就業規則を定めるタイミングと記載事項
2025年12月22日
国内流通トピックス
■業種・業態:飲食店
■キーワード:就業規則/勤務時間/労働日/雇用契約
皆さんは、就業規則をご覧になったことはありますか?
言葉は聞いたことがある、けれど実は自分の職場の就業規則がどこにあるか知らない、本物を見たことはない…という方も多いのではないでしょうか。
例えば、就業規則には「勤務時間」「労働日や休日」「給料の締め日や支払日」「仕事をする上でのルールやマナー」「定年」などの決まりごとが具体的に書かれています。いわば、スタッフのルールブックと言えます。労働条件通知書や雇用契約書がスタッフ個別の就業条件を書くものであるのに対し、就業規則は職場全体を対象にした、働くための約束事が書かれています。
それでは、今回は就業規則をテーマに、どのタイミングで、どのような手順を踏んで作成するのか、またその内容には何を盛り込む必要があるのか、について、主に責任者の目線で見ていきます。
就業規則ができるまで
就業規則作成のタイミングは、スタッフを雇う瞬間に訪れます。少し固い話になりますが、労働基準法では、従業員が10人以上の事業場は就業規則を作成し、従業員に周知したのち、事業場を管轄する労働基準監督署に届け出なければならない、という決まりがあります。
ただ、それは法律上の決まりであり、実際には自身の企業・店舗を理想の状態にしていくために欠かせないものです。そのため、スタッフを一人でも雇用した場合には、勤務する上で守ってもらいたいことを書面でルール化し、スタッフと共有することをおすすめしています。
では、いざ作ろう、となるとどのようにすればいいのでしょうか。
まずは自身の企業・店舗で、スタッフを雇う際にどのような条件で雇うかを決めますが、それがまさに就業規則の元になります。
例えば、このようなことを考えたことはありませんか?
- 雇用契約は正社員?それともアルバイトで?どうしようか…。
- そもそも正社員とアルバイトの違いってなんだろう…。
- どれくらいの日数や時間で働いてもらおうか…。
- 給料はいくらにしようか…、手当はどうしようか…、ボーナスは…。
- 定年は何歳にしようか…。
- これやったら処罰の対象にしよう…。
これらはあくまで一部ですが、就業規則に実際に書くべき内容は、上記のようなことを盛り込んでいくのです。
最近はインターネット上で「就業規則 雛形」と検索すると、たくさんの就業規則モデルが出てきますので、ベースにしたり参考にしたりしながら、自身の企業・店舗に即したものを作っていきます。
間違ってもインターネットから引っ張ってきて、そのまま終わり、としないようにしましょう。過去には、インターネットで見つけた就業規則の雛形をほぼそのまま使っていたら、払うつもりのなかった退職金に関する規定が入っており、アルバイトスタッフが退職時に「退職金ください」と言ってきてトラブルになった事例もありました。
また、法改正のあった内容のアップデートがなされていないものを使っており、古い内容のまま運用していて、それがもとでスタッフの不安や不満につながるという話もよく耳にします。
特に飲食店では24時間、あるいはそれに近い営業時間で、多くのスタッフを雇用して店舗経営を行います。そのようなときに就業ルールがまったくなかったとしたら…店舗は実質無法地帯となってしまうでしょう。最悪の場合、レジのお金、商品や備品を盗るといったスタッフの不正行為が発生したり、給料や残業代をちゃんと払っていないとして訴えられたりすることもあるのです。
逆に、ルールがあれば、そうした不正行為の抑止効果につながり、オーナーは経営しやすい、スタッフは働きやすい、といった職場環境を作れるようになります。それをしっかりカバーしているのが、就業規則なのです。
ただし、「作って終わり」ではなく、その後にしっかりスタッフと共有しないと意味がありません。さらに10人以上のスタッフがいるところは店舗・事業所単位で店舗の所在がある地域の所轄労働基準監督署への届出が必須です。いかに就業規則を定めることが重要か、そして定めるだけでなく周知することが大切か、想像できたのではないでしょうか。
就業規則作成時に定めるべき内容
就業規則に定めるべき内容は、「絶対に定めるべきもの」と「必要がある場合に定めるべきもの」があります。それぞれの項目は、図表をご参照ください。その他の内容は、原則自由に記載ができます。
一般的な就業規則というと、堅苦しい言葉が並んでおり、理解が難しいことからつい敬遠しがちです。しかし、使われなければ意味がないため、簡単な言葉で、全員がわかる表現を使って作成してもOKです。中にはイメージしやすいようにイラストを入れたり、要約を入れたりして、工夫をしているところもあります。
また、法律は毎年のように改正があります。特に、雇用に関わる法律は改正が多く、育児介護休業法(通称)という法律は2017年からどんどん変わり、2025年にも再び大きく変わりました。そうした最新の内容を盛り込みながら適宜見直しを行っていくことも大切です。
上記の内容を踏まえながら、店舗のスタッフ全員が「使える」「見たくなる」「守りたくなる」就業規則を作ることをおすすめします。
(文)こんくり株式会社 代表取締役
特定社会保険労務士 安 紗弥香
発行・編集文責:株式会社アール・アイ・シー
代表取締役 毛利英昭
※当記事は2025年11月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

