選択肢が多過ぎると売れない?
数ある商品やサービスの中から、私たちはなぜそれを選んでしまうのか?

2025年10月22日

お店づくりトピックス

■業種・業態:小売業  
■キーワード:行動経済学/選択肢/購入率

多くの品揃えの前で悩む女性のイラストイメージ

選択肢の数によって購入率に大きな差

品揃えは多ければ多いほどよい。小売店などでは今でもそう考える人が多いかもしれません。しかし、種類の多さが必ずしも売上に結びつくとは限りません。その根拠の一つが、アメリカで行われた次のような実験です。

スーパーマーケットに2つのコーナーを設置。一方は24種類のジャム、もう一方は6種類のジャムを並べて試食販売したところ、立ち止まって試食した人の割合は24種類のジャムの方は60%、6種類は40%と、種類を多く並べたコーナーの方がより多くの人を集めました。しかし、実際に購入した人の割合を見ると、6種類のジャムの方が30%だったのに対し、24種類並べた方はわずか3%と、圧倒的な差がついたのです。

人は選択肢が多過ぎると、選ぶこと自体を負担に感じるようになります。また、間違った選択をしてしまうのではないかという不安が生まれ、結果的に選択そのものを回避すると考えられています。

お客様が選びやすいように工夫する

では選択肢はいくつ用意するのがベストなのでしょうか。一般的に7±2、つまり5〜9が良いと言われていますが、これも一概には言えません。例えば、回転寿司やビュッフェスタイルのレストランのように、選ぶこと自体が楽しみになっている場合、メニューの数が多い方が魅力的に映ります。

また、ECサイトや映画等のコンテンツ配信サービスでは、選択肢の多さがユーザーを引きつける魅力の一つになっています。しかし、そうした場合もサイズや色、価格などによって好みの商品を見つけやすくしたり、検索履歴や視聴傾向によってサイト自体が「おすすめアイテム」を優先的に表示したりするなど、ユーザーが選ぶことにストレスを感じない仕組みになっています。

小売店や飲食店などのリアル店舗でも、カテゴリーごとに細かくジャンル分けしたり、客層に合わせて「おすすめ商品」や「売れ筋商品」を提示するなど、お客様が選びやすいように工夫することが大切です。

監修:阿部 誠(中央大学戦略経営研究科教授、東京大学名誉教授)

※当記事は2025年10月時点のものです。
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