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ゴールデンゾーンとは?
高さや重要性、商品陳列方法も紹介

商品の陳列戦略は、小売店の売上に大きく関係してくる重要なオペレーションです。特に「ゴールデンゾーン」と呼ばれる位置は、商品棚の売り上げの8割以上を占めることになるため、ぜひ把握しておきたい用語です。

本記事では、商品の売れ行きを左右するゴールデンゾーンについて、その定義や重要姓、具体的な高さについて解説していきます。ゴールデンゾーンと合わせて知っておきたい、効果的な商品陳列の方法も押さえておきましょう。

ゴールデンゾーンとは

ゴールデンゾーンとは、什器(陳列棚)の商品陳列において、顧客が最も見やすく、手に取りやすい高さや範囲を指す言葉です。一般的には床から約75~135cmとされることが多いですが、この高さは顧客の身長によっても変動します。

什器における売上の8割はゴールデンゾーンに集中します。注力している新商品など、購買を強く促したい商品をゴールデンゾーンに並べることで、該当商品の売り上げアップに大きく貢献するでしょう。

なお、ゴールデンゾーンと類似する言葉に「ゴールデンライン」「ゴールデンスペース」があります。

  • ゴールデンライン:ゴールデンゾーンと同義の言葉
  • ゴールデンスペース:ゴールデンゾーンから上に10度、下に20度広い範囲。ゴールデンゾーンと同様に商品販促に適した陳列範囲

ゴールデンゾーンの重要性

ゴールデンゾーンを意識した陳列が重要視される理由は、次の2点に集約されます。

  • 商品の「視認率」の向上
  • 顧客の「購買意欲」の向上

普段の買い物を思い出してみるとイメージできますが、私たちは「商品を見つける→比較検討する→購入する商品を決める」の流れに沿って買い物をしています。

そのため、見つけやすく手に取りやすい高さであるゴールデンゾーンに売りたい商品を陳列することが、販促の第一歩となるのです。

商品の視認率の向上

顧客が陳列棚から商品を選んで購入するには、まずは商品を認知してもらえなければ始まりません。見つけてもらえない商品は、陳列棚にない商品と実質的に同義であり、見つけてもらえなかった商品が購入されることはもちろんありません。

注力商品の売上アップを図るには、顧客に見つけてもらう工夫が不可欠です。顧客が商品を見つけやすい位置=ゴールデンゾーンに商品を陳列し、商品が目に入る回数(視認率)を上げることで、購入確率の向上につながります。

顧客の購買意欲の向上

ゴールデンゾーンは什器の売り上げの8~9割を占めるといわれています。そのため、ゴールデンゾーンには主力商品を陳列することが一般的ではありますが、一方で売れない商品や主力商品と抱き合わせで購入してほしい商品を戦略的に陳列することも有効な活用方法になります。

普段、日の目をみにくい商品の視認率を上げることで、顧客の興味を引き、購買意欲を醸成。「ついで買い」を促すことで、収益アップが狙えます。

ゴールデンゾーンの高さ

一般的に床から約75~135cmと言われることが多いゴールデンゾーンの高さですが、実際の運用では顧客の身長や什器の高さによって変動します。ここでは顧客別、什器別にゴールデンゾーンの高さを紹介します。

【対象顧客別】ゴールデンゾーンの高さ

ゴールデンゾーンの高さは、性別や身長によって変動します。

ゴールデンゾーン
女性(身長160cm前後) 床から約120~150cm
男性(身長170cm前後) 床から約130~160cm
子ども 床から約80cm以下

上記は男女の平均身長から算出したゴールデンゾーンです。また、子どもは年齢や性別はもちろん、個人差による身長差が大きいため、一概に〇cmと定義するのは難しい側面があります。

【什器別】ゴールデンゾーンの高さ

ゴールデンゾーンは什器の種類によっても変わってきます。一般的な什器の種類に応じた高さを見ていきます。

  • 垂直型ゴンドラ
  • 張り出し型ゴンドラ
  • L型ゴンドラ
  • 冷蔵ケース

垂直型ゴンドラ

垂直型ゴンドラとは、側面から見て商品を置く棚部分が垂直になっている種類の什器のことで、ゴールデンゾーンは床から約75~135cmになります。

なお、ゴールデンゾーンのなかでも下部の方が視認率は高くなるので、力を入れたい商品は75cmほどの高さに配置すると売上アップを狙えるでしょう。

張り出し型ゴンドラ

張り出し型ゴンドラとは、床面にかけて棚部分が徐々に張り出しているタイプの什器のことで、張り出している棚部分がゴールデンゾーンに該当します。そのため、床から75cm以下がゴールデンゾーンになります。

