デシル分析で売上貢献度を測り
お得意様の大切さを改めて考える

2024年10月29日

お店づくりトピックス

■業種・業態:スーパー/飲食店  
■キーワード:来客頻度/平均購買額/ロイヤルカスタマー

棒グラフと線グラフのイメージ画像

どのような商売でも、お客様に分け隔てなく接し、サービスすることは大切なことです。しかし、お店に対する購買金額や来店頻度などを尺度としてお店への貢献度を見ると、差があるのも事実です。ポイントカードは、その貢献度をポイントという形で可視化して、貢献度に応じて還元するプログラムです。ではその差とは、スーパーや飲食店ではどのくらいあるのでしょうか。今回は、デシル分析という手法を使って貢献度の差を測り、お得意様の重要性を再認識する方法をご紹介します。

貢献度を測るデシル分析

資料を見ながら分析をしているミーティングのイメージ画像

お客様をランク付けするという考え方には賛否あろうかと思いますが、その差を把握することで顧客づくりに活かすことができます。

お客様の売上貢献度をランク分けして分析する基本的な方法が、デジル分析です。

デシルとは「10等分する」という意味です。例えば、1カ月間のお客様の購買額を一人ずつ集計し、購買額が高い順に並べて、全体を売上上位のお客様から10等分して、10個のランクでそれぞれ平均購買額を算出します。

そして、各ランクの全体に占める割合を算出し、上位ランクから累計したのが、売上占有率です。これによって、上位ランクのお客様の売上貢献度をつかみます。

同じ業態のチェーン店でも立地や商品構成などによって、上位ランクの占有率や下位ランクとの差には、ばらつきが見られます。

例えば、住宅街にある店では、お得意様に支えられる割合が高く、駅前やロードサイドにある店では、売上貢献度に差が比較的少ないといった違いが見られるはずです。

こちらは、あるスーパーマーケットの事例です。

<スーパーマーケットでのデシル分析例>
スーパーマーケットでのデシル分析例のイメージ画像

一人一人のお客様の購買額を把握するには、ID-POSが必要です。この事例では、会員カードをお持ちのお客様について集計しています。最上位の平均売上高と最下位の平均売上高の差は約82.5倍と、売上貢献度に大きな差が見られます。

また、「2:8の理論」といって、売上全体の8割は2割の顧客に依存するというパレートの法則は有名ですが、こちらのスーパーマーケットの場合には、それほど大きな開きはありませんが、上位2割のお客様によって全体の約58%の売上がもたらされていることになります。

この結果から言えることは、上位ランクにあるお客様を失うと売上に大きな影響を及ぼし、その売上を下位のランクのお客様でカバーしようとすれば、非常に多くの顧客の獲得が必要になるということです。

また、お客様との関係づくりを大切にして、より強固なものにすることで離反を防ぐとともに、中間ランクのお客様のライタイム・バリューをさらに獲得するための施策も考える必要があることが分かるかと思います。

お得意様を守ることの重要性

女性が食事しながら会話しているイメージ画像

では次に、とある飲食店チェーンの事例をご紹介します。こちらのお店は郊外ベットタウンにある駅ビルに出店しています。

こちらは、このお店のID-POSの会員2,660人の売上データを集計して、デシル分析を行ったものです。

<飲食店でのデシル分析例>
飲食店でのデシル分析例のイメージ画像

上位の1割のお客様によって、会員全体の売上の40%超を占めていて、お得意様によって大きく支えられていることが分かります。

また、上位の1割のお客様は、全会員の平均利用金額55,320円に対して4.2倍の売上をもたらせてくれます。また、最下位ランクのお客様の平均利用金額に対する最上位ランクのお客様の平均利用額と差であるボトム倍率は実に37倍にもなります。

以上のことから、全てのお客様に分け隔てなくサービスをという気持ちは重要ですが、お得意様、あるいはロイヤルカスタマーと呼ばれるお客様の離反を防ぎ、囲い込むことがいかに重要であるかが、お分かりいただけるかと思います。

デシル分析はご利用頂いているお客様全体を把握するもので、実際、離反を防いだり、ランクアップを図ったりするためには、さらにここからドリルダウンしてお客様一人一人のご利用動向や内容を把握した対応が必要になります。

(文)販売革新 編集部
発行・編集文責:株式会社アール・アイ・シー
代表取締役 毛利英昭

※当記事は2024年8月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。