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売上分析の必要性とフレームワーク・ツールの特徴
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売上目標の設定や、達成に向けた施策の決定を、長年の店舗経営の「経験」のみに基づいて行っていませんか?

消費者の嗜好が多様化している現在では、定性的な勘に頼った事業運営で売上を拡大していくのは難しくなっています。売上目標の設定やマーケティング施策の立案を行うには、定量的な観点からの売上分析は不可欠です。

こちらでは、売上分析の必要性について、さらに分析実行のためのフレームワークを具体的に紹介していきます。

売上分析が必要な理由

売上分析とは文字通り、売上に関するデータをベースにした、さまざまな手法からの分析アプローチです。主に売上向上が目的とされますが、次の2つの理由から欠かせない施策に位置付けられます。

  • 売上状況を把握できる
  • 目標設定に活用できる

売上状況を把握できる

売上向上には目標設定が欠かせませんが、その前段階で必要となるのが売上状況の把握です。

把握すべき売上状況

  • 商品別売上
  • 顧客別売上
  • 販売チャネル別売上
  • 営業担当者別売上 など

さまざまなベクトルから多角的に売上状況を精査すると、事業成長のボトルネックとなっている部分や、売上向上を目指すための課題が見えてきます。

目標設定に活用できる

売上状況の課題を把握し、強化・改善を図るべき点がつかめたら、具体的な目標設定および実現するための施策立案フェーズに入ります。

たとえば30代の顧客の売上が低迷しているのであれば、全体の売上目標とは別に30代の顧客の売上目標を設定し、属性にカスタマイズしたマーケティング施策を検討していきます。

明確な根拠がなく立てられた目標では、従業員から見れば「絵に描いた餅」となりかねません。組織としてモチベーションを高く維持し、達成を目指していくのは難しくなってくるでしょう。売上分析を明確な根拠として、達成可能な目標を設定することで、従業員のモチベーションアップ、ひいては目標の達成、事業成長が期待できるようになります。

売上分析のフレームワーク

ビジネスの場でしばしば用いられるフレームワークとは、分析や戦略立案、意思決定などに汎用的に活用できるように体系化された共通の考え方や枠組みのことをいいます。

売上分析に役立つフレームワークとして、次の6つの手法について確認していきましょう。

  • 因数分解
  • ABC分析
  • RFM分析
  • アソシエーション分析
  • デシル分析
  • 重回帰分析

因数分解

因数分解は、売上を構成する要素を分類し、売上減少あるいは増加の原因を追究する手法です。

たとえば、特定の商品の売上が減少しているケースでは、『売上=販売数×単価』と因数分解を行い、さらに販売数をさまざまな要素から分解することで原因を探っていきます。

一例として、商品Aの販売数は以下のように分解できます。

「販売数」の因数分解の一例

  • 顧客の年齢属性から分解
    20代の顧客の購入数+30代の顧客の購入数+40代の顧客の購入数+50代の顧客の購入数+60代以上の顧客の販売数
  • 販売時期(月)から分解
    1月の販売数+2月の販売数+3月の販売数…(中略)…10月の販売数+11月の販売数+12月の販売数
  • 地域から分解
    Aエリアの販売数+Bエリアの販売数+Cエリアの販売数+Dエリアの販売数+Eエリアの販売数
  • セールス担当者から分解
    営業担当者Aの販売数+営業担当者Bの販売数+営業担当者Cの販売数+営業担当者Dの販売数

このように要素を細かく分解することで、売上が減少している要素を特定できれば、原因に応じた対策を講じられます。

なお、販売数を分解しても原因がつかめない場合には、単価が適正かどうか、相場は上下していないかといった、別の切り口からの分析を実施し、原因を求めていきます。

ABC分析

ABC分析は、売上高などを基準として、商品を3つのグループに分類して管理する手法です。

グルーピングの一例

  • A:よく売れている商品
  • B:売れ行きがまずまずの商品
  • C:あまり売れていない商品

こうしたラベルの付加によって、グルーピングに応じた商品個別の施策を講じられるようになります。

施策の一例

  • A:よく売れている商品 → 発注量を増やす
  • B:売れ行きがまずまずの商品 → 発注量を変えずに様子を見る
  • C:あまり売れていない商品 → 発注量を減らす

ABC分析によって売れ筋商品や死に筋商品を把握し、仕入れを調整することで、在庫管理が適正化されます。売れ筋商品の欠品による販売機会の損失を防ぐとともに、過剰在庫の未然防止によるコスト削減も両立できるでしょう。

