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CS向上(顧客満足度)の方法
調査指標と改善マニュアル

CS(顧客満足度)は事業の業績に大きく関係する指標です。CSが高ければ多くのリピーターが生まれ、好意的な口コミなどを背景に新規顧客の獲得を図れます。

では、CSの向上にはどのような取り組みが求められるのでしょうか? CSの測定指標や調査方法、改善に向けたポイントなどを考察します。

CS(顧客満足度)とは

CS(Customer Satisfaction)は「顧客満足度」を意味する、商品やサービスを購入した顧客が満足している度合いを表す指標です。

顧客のニーズを理解して期待以上の価値を提供できると、リピート顧客や優良顧客の育成につながります。ひいては企業に対して愛着や信頼を抱くロイヤルカスタマーに発展していくことから、CSはマーケティングにおいて重要視される項目と評価されています。

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CSの指標

CS向上を図るには、施策を実行する前後のタイミングでCSを測定し、効果検証を繰り返すプロセスが必要です。CSを測定するための主な指標を押さえておきましょう。

  • NPS(Net Promoter Score)
  • CSI(Customer Satisfaction Index)
  • JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)
  • KPI(Key Performance Indicator)

NPS

NPS(Net Promoter Score)は、企業やブランドに対する愛着や信頼を表す「顧客ロイヤルティ」を測定する指標です。

【NPSの測定方法】

  1. 「△△という商品をどの程度家族や友人に勧めたいか」という質問に対し、調査対象者が推奨度合いを0~10の11段階で評価する
  2. 評価結果を「0~6点:批判者」「7~8点:中立者」「9~10点:推奨者」に区分する
  3. 批判者・中立者・推奨者の人数を集計し、それぞれの割合を算出する
  4. 推奨者の割合から批判者の割合を引く

「リピート購入」や「他者への推奨度」を示唆するNPSの向上は、業績の向上に直結するものです。

また、NPSを向上させるには、推奨者を増加させるとともに、批判者を減少させる必要にも迫られます。「勧めたくない」と感じられてしまうような課題の発見と改善アプローチが欠かせません。

CS向上を目的とした施策の実行前後でNPSの計測を繰り返し、推奨者の割合を増やしながら新規顧客の獲得につなげていきます。

CSI

CSI(Customer Satisfaction Index)は、自社の商品と関連性が高い複数の質問への回答の平均値をもとに、顧客満足度を測定する指標です。

【CSIの測定方法】

  1. 「顧客期待値」「顧客忠実度」「顧客不満度」「知覚品質」「知覚値」の5つの項目に関する質問に対して、調査対象者は1~100点で回答。(例:顧客期待値「新商品に対する期待値を教えてください」)
  2. 回答を集計して平均値を計算する。

なお、「知覚品質」とは対象となる商品に対して感じている品質を指し、「知覚値」は価格に対する満足度を表すものです。

CSIは母数となるデータが多いほど信頼性の高い結果が得られやすいことから、大規模な調査を実施できる大企業に向いた方法です。

JCSI

JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index/ 日本版顧客満足度指数)はCSIを日本の社会構造に合わせてカスタマイズした指標です。

CSIの質問項目に「推奨意向」を加えている点や、「事前期待値」を用いる点などが異なります。

【JCSIの測定方法】

  1. 「顧客が感じた価値」「事前期待価値」について、「顧客期待値」「顧客忠実度」「顧客不満度」「知覚品質」「知覚値」「推奨意向」の6つの項目の質問に対して、調査対象者が回答
  2. 回答を集計して、「顧客が感じた価値」「事前期待価値」の平均値を算出する
  3. 「顧客が感じた価値」から「事前期待価値」を引く

JCSIは、顧客が事前期待値よりも高い価値を感じなければ、評価はマイナスになります。JCSIは多くの業種で使いやすく、業種をまたいだ評価にも向いています。

KPI

KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)は目標までの到達度を把握するための指標で、CSの測定にも用いられています。

KGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)を設定して、次にKGIを達成するためのKSF(Key Success Factor/重要成功要因)を決めて、KSFの数値目標としてKPIを設定するという関係性です。

