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戦略的マーケティングとは?
マーケティング戦略との違いをわかりやすく解説

「戦略的マーケティング」の言葉をご存知でしょうか? 「マーケティング戦略」と混同されがちな言葉ですが、両者の意味は異なります。本記事では、戦略的マーケティングの概要とマーケティング戦略との違い、策定フローについて解説します。

戦略的マーケティングとは?

戦略的マーケティングとは、企業を取り巻く環境や経営資源に合致した自社の将来的な方向性を決めるためのマーケティングです。製品や部署・部門単位のマーケティングではなく、全社レベルでの方向性を定めるアプローチであり、いわば行動指針として機能するものです。

戦略的マーケティングは、「基本戦略」といわれることもあります。企業が今後どのように歩んでいくのか、ビジョンやベクトルを明確にするためのものと理解するとよいでしょう。

戦略的マーケティングとマーケティング戦略の違い

戦略的マーケティングと似た言葉に「マーケティング戦略」があります。文字列が入れ替わっただけに見えますが、両者が指すものは異なります。

マーケティング戦略とは、特定の商品やサービスを消費者に購入してもらうための具体的な戦略です。企業全体のマーケティングを意味する戦略的マーケティングよりも対象範囲は狭く、一般的にマーケティングといわれるものは、マーケティング戦略がほとんどです。

マーケティング戦略は別名で「実行戦略」とも呼ばれており、戦略的マーケティングを表す「基本戦略」とは明確な差分が認められます。戦略的マーケティングのなかにマーケティング戦略が含まれるイメージです。

戦略的マーケティングの策定フロー

戦略的マーケティングの施策を練るには、以下のフローを経て詳細を決定していく必要があります。

  1. 理念や目的を明確にする
  2. 企業全体の戦略を決める
  3. 事業や機能ごとの戦術を決める

戦略的マーケティングとは、いわば事業計画と同義であり、企業が将来進むべき方針を決める極めて重要なものです。基本方針の根拠ともいえる理念や目的を明確にできていなければ、以降で策定する企業全体の戦略や事業ごとの戦術が定まらなくなってしまいかねません。

1.理念や目的を明確にする

まずは、戦略的マーケティングのベースとなる理念や目的、目標設定から着手します。理念や目的、目標とは、それぞれ「企業全体のあるべき姿」と、「それをかなえるための数字」のことです。両者が定まっていなければ、以降の戦略は漠然としたものになってしまい、何の成果も得られないという状況に陥ってしまいかねません。

言い換えれば、企業全体の「質」と、それに付随し発生する業務の「量」を決めることが、戦略的マーケティング策定の第一歩です。目標は数字であり、定点観測を行うことで達成率を俯瞰できます。しかし、理念や目的は数値化できないうえに、達成率が曖昧です。そのため、目標よりも理念や目的を検討するほうが難しいとされています。

わかりやすい目標だけを掲げるのではなく、「誰に」「何を」「どのように」届けるのかを検討し、企業全体の戦略やそれ以降の詳細な戦術に活かすことが重要です。

2.企業全体の戦略を決める

理念と目的、目標に続いて、全社の戦略を策定します。企業全体としてどのように動くのかを明確にするフェーズであり、具体的な行動目標となるものです。成長ベクトルやプロダクト・ポートフォリオ・マネジメントを用いて、自社の市場における立ち位置を分析しましょう。

人事や予算など経営資源の再分配を検討するのもこの段階です。先に定めた理念と目的・目標を達成するために、どのように経営資源を活用すればいいのかを検討します。具体的な行動の策定も重要ですが、実働する社内リソースの使い方に無駄が生じていないかなど、足元部分の再検討も欠かせません。

3.事業や機能ごとの戦術を決める

全体戦略が決定したのち、企業が取り扱う事業や機能ごとに戦略を講じるフェーズです。順序としては、まず部署や事業ごとの戦略を策定し、その後に機能(人事・経理・技術)などを策定します。

基本的には全体戦略を達成するために、事業ごと、機能ごとに何をすべきかの棚卸を行います。4P戦略を用いて以下の項目を検討すると効率的でしょう。

  • 商品(Product)
  • 値段(Price)
  • 売る場所(Place)
  • 売り方(Promotion)

重要なのは、全体戦略でも参考にした、全社的な理念や目的・目標を達成できるか否かで戦略を決定することです。企業の将来を担う重要なポイントであるため、理念や目的の存在を無視して戦略を練ることはできません。あくまでも、ここまで作り上げてきた基本戦略を実行に移すための施策を考えていることを忘れないようにしてください。

マーケティングにおける戦略と戦術

マーケティングにおいて、戦略と戦術は異なるものを指しています。戦略とは方向性を考えることであり、戦術は具体的な方法です。

本記事でも触れたとおり、戦略的マーケティングは方向性を、マーケティング戦略は実務を検討するものです。両者を混同してしまうと、手段が目的化してしまったり、そもそも達成不可能な目的のためにリソースを割き続けてしまったりする可能性もあります。

マーケティング施策を講じるうえで、戦略と戦術には明確な違いがあることを理解しておかなければいけません。どちらかを軽視しても具体的な経営方針などには結び付かないことを認識する必要があるでしょう。

まとめ

戦略的マーケティングとマーケティング戦略は、言葉はよく似ているものの内容は異なり、かつ密接に関係しているものです。ややこしい関係性の両者ですが、片方が欠けているとマーケティング施策自体がうまくいかなくなってしまいます。

具体的な手段であるマーケティング戦略を練る前に、全社の方針である戦略的マーケティングから考えることが、マーケティングを成功させる重要なポイントとなるでしょう。

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