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ユーザーインサイトとは
把握・解析の重要性と解析方法

商品やサービスの販売を通じて収益を確保していくには、ターゲットとなる顧客ニーズを熟知しなければいけません。

顧客のニーズを深く理解するための重要なアプローチに、ユーザーインサイトの深堀りがあります。しかし、深層心理としてユーザーの内面に隠されている潜在的なニーズに対し、どのようにアプローチできるのでしょうか? ユーザーインサイトの重要性とともに、その解析方法を考察します。

ユーザーインサイトとは

ユーザーインサイトとは、ユーザー自身も意識できていない「内面」に隠された潜在的な本音のことです。

店舗に足を運んだときや商品を購入したときには、「なぜこの店に入ったのか」「なぜこの商品を買ったのか」、何かしらの理由が必ずあるはずです。しかし、その理由を尋ねられても「なんとなく入った」「なんとなくこれがいいと思った」と、明確な理由を見出せないことは少なくないでしょう。

人はなんとなく行動したつもりであっても、潜在的な欲求に従っていることがあります。その欲求をユーザー自身も認識できていないことから、このように上手く答えられないといったことが起こります。

こうした「深層心理にある本質的な欲求」が、ユーザーインサイトです。

ユーザーインサイトはユーザー自身の認識として顕在化していないため、行動を起こした背景に潜む本音を把握することは容易ではありません。そこで、行動様式などを計測したデータを調査・分析し、潜在的なニーズを推測しています。

マーケティングにおけるユーザーインサイトの重要性

マーケティングにおいて、ユーザーインサイトの推測は大きな意味を持つものです。

  • 潜在的なニーズにフォーカスできる
  • 顧客の不満点を改善できる

潜在的なニーズにフォーカスできる

売上拡大や事業成長を図るには、顧客にしっかり向き合い、購入意思決定要因となるニーズを理解することが欠かせません。

心の奥に潜むユーザーインサイトにまで深くフォーカスできれば、より細やかなマーケティング施策の実行や、新たな商品開発の展開などにも活きてくるでしょう。

顧客の不満点を改善できる

商品やサービスの多様化が進む現代においては、ユーザーが不満を抱えながらも長期にわたって利用し続けるケースはほとんどありません。不満を抱えているユーザーは遅かれ早かれ、競合企業の商品やサービスに移っていくものです。

ユーザーインサイトの理解は、ユーザーが潜在的に抱えている不満の理解に直結します。改善を通じて顧客満足度が向上し、優良顧客への醸成もなされるでしょう。

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ユーザーインサイトの解析方法

ユーザーインサイトを発見していく調査・分析手法には、さまざまなアプローチがあります。

  • Googleアナリティクスなど解析ツール
  • ヒートマップ
  • Q&Aサイト
  • アンケート・インタビュー

Googleアナリティクスなど解析ツール

Web上でのユーザー行動からユーザーインサイトを探るには、アクセス解析ツールが有効です。

たとえば、もっとも広く利用されているWeb解析ツール「Googleアナリティクス」では、「どんな」人が「どこから」流入し、「どんな」行動をとったのかがわかります

たとえば、ECサイトのメインターゲット層を30代に設定しているにも関わらず、サイトを訪れるのは40代が中心という事実がわかれば、40代向けの商品を増やすなどの施策を速やかに講じられます。

あるいはWebサイトへの訪問者は増えて集客には成功しているものの、購入に結びついていない実態から収益が伸び悩んでいるケースでは、離脱ページへの対策に注力すべきです。

このように、多種多様な情報を把握できるGoogleアナリティクスでは、ユーザーインサイトの発見にも活用できる以下のような指標が提供されています。

どんな人が訪れたか

Webサイトを訪れたユーザーの性別や年齢、地域などの属性情報のほか、新規・リーピーターの区別、使用デバイスやOS、閲覧数などを計測できます。

どこから訪れたか

どのような経路からWebサイトに流入してきたかがわかります。具体的には、検索エンジンや広告、SNSといった集客チャネル経由、リンク元のWebサイト、SNS別の集客数などです。

