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ペルソナ分析とは
ターゲットとの違いと分析手順・設定のポイント

ペルソナ分析は幅広い業界で活用されているマーケティング手法で、その重要性はますます増しています。消費者の嗜好が多様化している現代では、多くの人に受け入れられる商品やサービスの展開を求めるのではなく、ペルソナ分析によって特定の顧客層へアプローチを図ることが重要視されているためです。

ペルソナ分析とはなにか、進めるためのフォーマットやメリット、成功事例などを紹介していきます。

ペルソナ分析とは

ペルソナは「人格」といった意味を持つ言葉ですが、マーケティングにおいては商品やサービスの典型的なユーザー像のことをいいます。そしてペルソナ分析とは、顧客視点からの商品・サービスの開発やプロモーションを推進するために、ペルソナの設定を詳細に行うマーケティング手法です。

ペルソナ分析の重要性

優れた機能を持つ商品やサービスであっても、具体的なニーズがなければ売上には結びつきません。また、プロモーションにコストをかけても、対象となる商品やサービスの必要性を感じていない層にアプローチしていては、訴求効果は期待できないでしょう。

顧客のニーズや購買層を把握すべくペルソナを設定することは、売れる商品・サービスを開発し、効果的なプロモーションを行っていくために重要です。

ペルソナとターゲットの違い

ペルソナに似た用語として、「ターゲット」があります。両者は混同されやすく、いずれも商品やサービスを利用すると見込まれるユーザーを示すものです。

ただし、ペルソナはターゲットよりも詳しくユーザー像を設定し、特定の人格や属性を付与した「人物」を明確化します。この明確化により、ペルソナのイメージは具体化され、共有も容易となることから、関係者間の認識齟齬も生まれにくくなります。

  • ターゲットの例:30代・女性・会社員
    年齢や性別、職業といった基本情報を設定し、幅を持たせた人物像を設定します。
  • ペルソナの例:34歳・女性・会社員・都内に居住・夫と子ども1人の4人家族・趣味は食べ歩き・価格よりも自分の「好き」を大事にしたい
    ライフスタイルや趣味、価値観といったものまで設定し、具体的に1人の人物像をイメージできるレベルまで詳細に設定を行います。

ペルソナ分析のフォーマット

ペルソナ分析は基本的に次の手順で進めていきます。

  1. ターゲットユーザーを絞り込む
  2. ターゲットについてのデータを収集する
  3. ペルソナについて細かく設定する

1.ターゲットユーザーを絞り込む

まずは自社の商品やサービスの顧客になることが想定されるターゲットユーザーを絞り込みます。

ただし、商品やサービスの特性から、想像のみでターゲットユーザーを定性的に設定するのは厳禁です。類似する商品やサービスの顧客情報を収集し、定量的なアプローチを行います。アンケート調査を実施する、自社のポイントカードやネット通販で取得している会員情報の属性を活用するといった方法も考えられます。

2.ターゲットについてのデータを収集する

絞り込まれたターゲットユーザーを対象に、商品のコンセプト案の評価を行うコンセプト受容性調査をアンケートやインタビューから実施します。

コンセプト受容性調査では、コンセプト案に対する評価のほか、下記のような質問項目を設定します。

  • 購入する価格帯やブランドなど「消費パターン」
  • 週末の過ごし方など「生活パターン」
  • ライフスタイル、趣味 など

これにより、開発する商品やサービスへの評価が高いターゲットユーザーの属性をつかめます。

また、コンセプト受容性調査をアンケートによって実施する場合には、評価の理由を記入する自由記入欄を設けておくと、心理要因の把握に役立てられます。

3.ペルソナについて細かく設定する

コンセプト受容性調査から把握したターゲットユーザーの属性をもとに、ペルソナの詳しい設定を行います。

【ペルソナの主な設定項目】

  • 氏名や年齢、性別など基本情報
  • 居住地
  • 婚姻の有無
  • 家族構成
  • 職業や役職
  • 年収
  • 学歴
  • 趣味
  • 好きなブランド
  • 休日の過ごし方
  • 情報収集の方法 など

