販売促進のアイデア事例
目的や効果、アイデア企画の方法
市場に多くの商品やサービスがあふれる一方で、消費者のライフスタイルや嗜好は多様化の一途をたどります。「モノが簡単に売れない時代」ともいえる昨今、販売促進の施策として、どのようなアイデアを実践していけばよいのでしょうか?
販売促進の目的や具体的なアイデアの事例、実際に販売促進企画を推進する方法を考えていきます。
販売促進アイデアの事例
ここでの「販売促進」とは、消費者の購買意欲を刺激するための活動全般と定義します。「販促」と略されることも多く、セールスプロモーションとも呼ばれるものです。
まずは販売促進のアイデアとして、よくある事例の「成功例」「失敗例」それぞれを紹介していきます。
<成功例>
- 漫画、アニメとのコラボレーション
- 有名人・インフルエンサーの起用
- 期間限定商品の企画
<失敗例>
- 割引キャンペーンの開催
【成功事例】漫画やアニメとのコラボレーション
漫画やアニメとのコラボレーション展開は、幅広い種類の商品に応用できるアイデアです。作品やキャラクターの選び方に応じて、子どもから大人まであらゆる年齢層をターゲットに設定できます。
人気の漫画・アニメとのコラボレーション商品は高い話題性を呼び、広範な認知拡大を実現します。公式サイトやSNSによる周知なども強力な後押しとなり、多くの新規顧客獲得を期待できる施策です。
さらに、コラボレーション商品の購入者などを対象に、プレゼントキャンペーンなどを合わせて実施すると、ファンへの訴求効果が高まります。
たとえば、人気アニメとカップ麺のコラボレーション商品の発売では、公式Twitterのフォローとリツイートで、オリジナルグッズが抽選で当たるキャンペーンが実施され大きな話題となりました。また、別の人気アニメとカップ麺のコラボレーション商品の発売では、購入者を対象に抽選でオリジナルグッズをプレゼントするキャンペーンが行われた事例もあります。
【成功事例】有名人・インフルエンサーの起用
有名人やインフルエンサーにPRを依頼する手法は、商品の認知拡大から販売促進まで一気通貫のプロモーション効果が期待される企画です。
ポイントとなるのは、InstagramやTwitterなどターゲット層に適したSNSプラットフォームを選択すること、そしてブランドや商品のイメージにマッチした有名人やインフルエンサーを起用することです。注意点として、自社の信頼を損うことがないように、PR表示を必ずクレジットするように依頼することも重要になります。
インフルエンサーマーケティングの成功事例は数多く、たとえば高たんぱく質でヘルシーなスナック菓子の認知拡大のため、フィットネスモデルのインフルエンサーを起用した事例や、シャンプーのプロモーション動画を芸能人にリツイートしてもらい、商品理解を促進した事例などが挙げられます。
【成功事例】期間限定商品の企画
期間限定商品とは、数日間あるいは数週間といったように、あらかじめ期間を絞って販売する商品です。商品の希少性を高められ、「今しか買えない」という焦燥感を醸成することから、購入を促す高い効果が見込まれます。また、購入できる期間が限られていることから、SNSなどでトレンドになりやすいこともメリットです。
ただし、期間限定商品はあくまでも一時的な売上の増加が期待できる手法です。継続的に顧客を獲得していくには、適切な頻度で企画を繰り返し展開するといったアプローチも必要になります。
期間限定商品を使った販売促進は、コーヒーチェーンやお菓子、アイスクリームなどで幅広く使われているアイデアです。
【失敗事例】割引キャンペーンの開催
失敗してしまう事例として意外と多く見られるのが、対象者を限定しない割引キャンペーンです。
割引キャンペーンはお得感から消費者の目を惹きやすく、新規顧客を獲得しやすい手法ではあります。しかし、割引キャンペーンで顧客数は増えても、利益率は低下します。売上の増加と利益率の低下はトレードオフの関係です。また、新規顧客の継続的な利用につながらないケースも少なくありません。
割引キャンペーンでは会員登録を必須とするなど、リピート意欲を高められるような施策展開が重要になります。
販売促進の目的と効果
企業は販売促進を通じてなにを実現できるのか。販売促進を行う目的や効果について考察します。
- 新規顧客の獲得と過去客の掘り起こし
- 認知度の向上
- 売上の向上
新規顧客の獲得と過去客の掘り起こし
自社が取り扱う商品やサービスを購入したことのない消費者に対して、購買意欲を刺激して新規顧客を獲得すること。これは販売促進の主たる目的です。
また、過去に購入したことのある顧客がリピート利用しないのは、「商品がイマイチだった」「サービスに不満がある」といったネガティブな理由とは限りません。店舗や商品、サービスのことを単純に忘れてしまっているだけという可能性もあるでしょう。そこで、購入履歴のある顧客のニーズを掘り起こすためにも、販売促進が行われます。
認知度の向上
多くの商品やサービスがあふれる現代のマーケットでは、新商品をリリースしてもすでに類似商品が流通しているケースも多く、ほかの商品に埋もれてしまいがちです。自社の商品やサービスを知らない消費者に向けて露出を拡大し、認知獲得を目指すことも販売促進の目的のひとつになります。
売上の向上
販売促進を行う最終的な目的は、売上の向上にあります。
- 商品やサービスの認知拡大を図る
- 新規顧客を獲得する
- 既存顧客を維持していく
これらはすべて売上の向上に結びつくものです。消費者に対して、自社店舗や商品・サービスの認知拡大を図り、購入したいという意欲を刺激し、その結果として売上の向上を目指すことが販売促進のプロセスになります。
販売促進のアイデアを企画するには
実際に販売促進企画を展開して効果を得るには、企画~実証段階におけるポイントを押さえなければいけません。
- 顧客ターゲットを決める
- 販促時期やトレンドを捉える
- PDCAを実践する
顧客ターゲットを決める
販売促進の企画を検討する際には、まずはターゲットを明確に設定します。
- 誰に対して情報を発信したいのか
- どういうシーンで店舗を利用してもらいたいのか
- どのようなシーンで役立つ商品なのか
これらの点をあらためて整理しましょう。そのうえでターゲットを明確化し、ニーズに即した施策を展開していきます。
ターゲットが不明確なままで多くの人に向けた幅広い販売促進を行うと、訴求力も分散し、ターゲットを含めどの顧客層にもアプローチが刺さりにくくなります。期待していた水準の販促効果が得られないことにもなりかねません。
販促時期やトレンドを捉える
販売促進として自社の定番企画を繰り返し実施していると、目新しさがなくなることから、消費者の興味を惹けなくなります。季節に応じたアプローチを展開するなど、鮮度の高いトレンドを捉えた企画を実施するのがおすすめです。
たとえば、3月・4月には、新しく一人暮らしを始める人に向けた新生活に必要なものをセット販売する「新生活応援キャンペーン」。7・8月であれば、一定金額以上の購入者を対象に抽選でハンディ扇風機や冷感タオルなどが当たる「サマーキャンペーン」といったアイデアです。
PDCAを実践する
販売促進の企画を実施した後は、効果検証および分析を行って結果を振り返り、次回に活かしていくことが大切です。ターゲットの設定や予算、実施時期や内容はそれぞれ適切であったか、売上への効果はどの程度生まれたのかといった点を検証しましょう。
まとめ
販売促進は、ターゲットや目的を明確にしたうえで実施することがポイントです。販売促進の最終的な目的は売上の向上にあるため、短期的な数字だけに目を向けるのではなく、継続的に売上や利益を創出できるような企画を展開しましょう。