RFM分析

RFM分析は顧客分析の手法のひとつです。下記の3つの指標で顧客を分類し分析を行うことから、それぞれの頭文字をとってRFM分析と呼ばれています。

  • Recency:最終購入日
  • Frequency:購入頻度
  • Monetary:購入金額

さらに、3つの指標ごとにそれぞれ3~5つ程度のランクを設定し、「優良顧客」「安定顧客」「休眠顧客」「新規顧客」といったグルーピングを講じます。

グルーピングの一例

  • 優良顧客:RFMすべての指標で最高ランクに該当する顧客
  • 安定顧客:最終購入日(R)・購入頻度(F)は最高ランクだが、購入金額(M)は低ランクの顧客
  • 休眠顧客:購入金額(M)は高ランクだが、最終購入日(R)が低ランクで離反傾向にある顧客

このようにRFM分析によって顧客をグルーピングし、それぞれの属性に合わせたマーケティング施策を講じます。

施策の一例

  • 優良顧客:他店に目移りしないよう、優待制度の導入などロイヤルティを高める施策
  • 安定顧客:購入金額(M)を高めるためのクロスセルキャンペーンなど、低ランク指標を高ランクに促す施策
  • 休眠顧客:店舗への再訪を促すキャンペーン・販促施策

なお、POSデータを用いてRFM分析を実行するには、ポイントカードやアプリなどの会員登録から取得できる顧客データを、POSシステムに反映する仕組みが必要になります。

アソシエーション分析

アソシエーション分析とは、膨大な購買データをもとに『もしAならばBである』といったパターンや、商品の関連性のルールを導き出す手法です。なお、このルールはアソシエーションルールと呼ばれます。

購買パターンの一例

  • パンとカップスープを買うとき、多くの人が牛乳を買っている
  • 紙おむつを買うとき、多くの人がビールを買っている

アソシエーション分析においては、「○○を買うときに▲▲を買う」という情報が、定量的な数字に裏付けされて定義されます。「紙おむつ」と「ビール」のように関連性の薄そうな商品であっても、データからルールが導き出されることもあるため、主観の介在は避けるべきでしょう。

一緒に購入されることが多い商品がわかれば、それぞれの商品の陳列場所を近くに設定するなど、売上増加につながる施策を講じられます

デシル分析

デシルには10等分という意味があり、デシル分析とは、購買履歴データから過去の購入金額を顧客ごとに算出し、購入金額順に10等分にグループ分けをする手法です。

さらに、グループごとに構成比や平均購入金額などを算出していきます。

グループごとの構成比や購入金額の一例

  • 上位3グループだけで売上全体の60%を占めている
  • 下位4グループの売上は全体の10%以下

デシル分析の活用で、構成比や平均購入金額から分類したグループの特性に合わせ、効率のよいマーケティング施策が可能になります。

上記の例では、強力な上位グループに向けた重点的な販促アプローチを行うことで、さらなる売上のアップが見込めます。一方、下位のグループの顧客に向けて別のアプローチを図り、底上げを図る施策も検討されるでしょう。

なおデシル分析の場合は、過去に一度または数度、高額の購入があり、最近では購入がないという顧客も上位グループに入ってくる点などに注意が必要です。

重回帰分析

重回帰分析は統計手法のひとつで、「重」は複数、「回帰」は因果関係を意味します。重回帰分析では、結果(目的変数)に関連すると想定される複数の要素(説明変数)について、どの程度の影響がおよんでいるのかを分析する手法です。

目的変数と説明変数の一例

  • 目的変数:売上
  • 説明変数:販売数量・顧客人数・顧客単価・販売チャネル など

この重回帰分析の実施で、売上減少や増加の要因を探ることができます。

たとえば売上が減少しているものの、顧客人数に変化は見られず、顧客単価が下がっているケースです。売上減少の要因として顧客単価低下の影響が疑われるため、先のアソシエーション分析を活用したセット売りを促進するなど、顧客単価アップに向けた施策を講じていきます。

売上分析に使えるツール

効率的かつ確実な売上分析には、次のようなツールの活用が欠かせません。

  • Excel
  • BIツール
  • CRM・SFAツール

ツールそれぞれの特徴や活用方法などを確認していきましょう。

Excelでの売上分析

Excelは売上分析に活用される代表的なツールです。集計したいデータに応じたカスタマイズの用意さや、ピボットテーブルを用いたデータ集計機能、あるいはさまざまな関数を活用できることが特徴です。

エクセルを使ったデータ分析に向いているのが、先に挙げたABC解析です。商品ごとの売上データを売上金額が多い順に並び変え、売上構成比を算出してランク分けする際に、ピボットテーブルやSUMIF関数を用いる要領です。

