人はなぜ衝動買いをする?
数ある商品やサービスの中から、私たちはなぜそれを選んでしまうのか?

2024年2月26日

流通お店づくりトピックス

■業種・業態:小売業  
■キーワード:バイアス/ヒューリスティック/損失回避性/時間的選考

スーパーで1980円の値札が付いたお寿司を手に持っている女性のイラストイメージ

バイアスを引き起こすヒューリスティック

スーパーマーケットのレジ横に置かれたスナック菓子や乾電池。会計の順番待ちをしている間についカゴに入れてしまう。あるいは特売品という値札の付いた洋服。それほど気に入っているわけではないのに、思わず買ってしまう。

こうした「衝動買い」は誰でも経験があることでしょう。

人は安価な商品やこだわりのない商品を購入する際は、短時間である程度満足のいく答えを引き出す思考回路(ヒューリスティック)を使っていますが、このヒューリスティックは常に正しい判断を下すとは限りません。

状況によっては自分に都合よく解釈するバイアス(偏った考え方)を引き起こすことがあります。

「損失回避性」と「時間的選好」が影響

例えば、結婚式に着ていくフォーマルドレスを探していた女性。1万9,800円のドレスを買おうとしたところ、「今なら2着で2万9,800円」という表示が目に入り、思わず2着買ってしまいました。

冷静に考えれば、2着も買う必要はなく、もう1着はクローゼットの肥やしになる可能性が大です。

この場合、最初に目にした1着1万9,800円という金額が心に残るため、2着で2万9,800円という金額が相対的に安く感じます。また、「今だけ」と期間が限定されているため、このタイミングを逃すとお得に買える機会を失ってしまうと考えます。

行動経済学ではこれを「損失回避性」と呼び、特売セールなどで必要ないものまで買ってしまうのは、こうした「損をしたくない」という判断が働くためです。

さらには「時間的選好」といって、私たちは先のことより「今」を重視します。必要のないドレスを買うのも、将来的なメリット(いつか着る)より現在のメリット(安く購入できる)を大きく感じるからです。

身体に悪いと思っていても深酒したり、ダイエット中の人が食べ放題のレストランに行ってしまうのも、将来の利益より現在の楽しみを優先したいという同じ原理に基づいています。

※当記事は2024年1月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。