CSを図る指標としてKPIを設定する場合には、顧客継続率や解約率、コンバージョン率などの項目に着目します。

CSの調査方法

CSの調査では、基本的にアンケートを実施します。アンケートによる調査は次の2つに分類できます。

  • 定量調査:数値データを収集・分析する方法で、通常は選択式のアンケート調査を実施する。信頼性のある結果を獲得するには、ある程度の規模の調査件数が必要
  • 定性調査:調査対象者の言葉や言動など、数値化できない情報を収集する。調査対象者と対面で実施する方法が中心

アンケートには下記のような方法を用います。

  • インターネット調査
  • 郵送調査
  • 会場調査
  • 電話調査
  • モニタリング調査
  • インタビュー調査
  • 覆面調査

なお、定量調査では指定されたアンケートフォームに回答を入力していく「インターネット調査」が現在の主流です。比較的低コストで実施でき、集計もしやすいといったメリットがあります。

CS調査アンケート作成のポイント

CS調査のアンケートを作成する際には、アンケートを実施する目的を明確にすることがポイントになります。目的があいまいなままにアンケートを実施しても、その結果は無意味なものになってしまいがちです。

「顧客のリピーター化を目指す」「自社のファンになってもらう」「ロイヤルカスタマーを育成する」といったように、まずは目的を定めます。目的には、事業運営においてボトルネックになっている要素と関連する、課題解決につながるものを設定しましょう。

CS調査アンケートに必要な設問

CS調査アンケートの一般的な項目は以下の通りです。

  • 属性(年齢・性別・居住地など)
  • 商品・サービスを知ったきっかけ
  • 購入経路
  • 購入理由
  • 購入頻度
  • 満足度(総合・品質・機能・使いやすさ・価格・お客様サポートなど)
  • 満足の理由・不満の理由
  • 継続意向
  • 他者への推奨度合い
  • 商品・サービスに対する意見

アンケートの回答形式には、選択肢から1つを選ぶ「単一選択」や該当する選択肢をすべて選ぶ「複数選択」、YES・NOの2択から選ぶ「二者択一」、複数の段階から選択する「段階選択」のほか、「自由記述」があります。質問項目に適した回答形式を選択しましょう。

たとえば、購入経路は「単一選択」、購入理由は「複数選択」、満足度は「段階選択」が向いています。また、商品・サービスに対する意見などを募る「自由記入欄」も設けておきます。

設問が多すぎると調査結果が煩雑化し、集計業務の負担も増してくるため、項目数はできるだけ少なくまとめるとよいでしょう。

CSの改善方法

では、CSの向上にはどのような取り組みが効果的なのでしょうか? CSの具体的な改善方法を確認していきます。

  • マニュアルを作成しサービスの質を一定化する
  • CSを定期的に測定する
  • 従業員満足度も向上させる

マニュアルを作成しサービスの質を一定化する

優れたサービスを実践する従業員がいても、それはあくまでも属人的なものであり、従業員ごとのサービスレベルにバラつきが見られる状況では、CS向上は困難です。安定した品質でサービスを提供できるよう、マニュアルを作成しましょう。

マニュアルが浸透した結果、従業員ごとの対応の差分は少なくなり、サービスの均質化が図れます。

CSを定期的に測定する

CSの向上を目指すには、定期的なCS調査の実施と状況把握が欠かせません。

特に顧客対応に関する改善策を実行する場合など、顧客満足度の上下動が反映されやすい施策では、速やかな効果検証が求められます。調査結果にもとづいて改善を繰り返し、CSの向上につなげていきましょう。

従業員満足度も向上させる

CSの向上を目指すには、従業員満足度が高く、前向きなモチベーションを持って意欲的に働ける環境づくりも重要です。

従業員のモチベーションが高く、社内の人間関係が良好であれば、同じ方向性を共有してCS改善に取り組んでいけます。また、従業員から商品やサービス、あるいは業務オペレーションなどの改善アイデアが積極的に提案されるようになると、商品やサービスの質の向上にもつながっていきます。

従業員満足度を向上させるためには、ITシステムを導入し従業員の負担を軽減する、評価が報酬に反映される仕組みを設ける、有給休暇を取得しやすい環境を作るといった方法があります。

まとめ

CSの維持・向上には、特定の指標を継続的に測定して改善を繰り返していくアプローチが欠かせません。また、CS向上のためのアンケート調査から顧客のニーズを深く理解し、商品やサービスの開発や改善に活かしていくサイクルも重要です。

自社にあった指標で定期的にCSを測定し、事業運営にフィードバックしていきましょう。

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