なお、ペルソナに設定することが望ましい項目は、商品やサービスによって異なります。たとえば、自動車に関連する業界であれば、体格や運転の頻度、車でよく出かける場所などの項目も設定すべきでしょう。

ペルソナ設定のポイント

「きっと、こんな人に売れるだろう」といったマーケティング担当者の思い込みに頼ったペルソナ設定は危険です。データなど客観的な根拠にもとづかず、思い込みや先入観からペルソナを設定すると、実態とはかけ離れたユーザー像になってしまう可能性があります。

ペルソナに類似する人物が世の中にいなければ、ペルソナを設定する意味は形骸化します。ペルソナは「確かに、こんな人いるよね」と無理なくイメージできるような「あるあるパーソン」でなければいけません。そして客観的なデータこそが、ペルソナの実在を示す根拠になるものと認識しましょう。

また、ペルソナはマーケティング担当者だけではなく、商品企画担当者や営業担当者など、商品やサービスの開発やプロモーション、販売に携わるすべての関係者に伝わりやすく、共有しやすいものとすることもポイントです。たとえば、ペルソナをイメージしたイラストや画像を企画書などに載せると、伝わりやすくなります。

ペルソナ分析のメリット

ペルソナ分析を行うメリットには、主に次の3点が挙げられます。

  • 顧客視点で考えられる
  • 集客力アップが見込める
  • 関係者が共通認識を持てる

顧客視点で考えられる

ペルソナを明確にすることで、顧客の行動や興味を持つことを具体的に推測できるようになるなど、商品やサービスの開発からプロモーションまで、顧客視点で考えられるようになります。

開発段階では、ペルソナをもとにどんな商品やサービスが必要とされているのか、購買意欲を掻き立てられる企画を生み出せます。また、どのようなプロモーションによるアプローチが顧客に刺さるのか、効果的な販促施策も打ち出せます。

集客力アップが見込める

ペルソナを実際にいる人物のように詳細に設定することで、SNSやWEBメディア、WEB広告など広範なチャネルからの集客が見込めることもメリットです。ペルソナの情報収集の方法やライフスタイルなどをもとに、SNSの使い方や閲覧するWEBメディアなどを判断できるためです。

また、WEB広告を出稿する媒体の選定や、興味を惹く広告デザインやコンテンツの制作もペルソナに合わせて行うことで、集客効果のアップが見込めます。

関係者が共通認識を持てる

商品やサービスの開発からプロモーションまでには、多くの人が関わります。詳細に設定されたペルソナは、社内の関係者が共通認識をもってプロジェクトを進行するための指針としても機能します。

ターゲットに対する認識のズレが生じてしまうと、一旦進行していた作業の手戻りによるスケジュールの遅延や不必要なコストの増加を招きかねません。「ペルソナはこちらを好む」「ペルソナはこれには興味を持たない」といった判断軸ができると、スムーズに意思決定が行われ、効率よく業務を進められるようになります。

ペルソナ分析のデメリット

ペルソナ分析は、詳細なペルソナを設定するためのデータ収集や調査などの手間がかかることがデメリットです。データ収集や調査による客観的な根拠がないケースや、あるいはリサーチ不足のケースなどでは推測に頼る部分が大きくなり、誤ったペルソナを設定してしまうことにもなりかねません。

まとめ

マーケティング手法にペルソナ分析を取り入れることで、商品やサービスの開発からプロモーションに至るまで、明確な判断軸を持って業務を推進できるようになります。ただし、ペルソナ分析はデータにもとづいた手法であることが大前提です。思い込みによらない正しいペルソナを設定するには、データの収集や調査が欠かせません。

ポイントカードなどの会員情報とも連動したPOSデータなどをペルソナ分析の推進に活かせるよう、適切なデータ分析の手法の理解・実践も重要なポイントになるでしょう。

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