どうして東芝テックはスタートアップ企業に投資するのでしょうか？

錦織私たちの目的は、新規事業の開拓です。当社はこれまでにも、創業70年に及ぶ歴史の中で様々な事業を開発し、新しい価値創造につながる商品・サービスを生み出してきました。その実績があるがゆえに、この先も自分たちだけでイノベーションを起こせると考えている人が多いのも事実です。しかし、今は社会が変化するスピードが非常に早く、不確実性も高い時代。自社単体で社会に大きなインパクトを与えるような価値を創出することは難しく、協業の精神なくしてイノベーションは起こせません。
優れたスタートアップ企業には、世の中の新しい動向に対する鋭いアンテナ、スピード感を持ってビジネスを動かす実行力、そして何よりも「社会を変えたい」という熱いパッションがあります。こうした外部の力を採り入れながら、ともに刺激を与え合い、より大きく成長していきたい。それが、私たちがスタートアップ企業に投資する理由です。スタートアップが持つ強みと、当社が既存事業で培ってきた圧倒的な顧客基盤や技術・スキルを掛け合わせることで、巨大なシナジーが生まれ、未来を切り拓く価値創造が可能になると考えています。

COVID-19の影響でCVC投資が縮小するという予測もありますが、
コロナ禍における投資についてどのようにお考えでしょうか？

錦織COVID-19により様々な産業に影響が及んでいますが、決して悪いことばかりではなく、この大きな転換期こそが改革・変革のチャンスだと捉えています。実際、コロナ禍で人びとの働き方や店舗ビジネスの形が大きく変わる中、新しい人材管理サービスやOMOを前提とした在庫管理サービスなどで、社会のニーズに応えるスタートアップ企業が台頭してきました。当社との大きなシナジーが見込める領域については、これまで以上に積極的に投資をすべきだと考えています。

東芝テックが投資をするにあたって、
スタートアップ企業に期待することはなんでしょうか？

錦織私もこれまでに様々なスタートアップ企業の経営者の方々とお会いしてきましたが、とても個性的で熱いパッションをお持ちの方ばかりで、いつも刺激を受けていました。出資させていただくスタートアップ企業の皆さまには、当社の事業部メンバーに対して、ぜひともそのような刺激を与えてほしいと思っています。
東芝テックには長い歴史の中で培われた膨大な知識・技術・ノウハウがあり、常にお客様の言葉を第一に活動してまいりました。しかし、これからの時代に新たな価値創造を実現するためには、世の中の流れをいち早く掴み、国外企業の動向も含めた大きな視点でベンチマーキングを行うことも欠かせません。日々、鋭いアンテナを張って活動されている皆さまには、私たちが変わるための有益な情報を積極的に発信し続けていただくことを期待します。

東芝テックの投資は、
スタートアップ企業にとって資金面以外にどのようなメリットがあるでしょうか？

錦織当社の顧客基盤は強大で、POSレジ事業に関しては国内で圧倒的なシェアを誇っています。つまり、購買データはもちろんのこと、HR領域や物流領域、ヘルスケアに関するデータなど、あらゆるビッグデータを利活用してマイクロサービスを創出することができるということです。新規事業を創出する際、より大きな基盤のある企業と組んだほうが、より大きなイノベーションを起こせる可能性が高くなることは間違いありません。
また、当社は常にお客様ファーストの精神で成長してきた会社であり、現場の声を知り尽くしているという自負があります。どんなに大きな顧客基盤があったとしても、現場のニーズを深く知ることができなければ、真に価値のある商品・サービスはつくれないと思っています。
このように東芝テックおよび東芝グループの持つ事業アセットを、出資先企業の事業内容や事業ステージに合わせて提供し、成長を加速させるための支援を継続的に行っていきたいと考えています。

今後出資する可能性のあるスタートアップ企業に向けたメッセージをお願いします。

錦織私たちは、新規事業開拓を通じてグローバルカンパニーへと成長することを目指しています。そのために、今後は海外のトレンドも注視しながら「攻めの投資」を行います。
最終的にはリターンを得ることを期待していますが、そこに至るまでのプロセスで出資先企業の皆さまと質の高いコミュニケーションを交わし、互いに刺激を受けながら成長していくことが非常に重要だと思っています。
当社は「ともにつくる、つぎをつくる。」という経営理念を掲げています。私たちはお客様、社会、パートナー、仲間とともに長いイノベーションの道のりを歩んできました。その財産を受け継ぎながら、次の未来を切り拓く挑戦をしていきたいと思います。そのために、私たちはスタートアップ企業の力を必要としています。お互いのミッションを実現し、ともに成功するために、一緒に手を組んでいきましょう。