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商品を買いたいと思わせる言葉選びのコツ
「売ろうとしなくても売れる」会話術とは

「買ってください」と直接的な言葉自体はなかったものの、購買意欲が芽生えた結果、商品をそのままレジに持っていき購入に至った。こうした経験は、多くの人に覚えがあるでしょう。

これは店舗スタッフとの会話のなかで、無意識のうちに「買いたい」と態度変容が促されたからかもしれません。こうした接客上手なスタッフは言葉選びをはじめ、お客様とほどよい距離感を保つ技術に長けています。

接客上手な人が実践する、お客様に自然と「買いたい」と思わせる言葉選びのコツと、接客方法について考察します。

商品を買いたいと思わせる言葉選びのコツ

お客様に自ら「買いたい」と購買意欲を高めてもらうには、次のような言葉選びを意識することが効果的です。

  • 期限限定であることをアピールする
  • 数量限定であることをアピールする
  • 今ではなく未来の価値をイメージさせる
  • 買わないことのリスクを強調する
  • 意外性を伝える
  • お客様の要望だけに応えようとしない
  • 売り込もうとしない

なお、これらは接客時すべてにおいて使えるコツではありません。お客様が検討している商品の特徴やメリットなどに応じても実効性は変わってきます。

もちろん、お客様の性格などに依る部分も大きいため、お客様の話にじっくり耳を傾けることは大前提です。

期間限定であることをアピールする

人は「得すること」よりも「損をすること」に関心が向きがちであり、極力避けようとする心理的な特性があります。これは「損失回避の法則」や「プロスペクト理論」とも呼ばれるものです。

この法則を上手く活用した代表例が、期間限定アピールです。たとえば「夏期限定」「いまだけ」「15時までのタイムセール」など、期間限定であることをアピールすると、「いま買わないと損をするかもしれない」という心理が自然と働きます。

これにより、本質的な「要」「不要」とは別軸での購買意欲が高まってくる結果、お客様は自ら「買いたい」と考えるようになります。

数量限定であることをアピールする

前項と同じ理論にて、数量を限定することでも「いま買わなければ損をするかもしれない」の思いを促せます。

たとえば「1日20個限定」や「先着20名様」「ラスト1個」といった言葉を使うことで、「いま買っておかなければ」という心理が自然と湧き上がってくるのです。

今ではなく未来の価値をイメージさせる

人は商品の実質的な効果や効能を謳われるより、商品を購入した先にある具体的なベネフィット、つまり商品を使用することによって実現する幸せな未来を提示されたときに初めて自分ゴト化が促され、購入へと傾きやすくなります。

たとえば同じ日焼け止めでも、後者の表現のほうに購買意欲を促されるでしょう。

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このように先のベネフィットを提示し、お客様自身が使用する未来をイメージさせることで、「この商品は自分に必要だ」「買いたい」と思ってもらえやすくなります。

買わないことのリスクを強調する

「期間限定」や「数量限定」の手法も同様ですが、「いま買っておかないと損をする」ことを強調されると、買いたい気持ちを刺激されます。「人気商品なので、すぐに売り切れる」「次回入荷は未定」といった言葉でのアプローチに心を動かされた経験は、多くの人にあてはまるものでしょう。

これは裏を返せば、「いま買っておかないと二度と手に入らない」と伝えているのと同様の作用が認められます。メリットではなくリスクを伝えることでも、「いま買っておかないと」という心理が醸成されるのです。

意外性を伝える

「一粒にレモン100個分のビタミンC配合」や「月々1万円から乗りたい車に乗れる」といった、お客様が抱いている常識を覆す内容の文言を打ち出すことも効果的です。

商品の意外性を提示することで「お得かも?」「効果が高そう」と感じてもらえれば、買いたい気持ちにアプローチできるでしょう。

お客様の要望だけに応えようとしない

お客様のなかには、自身が持つ悩みや課題を明確化できていないケースが多々あります。また、表面的には理解できているつもりでも、心の奥底にある欲求にまでは認識できていないこともあるでしょう。