ただし、Excelでの売上分析は難易度が高く、関数の知識・スキルが求められるケースが多いため、業務が属人化しがちです。また、データ量が膨大になるとパソコンに過大な負荷がかかるといった問題もあります。

BIツールでの売上分析

BIは「Business Intelligence(ビジネス・インテリジェンス)」の略語で、BIツールは企業や店舗が所有する膨大なデータを収集・分析し、経営の意思決定を支援するツールです。営業支援システム(SFA)、顧客管理システム(CRM)などに蓄積されたデータとも連携し、分析を行えます。

一般的なBIツールではABC分析のほか、データの関連性を分析するOLAP分析、データを統計的に処理するデータマイニングなど、高度な分析を実行できます。

ただし、分析結果を効率的に活用していくには、担当者に確かなマーケティングの知識が求められることもあります。高度な分析が可能である反面、多機能性が仇となることもあるでしょう。

Excelでの売上分析

Excelは売上分析に活用される代表的なツールです。集計したいデータに応じたカスタマイズの用意さや、ピボットテーブルを用いたデータ集計機能、あるいはさまざまな関数を活用できることが特徴です。

エクセルを使ったデータ分析に向いているのが、先に挙げたABC解析です。商品ごとの売上データを売上金額が多い順に並び変え、売上構成比を算出してランク分けする際に、ピボットテーブルやSUMIF関数を用いる要領です。

ただし、Excelでの売上分析は難易度が高く、関数の知識・スキルが求められるケースが多いため、業務が属人化しがちです。また、データ量が膨大になるとパソコンに過大な負荷がかかるといった問題もあります。

CRM・SFAツールでの売上分析

CRMは「Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)」の略語で、顧客管理ツールとも呼ばれます。顧客それぞれの購買履歴データを活用し、顧客の購買行動を分析。属性に応じたマーケティング施策を展開できます。

SFAは「Sales Force Automation」の略語で、いわゆる営業支援システムのことです。営業活動を開始してから受注に至るまでの進捗や課題を可視化するツールとして主に用いられています。

SFAのなかにも、付帯するレポーティング機能などによって売上分析を行えるツールもあります。一方、CRMの機能の一部がSFAと見なされることもあるなど、CRMとSFAの違いは明確ではありません。

POSデータ分析から分かること

POSシステムの「POS」とは「Point of Sale」の略語で、商品が販売された時点の情報を管理するシステムです。

レジ集計や発注などの店舗オペレーションの効率化に寄与しますが、POSシステムの役割はそれだけではありません。取得したPOSデータを分析・活用することで、売上や収益アップといったマーケティング施策を推進できるツールでもあるのです。

POSレジなどの端末のスキャナーで商品のバーコードを読み取って決済処理を行うと、さまざまなデータを取得できます。

  • 購入された商品の名称
  • 商品の価格
  • 購入個数
  • 購入日時
  • 購入店舗
  • 顧客の属性情報
  • 顧客の購入履歴 など

また、最近のPOSシステムには売上分析機能も備わっています。商品別の分析や、時間帯別、顧客別に分析することで、在庫管理やマーケティング施策に活用できます。多くの小売店などに導入されているPOSレジは、データ分析の起点となる重要なツールです。

急速に進むデジタル化は、小売店のマーケティングにも変革をもたらします。データの利活用はますます重要性を増し、POSデータの分析は店舗運営のカギを握るでしょう。

これからのデータ分析には、属人性を極力排除した定量的なアプローチが求められます。POSデータを多角的に分析し、効果的な店舗運営施策を提案する弊社システム「データソリューション」の導入をぜひご検討ください。

急速に進むデジタル化は、小売店のマーケティングにも変革をもたらします。データの利活用はますます重要性を増し、POSデータの分析は店舗運営のカギを握るでしょう。

これからのデータ分析には、属人性を極力排除した定量的なアプローチが求められます。POSデータを多角的に分析し、効果的な店舗運営施策を提案する弊社システム「データソリューション」の導入をぜひご検討ください。

まとめ

定量的なデータに基づいた売上分析の実行は、これからの店舗運営に欠かせません。適切な在庫管理やニーズに応じた売場構成を実現できるほか、顧客の属性に合わせたマーケティング施策も展開できます。

具体的なアクションとして、まずは高機能化が進むPOSレジの有効活用に取り組みましょう。POSレジから取得できるデータは分析の起点となり、店舗のマーケティングにおいてますます重要性を増していきます。属人性を排除し定量的な分析アプローチを実行するために、POSデータの分析システムの導入もあわせて検討してみましょう。

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