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リフト値とは?
計算方法・目安とマーケティングにおける考え方をわかりやすく解説

リフト値は、バスケット分析などに用いられている、マーケティング施策の効率性を示す指標です。商品同士の関連性や「ついで買い」の期待値計測などに活用されています。

リフト値とはなにか、その概要と分析のメリット・デメリット、販売戦略への活かし方などについて考察していきます。

リフト値とは

リフト値は、マーケティング施策の効率性を示す指標です。「Lift(リフト)」の言葉が「持ち上げる」「高揚する」などの意味を持つことから、リフト値はマーケティング施策を実施したことで、実施しない場合と比較して、どのくらいの効果を得られたのかを示す指標になります。

たとえば、ランダムに顧客にDMを送った場合と、購買額の大小でセグメントしてDMを送ったケースを比較し、施策の効率性を検証したいときなどに活用します。

実際のところでは、リフト値はある特定の「商品A」を購入した人が、別の「商品B」も一緒に購入する確率の算出に用いられているのが一般的です。

この場合のリフト値は、「Aが購入されるときにBも購入される確率(併売率)」を「来店者全体でBが購入される確率(買上率)」で割ったものです。

こリフト値が高い商品の組み合わせは、商品Aの購買によって商品Bの購買量が引き上げられていることを示します。リフト値が高いほど併売される可能性が高く、「ついで買いが期待できる」と評価できます

リフト値分析のメリット

リフト値分析は、分析手法とマーケティング施策の両面でメリットがあります。

分析手法

分析手法におけるメリットは、売れ筋商品のパフォーマンスに左右されにくい点です。

「Aが購入されるときにBも購入される確率(併売率)」だけをみると、売れ筋商品はあらゆる商品と一緒に購入される機会が多いため、無数の商品との組み合わせが成立してしまいます。

しかし、リフト値は併売率を「来店者全体でBが購入される確率(買上率)」で割って求めます。そのため、商品同士の関連性が的確に計測された指標となる点において優れた手法と評価できます。

マーケティング施策

リフト値を用いると、「商品AとBは一緒に売れることが多そうだ」といった「勘」に頼るのではなく、データに裏付けされた販売戦略を立案し、併売効果を狙えるようになります。

たとえば、商品Bの売上アップ戦略として特売コーナーを設けても、売上がさほど伸びなかったとします。しかし、リフト値分析で商品Bは商品Aと一緒に購入されている事実を把握できれば、商品Aの陳列棚の近くに商品Bを並べると併売されやすいと判断できます。

リフト値分析のデメリット

リフト値は定量的な根拠性を有する指標ではありますが、必ずしも信頼性の高い結果が出るとは限りません。

たとえば、もともと売上が少ない商品を対象に併売効果を分析するケースです。このように分析に活用できる母数が少ない場合は、たまたま同じ組み合わせで購入した人が数人いるだけで、リフト値は極端に高くなってしまうでしょう。買上率の低い商品のリフト値を算出する場合は要注意です。

リフト値の販売戦略・バスケット分析への活用

リフト値を実際に販促に活用する場合も、併売戦略に用いられるのが一般的です。特定の商品の売上を伸ばすために、併売されることの多い商品の近くに陳列する要領になります。特にスーパーマーケットのように、店内をまわりながら購買する商品を決定する顧客が多く、売り場構成が売上に大きく影響する業態で有効です。

リフト値分析は導線計画にも活用できます。リフト値の高い商品同士をスムーズに手にとってまわれる導線となるように、売り場をデザインしていくことも大切です。

こうした特性から、リフト値は「バスケット分析」に活用されています。バスケット分析は、特定の商品と一緒に購入されることが多い商品を分析する手法です。顧客がひとつの買い物かご(バスケット)に入れてレジに向かうもの、つまり1回の会計あたりで併売される商品を特定できます。

バスケット分析の有名な事例として、以下の分析結果があります。

  • 金曜日の夕方におむつとビールを購入する30代~40代の男性客が多い
  • 咳止め薬を果汁100%のジュースと一緒に購入する人が多い

この結果を受け、おむつとビールを併売しやすいよう導線を計画する。あるいは咳止め薬の売り場の近くに果汁100%のジュースを置くといった施策が浮上します。

おむつとビールのように、意外な組み合わせに関連性が見いだされるケースは少なくありません。リフト値分析・バスケット分析の活用で、あらたな販売戦略が生まれてきます。

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リフト値の計算式と目安

商品Aと商品Bの併売効果から、商品Aが商品Bの購買量をどれくらい引き上げているのかを計測するリフト値の求め方は以下の通りです。

商品Aと商品Bの併売率÷ 商品Bの買上率=リフト値

また、計測されたリフト値を評価する目安も押さえておきましょう。

  • リフト値 1以下:相関関係が弱い
  • リフト値 1以上:優位な相関性がある
  • リフト値 2以上:相関関係が強い

リフト値が高いほど、商品Aの購買が商品Bの購買量を引き上げていると評価できます。有意な相関関係を見出せるのは、リフト値1以上です。リフト値2以上の強い相関関係がある組み合わせは、積極的な販促活動に取り組むべきでしょう。

まとめ

リフト値は、併売されやすい商品の組み合わせをデータに立脚して把握できる、根拠性を有する指標です。分析によって、売上の伸び悩みが気になる商品が、実は意外な商品と一緒に買われていることがわかるかもしれません。

リフト値を参照した売り場づくりも効果的です。POSデータなどを活用して、販売を強化したい商品のリフト値を算出し、戦略策定に活かしていきましょう。

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