こうした場合には、まずお客様の要望の背後に潜む「本当の欲求」に気づかせてあげる必要があります。

たとえば「効果が高い日焼け止めが欲しい」と話すお客様の場合です。深層心理には「シミ対策を行いたい」という欲求が隠れていると推測できるでしょう。そこで「紫外線を浴びるとシミもできますしね」と共感したうえで、紫外線対策と同時に、シミ予防に効果的なスキンケア商品を勧めて購入を促します。

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売り込もうとしない

とにかく商品を売りたいがために「めちゃくちゃ良いものです」「この商品、おすすめです」と一方的に売り込んでも、お客様の購入意欲が刺激されるとは限りません。逆に「強引な営業をする店」とネガティブな印象を植え付けてしまい、再来店が望めなくなるかもしれません。

お客様が求めているのは購入に値する納得感です。商品の購入を後悔しないことがベストではありますが、万が一後悔することになったとしても、納得したうえで購入した場合であれば「仕方ない」程度の認識で落ち着くでしょう。

しかし、お客様のニーズを無視した強引な売り込みにより半ば無理やりに買わされた場合は、「あの店員のせいで損をした」という気持ちが残り、後悔の念ばかりが強くなります。

販売側は買う・買わないも含めた選択肢を提示する接客を意識するべきでしょう。

商品を買いたいと思ってもらう方法

人は自分にとって「価値がある」と感じたときに、商品の購入を決断します。商品を買いたいと思ってもらうには、お客様のなかにその商品を購入する理由を作ってあげることが肝心です。

マニュアル一辺倒の接客では、お客様の自分ゴト化は促進されず、購入率も上がりません。お客様によって求めているものは異なるため、一人ひとりに最適な接客を心がける必要があります。

売ろうとせずにニーズを引き出してあげる

繰り返しになりますが、買いたいと思わせる引き金となるのは、お客様自身の納得感です。無理に商品を勧めるのではなく、「何がほしいのか」「商品の購入によって何を解決したいのか」を探ることが重要になってきます。

お客様自身で「商品に望んでいること」に気づくことができたタイミングで最適な商品をおすすめすれば、自然と「買いたい」の気持ちは醸成されます。

買わない理由をつぶしていく

人は損を避けたい生き物なので、商品購入の際には「自分に合っていなかったらどうしよう」「失敗したら嫌だな」とネガティブな心理が働きます。特に過去に使用したことがない商品や、金額の高い商品であればあるほど、購入を迷うお客様は増えるものです。

商品の購入を迷う理由はさまざまですが、逆にいうのであれば、それらの不安を解消してあげれば選択肢は「買う」しかなくなります。

たとえば金額がネックになっている場合です。お客様は別の安価な商品と比較して購入を迷っていると考えられるでしょう。その際は商品スペックの違いからくるベネフィットをそれぞれ提示して、「だからこの商品は金額が高めに設定されているんです」と金額設定の理由を説明します。

買わない理由=商品に対する不安を解消してあげることで、購入意欲を促せるのです。

お客様の会話のテンポに合わせる

商品を「買わせよう」とすると、気持ちが焦って商品の特徴やメリットを早口でまくし立てがちです。販売側が一方的に伝えたいことに会話が終始してしまえば、購買意欲が高まらないのは明白です。

大切なのは、会話のテンポをお客様に合わせることです。人は自分と同じ言動をする人を好む傾向にあります。会話のテンポやトーンが合う人には親近感や安心感を覚えるため、お客様も安心して色んな情報を話してくれるようになります。

お客様の情報を多く引き出せれば、解決したい悩みや潜在的なニーズなども見えてきます。結果、最適な商品を提案できるようになり、「買いたい」の気持ちを刺激できるのです。

まとめ

さまざまな接客のコツを紹介してきましたが、はじめからすべてを意識してしまうと早口になる、あるいは無理のあるセールストークになりがちです。結果、お客様の「買いたい」気持ちを遠ざけることもなりかねないため、まずはひとつ意識してみることから始めてみましょう。

慣れてきたら別のコツを意識していくことを繰り返し、徐々に「買いたいと思わせる言葉」をマスターしていきましょう。

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