーパーも増加傾向

食材とトラックの模型のイメージ画像

店舗販売分の配送サービス(来店宅配)は一部店舗での実施も含めると、48.6%の企業が実施していて、実施率は最も高くなっています。続いて移動スーパーの実施率が35.2%、インターネットで注文を受けるネットスーパーの実施率は20.7%で年々実施率が高まっています。

ピックアップサービスの実施率は9.7%、フードデリバリー事業者による配達は8.0%と1割未満ですが、年々増える傾向にあります。

全体的に都市圏は移動スーパーを除いたサービスの実施率が地方に比べ高いようです。

今後の実施意向では、導入ないし拡大したいという企業の割合は移動スーパーで22.9%、ネットスーパーで21.6%と2割強が意欲を示しています。地域別では都市圏で店舗販売分の配達サービスの割合が高く、地方では移動スーパーの割合が高くなっています。

ネットスーパーの総売上高に占める売上割合は1.5%で前回の1.4%よりは上がっていますが、こちらも都市圏1.7%に対し地方圏1.1%と都市圏の方が高くなっています。

個店単位では、1割というケースもあるようですが、全体的にはまだまだ低いのが現実のようです。

<PB商品の取扱い状況>
8割の企業が扱い、荒利確保効果が高い

プライベートブランドの商品イラスト画像

PB(プライベートブランド)商品を取り扱っている企業は80.5%と多く、21年の70.6%から1割増え、増加傾向が続いています。規模別では店舗数の多い企業ほど比率が高くなり、大規模チェーンでは91.9%の企業がPBを扱っています。この調査を見る限り、PBを扱っていない大手企業は1割弱ということで、むしろ珍しい存在になってきています。

PB商品の開発形態はボランタリーチェーンなどの加盟団体開発商品が70.0%で最も多く、次いで、自社開発商品、共同開発商品が共に36.8%と4割近くになります。

やはり、店舗数の多い企業ほど自社開発商品の割合が高く、都市圏では自社開発型が多くなり、地方では加盟団体開発商品の割合が高くなっています。

PB商品の取扱い効果では、「荒利益の確保」の割合が78.8%と最も高く、「商品の安心、安全の向上」の50.8%、「企業ブランド価値の向上」の48.1%が続いています。店舗数の多い企業ほど、これらの効果の全てで割合が半数を超えており、店舗数の少ない企業よりPBのメリットが多く感じられているようです。

PB商品の売上高について、総売上高に占める比率は平均10.1%。22年の10.3%からは微減。回答比率では10%未満の割合が23.7%と最も高く、5%未満の割合も22.9%で10%未満が多くを占めています。20%以上は17.9%あり、都市圏の企業ほどPB商品売上げ比率は高くなっています。PBに対して、安さにプラスしてブランドとしての信頼感も出てきているのを反映しているようです。

前年との増減では、PB扱いが増えている企業は、ドライグロサリーで50.1%、生鮮・日配45.5%でその割合が増えていて、全体的に増加傾向にあります。こちらも51店舗以上展開している大手チェーンでは、各カテゴリーで増えていると回答している割合が他の企業に比べて高くなっています。やはり、規模のメリットというPBの特徴を示しているようです。

7割の企業がPB増やしたい
安さに加え高質、安全、安心、健康を重視

女性が買い物したものを持っているイラスト画像

今後についても、約7割の企業がドライグロサリー、生鮮・日配でPB商品を増やしたいと答えています。大規模チェーン程、各カテゴリーで増やす意向ですが、地方では特に生鮮・日配を除く、グロサリーなどスケールメリットの出やすいカテゴリーでのPB商品取扱いの意向が強くなっています。

各カテゴリーでのPBの売上構成比はドライグロサリーが44.0%と最も高く、生鮮・日配の43.2%、日用雑貨の8.1%と続く。企業規模別では大手チェーンではドライグロサリーが73.0%と他の企業に比べ高い一方で、生鮮・日配は11.4%と低くなっています。

PB商品の位置付は「低価格」が76.8%と最も多く、ついで「高品質」が55.5%、「安全・安心」が52.6%で、安さだけのイメージから、高質、安全、安心、健康を重視した戦略への転換が図られています。

ただ、地方圏では低価格の割合が都市圏に比べ高くなっていて、地方での経済環境の厳しさを反映しているようです。

原料価格高騰時のPB商品の対策では、「商品の内容は変えずに原料価格上昇分を売価に転嫁」が56.4%で最も多く、次いで「付加価値を加えるなどした上で原料価格上昇分を売価に転嫁」が48.9%、「容量を減らすなどして価格を維持する」が43.9%と、何らかの対策を講じる企業が半数近くに上ります。

ただ、地方では商品内容は変えないで価格転嫁する割合が比較的高くなっています。

(文)株式会社ストアジャパン社
発行・編集文責:株式会社アール・アイ・シー
代表取締役 毛利英昭

※当記事は2023年12月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。