試食や試着は購買に効果あり?
数ある商品やサービスの中から、私たちはなぜそれを選んでしまうのか?

2026年1月27日

お店づくりトピックス

■業種・業態:小売業  
■キーワード:行動経済学/返報性の原理

試飲コーナーの店員と女性のイラストイメージ

相手に報いたくなる「返報性の原理」

百貨店やスーパーマーケットなどでは、販売促進の一つとしてお客様に試食や試飲を提供することがよくあります。これは本当に効果があるのでしょうか。あるとしたら、そこには消費者のどんな心理が働いているのでしょうか。

まず人は「無料」という言葉に弱く、「タダならいいか」と考え、試食や試飲コーナーに立ち寄ってもらえるという誘引効果が期待できます。

次に人は何かしらのサービスや恩義を受けると、それに対して無意識のうちに「お返しをしたくなる」という性質があります。「無料で味見させてもらったのだから、買おうかな」という心理です。これを行動経済学では「返報性の原理」と言います。

「返報性の原理」は試食や試飲だけに限りません。ふらりと入ったお店で店員の丁寧な接客により、つい衝動買いをしてしまったという経験がある人も多いことでしょう。例えば、衣料品店で試着した際、スタッフが嫌な顔をせず何度も商品を持ってきてくれたりすると、本当はそこまで気に入った商品でなくても購入してしまうことがあります。ここでも相手の努力や親切に報いたいという心理が働いています。

「体験」によって購買のハードルを下げる

試食や試飲はその場で購買に至らなくても、商品を知ってもらえるという効果があります。食品のおいしさは言葉で表現するより、実際に食べてもらった方がより伝わります。

また、人は保守的なところがあり、知らないものに対して及び腰になりがちですが、試食や試飲という体験を提供することによって、購買のハードルを下げることができるのです。

実際、あるマーケティング調査によると、99%の人が試食や試飲をきっかけに商品を購入したことがあると回答しています。さらに60%以上がその商品を継続して購入しているというデータもあり、試食や試飲がリピーターを獲得する上でも高い効果をあげていることがわかります。

監修:阿部 誠(中央大学戦略経営研究科教授、東京大学名誉教授)

※当記事は2026年1月時点のものです。
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