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CTB分析とは?
セグメンテーション分析との違いや具体的なやり方を解説

CTB分析は「カテゴリ」「テイスト」「ブランド」の3つの指標から顧客をグルーピングし、購買行動の予測に役立てられる分析手法です。
本記事では、CTB分析の概要と類似手法との違い、CTB分析の具体的な方法について解説します。

CTB分析とは

CTB分析は、3つの指標を用いて顧客をグループ分けし、今後の購買行動を予測するために用いられる分析手法です。なお、CTBの名も以下の3つの要素の頭文字に由来しています。

  • Category(カテゴリ)
    ファッションアイテムや食品など大分類と、その下層に属する小分類にカテゴリ分けし、顧客をグルーピングする
  • Taste(テイスト)
    色やサイズ、素材など、顧客の好みからグルーピングする
  • Brand(ブランド)
    好んでいるファッションブランドやキャラクター、各種製品のメーカーなどの観点からグルーピングする

これら3つの要素から顧客をグルーピングし、クラスター(集団)を作成します。

CTB分析では、テイストやブランドなど顧客の趣味嗜好までを考慮するため、より顧客目線を反映したマーケティング戦略の立案が可能になります。

CTB分析の方法

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CTB分析は、一般的に次のプロセスを踏んで実施されています。

  1. 商品をカテゴリに分ける
  2. テイストを分析する
  3. ブランドを把握する
  4. 販売戦略を立てる

なお、CTB分析は顧客の属性や趣味趣向を理解するうえでは有効な手法ですが、企業が保有する商品、あるいは直面する課題によっては、手法自体が機能しないこともあります。

以下で解説する方法に目を通した上で、CTB分析は自社の状況に本当に適しているのか判断してください。

商品をカテゴリに分ける

まずはCTB分析の3つの指標である、「カテゴリ」「テイスト」「ブランド」を明確にします。

最初に着手するのは商品のカテゴリ分けです。顧客関係管理システム(CRMシステム)やPOSシステムに記載されている購入履歴から購入品目を洗い出し、それぞれの大分類と小分類を作成します。

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大分類はファッションアイテム、キッチン用品などの大まかな枠組みで、小分類は具体的な商品名などで分類しましょう。必要に応じて中分類などを設けてもよいですが、過剰な細分化はクラスターの煩雑化を招くため注意してください。

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テイストを分析する

続いてテイストの分析に入ります。カテゴリ分けした商品に共通する項目を洗い出し、購買履歴を参照しながら、顧客がどのような趣味趣向を有しているのかを分析します。ファッションアイテムであれば質感や色味が、キッチン用品であれば重さや機能などの要素に着目しましょう。

テイストも細かく分類しすぎないことがポイントです。

ブランドを把握する

顧客が好むブランドを把握していきます。なお、実在するブランドはもちろんですが、メーカーやキャラクターといった要素もブランドと見なされます。

顧客が好むブランドを把握できると、価格とブランドのバランスは適切なのか、どのようなブランドが好まれるのか、といった購買行動に関連する詳細な事項も明確になるでしょう。

これらの分析が終わって、初めて具体的な販売戦略立案に移行します。

販売戦略を立てる

販売戦略の立案フェーズでは、ここまでのCTB分析で得られた顧客の属性をもとに、ターゲットや広告手法を決定していきます。これまでは販売戦略を立てても効果が薄かった商品が、CTB分析の活用によって商品やサービスを求めていたターゲットに刺さるようになる可能性があります。

CTB分析だけでも販売戦略を立案することはできますが、可能であればデシル分析など定量的な要素を考慮した分析手法も併用してみましょう。講じるマーケティング戦略に一定のロジックが付与され、より高い効果が期待できるようになります。

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CTB分析の目的

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CTB分析を実施する、具体的な目的は次の3つです。

  • 顧客の属性を明確にする
  • 商品やサービスの品質を改善する
  • 新規顧客を増やす

顧客の属性を明確にすることを焦点としつつも、品質向上や新規顧客の開拓までが視野に入ることが、CTB分析が採用される主目的です。

顧客の属性を明確にする

CTB分析の最大の特徴は、顧客の属性を趣味嗜好のレベルまで明確にできることです。

本来、趣味嗜好とは定量的な指標ではなく、数値で測れない定性的なものです。この定性的な指標を活用できるようになれば、企業のマーケティング活動はより効果的に機能するできるでしょう。

たとえば、同じ商品を購入している顧客であっても、細かく見ていくと色や形は異なります。これらの差分を高い解像度で俯瞰すると、各購入層に対する訴求ポイントも明確化され、より効果的なマーケティング戦略に反映できます。

商品やサービスの品質を改善する

顧客の趣味嗜好が明確になることで、既存の商品やサービスの品質向上に役立てられることも、CTB分析が採用される理由です。

CTB分析は顧客の今後の需要を予測するために用いられます。その需要に応える商品・サービスを作り上げるために、CTB分析の結果は重要なエビデンスとなるでしょう。

数字上はよく売れている商品であったとしても、まだ改善の余地が残されているケースは珍しくありません。商品・サービスを改善し、顧客により高い満足度を提供するという観点でも、CTB分析は重要です。

新規顧客を増やす

CTB分析は新規顧客の増加にも寄与します。CTB分析を実施し、顧客の属性や趣味趣向の傾向を理解できれば、潜在顧客のイメージもおのずと見えてくることでしょう。

潜在顧客は、企業や商品・サービスの存在に気づけば、見込み顧客になる可能性があります。彼らに対してどのようなアプローチをすべきか、その判断材料としてCTB分析は役立ちます。

セグメンテーション分析との違い

セグメンテーション分析とは、顧客の属性や購買履歴などからセグメンテーションを実施し、マーケティング戦略に応用していく分析手法です。

CTB分析と類似する部分もありますが、セグメンテーション分析では顧客の趣味嗜好までは踏み込めない点が明確な差分です。セグメンテーション分析は、リスティング広告やメールマーケティングなど、一般的には細やかな趣味嗜好までを考慮することが困難なマーケティングチャネルで活用するとよいでしょう。

RFM分析との違い

RFM分析とは、CTB分析と同様に3つの要素で顧客をグルーピングする分析手法です。

  • Recency(直近の購買日)
  • Frequency(購入頻度)
  • Monetary(購入金額)

顧客の「属性」や「趣味趣向」にフォーカスするCTB分析に対し、RFM分析は顧客の「購買行動」をベースとしている点で、両者は明確に異なります。

また、RFM分析は主に優良顧客・休眠顧客・新規顧客に対し、それぞれどのようにアプローチするのかを明確にするために活用されます。購買行動の予測に活用されるCTB分析とは、そもそもの趣旨が異なります。

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まとめ

CTB分析は、セグメンテーション分析やRFM分析とは異なる傾向を読み取れる分析手法です。顧客の定性的な部分である趣味嗜好を明確にすることで、今までとは異なる切り口でのマーケティングが可能になるかもしれません。

もちろん、定量的な分析もマーケティングにおいては重要です。CTB分析だけではなく、デシル分析なども併用した戦略立案に取り組むべきでしょう。

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