特に最下段の棚の視認率が高いので、売りたい商品は最下段に設置するのがおすすめです。

L型ゴンドラ

L型ゴンドラとは、最下段が張り出したタイプの什器です。側面から見るとL字型になっているためL字型ゴンドラと呼ばれており、床から約75~135cmの高さに加えて、最下段もゴールデンゾーンに該当します。

L型ゴンドラでは、高い位置にある商品は高額に、低い位置にある商品は特売品や安価な商品が並んでいると感じる購買心理も加味しましょう。利率の高い商品を最下段に設置することで、高い収益性が見込めます

冷蔵ケース

冷蔵ケースとは、冷凍商品や飲料品、生鮮食品などが陳列されている冷蔵機能のついた什器のことです。什器のなかでも最も視認性が高いため、ケース全体がゴールデンゾーンといっても過言ではないでしょう。

ただし、冷蔵ケース内でも視認率は異なります。人の目線は左上からZ字を描いて右下で止まる傾向があるため、最初に目線がいく左上に売りたい商品を設置するのがおすすめです。

ゴールデンゾーンと通路幅の関係

ゴールデンゾーンは通路幅によっても変わります。顧客が立つ位置によって、什器を捉える視界の幅が変わるからです。

たとえば通路幅が2mある場合は、什器から一定の距離を取れます。その分、視界で捉えられる範囲は広くなるので、什器の足元から上下全体がゴールデンゾーンになります。

一方、通路幅が1mと狭い場合、顧客の立ち位置は什器に接近します。結果、視界が狭まるため、上段のみがゴールデンゾーンになります。

ゴールデンゾーンに設置すると良い商品例

ゴールデンゾーンに設置するのは、次のような商品がおすすめです。

【ゴールデンゾーンに設置すると良い商品例】

  • 新商品
  • 売れ筋商品
  • 力を入れている商品
  • 割引商品

季節限定商品や新商品などは、宣伝の意も込めてゴールデンゾーンに設置する良いでしょう。まだ世間的にも認知されていない新商品の視認率を上げて、購買を促せます。

このほか、チラシに掲載した商品をゴールデンゾーンに設置することで、購買意欲を上げることも可能。目玉商品の近くに売れ筋の良くない商品を置いておくことで、抱き合わせでの購入を促せば、客単価アップも狙えるでしょう。

知っておきたい商品陳列方法一覧

ゴールデンゾーンと合わせて知っておきたいのが、商品の効果的な陳列方法です。

同じ商品を取り扱っている店舗でも、商品の陳列方法で売上は変わってきます。一定期間ごとに陳列方法を変更してテストを重ねるなど、効果的な手法を追求してみましょう。

垂直陳列

商品をカテゴリごとに縦方向に陳列する方法です。

  • メリット:どこに何があるのか瞬時に把握できる
  • デメリット:カテゴリごとに陳列するので特定の商品アピールには不向き

水平陳列

商品をカテゴリごとに横一列に陳列する方法です。

  • メリット:同一商品や特定のカテゴリの商品を大量陳列できるため、顧客の視線を集めやすい
  • デメリット:ゴールデンゾーンから外れる高さにある商品は視認率が悪くなる

島陳列

広い通路の真ん中に什器を設置するなど、陳列棚から孤立させた什器に商品を陳列する方法です。

  • メリット:目立ちやすいため、売上アップが期待できる
  • デメリット:什器や商品の形によっては陳列が難しい。通路を塞ぐため、回遊性が悪化する可能性がある

エンド陳列

陳列棚の両端に商品を陳列する方法です。

  • メリット:メイン通路から見える位置に陳列されるので顧客の目に留まりやすい
  • デメリット:大量の商品を陳列することもあり、商品崩れが起きやすい。売り場の見通しが悪化することもある

ジャンブル陳列

商品を無造作に陳列する方法です。

  • メリット:目立ちやすく、お得感を与えられる。並べる必要がないので陳列の手間がかからない
  • デメリット:商品に傷がつく、安っぽく見える可能性がある

まとめ

商品陳列の極意は、顧客心理を理解することです。顧客が買い物しやすい位置に注力商品や売れ筋商品を置くことで、売上が大きく伸びることも珍しくありません。まずはゴールデンゾーンを意識した商品陳列から取り組みましょう。

合わせて、陳列方法の工夫もおすすめします。陳列方法を変更したら、顧客になりきって店内を回ってみると、新たな気づきを得られるでしょう。

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