どのように行動したか

ランディングページのほか、閲覧ページ、離脱ページ、行動フローなどを計測できます。また、コンバージョンに関わる点にもフォーカスし、会員登録や問い合わせ、資料ダウンロード、購入などコンバージョンの数や経路などを把握できます。

ヒートマップ

ヒートマップは、Webサイトの特定ページ上でのユーザー行動を可視化するツールです。

  • スクロールした範囲
  • エリアごとの滞在時間
  • クリックされた箇所
  • 離脱した箇所
  • マウスの動き

これらの情報がサーモグラフィーのように色分けされて提供され、視覚的に理解しやすい仕様になっています。

たとえば、滞在時間が長いエリアがわかれば、そのセクションはユーザーの興味を強く惹きつけ、熟読されていると判断できます。あるいは、離脱の多い箇所の傾向をつかめば、ユーザーがどこで興味を失っているのかを把握できます。

このように、Webページ上のユーザーの行動を細かく観察できることがヒートマップのメリットです。「よく読まれているページ」であれば、前述のGoogleアナリティクスのようなアクセス解析ツールから把握できますが、ヒートマップではさらに深く、「よく読まれているページの“部分”」にまで踏み込めるのです。

ただし、ヒートマップはWebサイト全体や複数のページにわたる分析には向いていません。まずはアクセス解析ツールで改善すべきページを特定し、その後ヒートマップで改善すべきページ内のエリアを把握するといったように、両者を並行しての活用が望ましいです。

Q&Aサイト

Q&Aサイトには、さまざまな疑問についてユーザーからの相談が日々投稿され、別のユーザーからの回答が寄せられています。これはユーザーインサイトを探る貴重なヒントとなるもので、ターゲットとしているユーザーが抱える悩みの方向性を把握できます

たとえば、「湯たんぽ」で検索すると、「湯たんぽに60~70度のお湯を入れるにはどうやって温度を測ったらよいのか」といった質問があったとします。

  • ちょうどよい厚みの湯たんぽのカバーが欲しいのでは?
  • 65度のお湯を沸かせるポットがあれば悩みは解決されるのでは?

このように、顕在化している「温度を測りたい」というニーズから、カバーやポットの必要性といった潜在的なニーズが推察されます。

こうしたユーザーの悩みに触れることで、課題解決につながる商品やサービスを提案できるようになります。

アンケート・インタビュー

ユーザーアンケートやインタビューは、貴重な一次情報となるユーザーの「生の声」を集められる効果的な手法です。ここにも、ユーザーインサイトを発見するヒントが隠されているでしょう。

実施方式には、WEBアンケート、パーソナルインタビューやグループインタビュー、会場調査などがありますが、コストを比較的安く抑えながら実施できるのはWEBアンケートです。

一方、パーソナルインタビューは、対象者のニーズを深く掘り下げる質問ができるメリットがあり、座談会形式で実施するグループインタビューには対象者の意見交換を介して新たな悩みの発見につなげていけるメリットがあるなど、それぞれに異なる特徴があります。

なお、アンケートやインタビューを実施する際には、対象者の年齢や性別、居住地などの属性を考慮すべきです。ターゲットと異なる層に依頼してしまうケースや、対象者の属性に偏りがあるケースでは、実態との乖離が危惧されます。

まとめ

ユーザーインサイトは、商品開発や販促活動など、マーケティング全般に活用できる貴重な情報です。商品やサービスに対して潜在的に期待しているニーズや不満点を把握し、他社との差別化を図っていきましょう。

ユーザーインサイトの理解には、データに立脚し客観的に推察する姿勢が欠かせません。POSデータの売上データを活用するなど、定量的な観点に基づいたアクションを講じましょう。

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