飲食店の顧客情報管理
忘れられがちなロイヤルカスタマー
2025年1月20日
お店づくりトピックス
■業種・業態:飲食店
■キーワード:お得意様/売上貢献度/来店回数/利用金額/来店頻度

ポイントシステムを導入する店が増え、集客に大きな効果を上げています。しかし、ポイントを付与したお客様のデータを集計し、分析している飲食店はあまり多くないようです。
今回は、どのようなお客様が来店され売上に貢献してくれているのかを見ながら、顧客情報活用の一端をご紹介します。
売上貢献度と来店回数
お店には、お得意様と呼ばれる上得意客がいます。売上貢献度が高かったり、足繁く通って頂く来店回数の多いお客様のことです。
実際、飲食店でデシル分析をしてみると、業態によって差はありますが、3割〜5割ほどのお客様で売上の7割以上を占めることは珍しくなく、上位のお客様によってお店は支えられていると言っても過言ではありません。
特にグループや宴会などの利用率が高い業態では、その傾向が顕著です。
今回紹介するのは、ある和食系のファミリーレストランで実際に顧客情報を分析した際の事例です。
昼夜営業しており、ランチ時は近隣オフィスのサラリーマンや主婦方々が、夜は家族連れや宴会、加えて週末は法事やイベントで利用頂くグループ客が多い店です。
店長はじめスタッフの方々は、お得意様の顔や名前をよく覚えていて、フレンドリーな接客が評判のお店です。
それでもすべてのお客様の顔は覚えるとは出来ません。店長の異動やスタッフの入れ替わりもあるため、特に来店回数が少ないお客様を記憶するのは難しくなります。
そこに落とし穴があります。
忘れられがちな優良顧客
図表1は、複数店を展開する前述のお店のポイント会員の、1年間のご利用金額と来店回数のランキングです。毎日のようにご利用頂くお客様がいらっしゃる一方、年に数回のご利用でも売上貢献度の高いお客様もいらっしゃいます。
例えば、売上ランキングの1位と2位のお客様のようにご利用額が大きいのに、年に数回しかお見えにならないお客様は忘れられがちです。
そこで、こちらのお店の店長は、「店長にとって一番大切な仕事は営業です」と言い、名刺を持って客席を回り、お客様の名刺を頂いたら顧客台帳に利用日時や利用目的などを記載しています。
そして、宴会幹事や法事のお客様に対して、タイミングを見計らって手紙を送るなどしてご来店を促しています。
このように売上貢献度が高いのに来店頻度が少なく、店から顔が見えないお客様を忘れずにフォローするには、お客様のご利用状況の「見える化」が不可欠です。
<図表1>
お得意様の他店へのスイッチを防ぐために
図表2は、2年間のポイント会員の来店動向を調べたものです。
青の網掛けのA、Bの方にはコンスタントに毎月何度もご利用頂いていますが、グリーンの網掛けのG、Mのお客様は利用頻度が下がり始めています。また、ピンクの網掛けのQやUのお客様はこの1年で極端に来店頻度が下がり、他店にスイッチされた可能性があります。
スタッフが「最近お見えにならないな」と気付いた頃には既に手遅れになることも多いため、来店動向を定期的にチェックして、来店頻度が下がったお客様へのフォローが大切になります。
人手不足の中、「そのような手間暇かかることは出来ない」とおっしゃるかもしれませんが、こうしたお得意様が他店へスイッチされると新規顧客で補う労力もコストも大きいため、早めの対策がお薦めです。
<図表2>
(文)販売革新 編集部
発行・編集文責:株式会社アール・アイ・シー
代表取締役 毛利英昭
※当記事は2024年12月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

