生成AIを使いこなす〝売れる〟コピー・文章術

2025年7月15日

お店づくりトピックス

■業種・業態:小売業  
■キーワード:ターゲット/差別化/プロンプト/ChatGPT

生成AIを使いこなす〝売れる〟コピー・文章術のイメージ

小売業や飲食業においても、文章を作成する機会は様々な業務で発生します。特に売上を左右するPOPやチラシなどのコピーは、担当者の頭を悩ます仕事の一つと言えます。そんなときにぜひ活用したいのが、ChatGPTをはじめとする生成AIです。〝売れる〟コピーや伝わりやすい文章を作る上で大きな助けになるはずです。

「ターゲットの明確化」と「差別化ポイント」の設定が大切

生成AIと聞いても自分には関係ないと考え、使ったことがない人が多いのではないでしょうか。生成AIとは、与えられたデータや情報を基に画像や音声など様々なコンテンツを新たに生成する技術の総称です。中でもChatGPTは、企画書やプレゼン資料の作成はもちろん、広告宣伝物のコピー制作においても非常に優秀な能力を発揮してくれます。

広告・宣伝において最も重要なことは、「どのようなターゲットにどのようにして商品やサービスの魅力を伝えるか」です。そのためにはまずターゲットのことをよく知らなければなりません。「ターゲットを知る」とは性別や年代、年収といった属性だけでなく、その人の「ライフスタイルや思考・嗜好」を知ることであり、自社の商品やサービスがその人たちにどのように役立つかを考えることです。コピーライティングでは、このターゲット分析が非常に難しく、時間を要するものですが、ChatGPTなら答えを瞬時に出してくれます。しかも、新商品のアイデアや効果的な販促方法といったマーケティングにかかわる分野でも極めて的確な提案をしてくれます。

マーケティングとは、簡単に言うと「顧客を集めたり、商品を買ってもらうための戦略」のことです。中でも前述の「ターゲットの明確化」と「差別化ポイント」はマーケティングの要であり、ChatGPTにコピーを書いてもらう際にも、しっかりと設定しておく必要があります。

プロンプトは具体的かつ詳細に
秘訣は「配役を与える」こと

では、実際にChatGPTを使って、コピーを書いてみましょう。使い方は簡単です。ChatGPTのサイトにアクセスし、アカウントを作ると、PCやスマホの画面に文字を入力する空欄が現れます。ここに聞きたいことや知りたいことを日本語で書き込むだけです。

ChatGPTに投げかける質問は「プロンプト」と呼ばれます。ChatGPTを使いこなすには、このプロンプトをできるだけ具体的かつ詳細に書き、返ってきた答えに対して、納得するまで質問を繰り返すのが秘訣です。

ChatGPTに「配役を与える」ことも有効です。例えば、「あなたは学校の先生です。卒業式に保護者の前で話す挨拶文を400字以内で書いてください」のように書き込みます。さらに「修学旅行と運動会のエピソード、卒業式に相応しい偉人の言葉を入れてください」と具体的に指示することで、より質問者の希望に沿った文章を考えてくれます。

ChatGPTと作る漬物店のマーケティング戦略

コピーライティングに欠かせないのが、冒頭で説明した「ターゲットの明確化」と「差別化ポイント」の設定です。ChatGPTにコピーを書いてもらう場合にも、その商品やサービスを売りたい人の日常やライフスタイルなどを具体的に想定する(ターゲットの明確化)→他とは違うその商品やサービスの魅力(差別化ポイント)を明らかにするという手順を踏みます。その上で、キャッチコピーを作る→そのキャッチコピーをブラッシュアップする→必要に応じ、ボディコピー(本文)を作成するという一連の作業を行っていきます。

具体的な制作例として、街の商店街にある昔ながらの「漬物店」を想定し、実際にChatGPTを使ってコピーを作ってみました。店舗イメージは図1の通りです。まず、このお店が新しい顧客を確保し、売上を伸ばすための方法をChatGPTに考えてもらうことにします。その際に入力したプロンプトと回答が図2です。いかがでしょうか。時代に即したかなり有効と思われる案が出てきたのではないでしょうか。

次に、この中から①の「スパイシーな漬物や異国風の漬物など、若者向けの新商品ラインを開発する」に着目し、具体的にどんな新商品を出したらよいか、ChatGPTに聞いてみました。すると「シーズニングにチリパウダーやカラシを効かせた漬物」「小袋に詰めたポータブルなスナック風の漬物」など4つの案が、その理由とともに提案されました。

そこで、ChatGPTが出してきたアイデアの中から、売上を伸ばすための新商品を「異国風スパイシー漬物シリーズ」と決め、「ターゲット」と「差別化ポイント」を図3のように設定しました。

このようにChatGPTはコピーを制作する際に欠かせないマーケティングをいとも簡単に行ってくれるだけでなく、新商品のアイデアやネーミングなども考えてくれます。

※画像をクリックすると拡大します

コピー制作の支援からポスターの構成提案まで

いよいよここから販促物に使うコピーをChatGPTに作ってもらいます。ここでは図3の内容を踏まえ、店頭用ポスターのコピーを考えてもらいました。書き込んだプロンプトの内容とその回答が図4です。

この中から④の「仕事の疲れを吹き飛ばす、スパイスと酸味の饗宴。異国風漬物、今夜のテイクアウトにピッタリ!」をキャッチコピーに採用し、ボディコピーもChatGPTに書いてもらいました。

それを基にして制作したポスターが図5です。

これは「店頭用のポスターとして記載すべき要素は何か」とChatGPTに質問し、その要素を盛り込んだ上で、視覚的にわかりやすいよう、無料でデザインを制作できるウェブサイトを使い、わずか5分で作ったものです。今ではAIを搭載したサイトが増えており、こうした作業も簡単にできるようになっています。

図2.図3

そのまま使えるコピー
仕事の質と効率を格段に向上

以上のように、ChatGPTを使えば、プロが考えたものと遜色のないコピーを短時間で制作することができます。

ChatGPTが作るコピーは、以前はプロのコピーライターから見ると満足度70%の出来で、残り30%を人間の手でブラッシュアップする必要がありましたが、現在ではほとんど手を加える必要がないぐらい完成度の高いキャッチコピーを書いてくれます。70%というのはキャッチコピーとして通用するレベルであり、そのままでも十分使えるということです。

最終的な文字校正やファクトチェック、コンプライアンスに沿っているかどうかなどの確認は必要ですが、ChatGPTの精度はこの1、2年で驚くほど上がっており、以前のように実在しない店舗名を挙げるなどの不正確な記述もほとんど見られなくなっています。

文書作成やアイデア出しなど、日々の仕事のクオリティを上げ、効率化を図る上でも、ぜひ活用することをお勧めします。

監修:中村ブラウン(なかむら ぶらうん)
広告クリエーター、集客コンサルタント、ラジオDJ。

※当記事は2025年7月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。