新規顧客の集客方法12選
各手法のメリット・デメリットや効果的な施策を解説
新規顧客を増やすためには、多様なマーケティング戦略を講じる必要があります。なかでも集客は重要な課題であり、自社に適した方法を見出せないというケースも少なくないでしょう。また、ひと口に新規顧客の集客といっても、その手法は複数あるため、それぞれの特性やメリット・デメリットを押さえておく必要があります。
本記事では、新規顧客の集客方法を、デジタルとアナログのアプローチに分類して解説します。
【デジタル編】新規顧客の集客方法
デジタル領域でできる新規顧客の集客方法にはさまざまな種類がありますが、代表的なものは以下の6つです。
- デジタル(Web)広告
- SNS(ソーシャルメディア)
- オウンドメディア
- SEO(検索エンジン最適化)
- MEO(地図エンジン最適化)
- リストマーケティング(メルマガ・LINE)
デジタル(Web)広告
インターネット上に存在する広告を総じてデジタル広告、あるいはWeb広告と呼びます。リスティング広告やSNS広告など種類が豊富で、広告出稿費や成果が出るまでのリードタイムもそれぞれ異なります。
基本的には、ユーザーの検索したキーワードや検索・閲覧履歴などが加味され、志向性に応じた広告が表示される仕様となっているため、デジタルでの新規顧客集客施策のなかでは比較的リードタイムが短い傾向にあるのが特徴です。スマートフォンの浸透も手伝って、現在もっとも盛んな広告といえるでしょう。
一方、広告の種類によっては膨大な費用が発生します。自社の予算に余裕がなければ、継続して広告を出し続ける体力がなくなってしまうかもしれません。現代社会において新規集客に効果がある手法ではありますが、費用面の負担が大きいことを知っておく必要があります。
【デジタル(Web)広告がおすすめの企業】
- 商品・サービスのターゲットが明確になっている企業
- 特定の悩みや不安を解決できる商品・サービスを取り扱っている企業
- 予算に余裕がある企業
【デジタル(Web)広告がおすすめではない企業】
- 商品・サービスのターゲットがあいまいな企業
- 特筆してPRできる商品・サービスがない企業
- 予算に余裕がない企業
SNS(ソーシャルメディア)
TwitterやFacebook、Instagramなどを総称してSNSといいます。デジタル広告と並んで実施されている広告手法であり、デジタル広告の手段のひとつとしてカウントされるケースも見られます。
名称 | 特徴 | ユーザー数(月間) | ユーザー層 |
---|---|---|---|
もっとも拡散力があるSNSであり、文字での発信がメイン | 4,500万人 | 10~50代 | |
男女を問わずビジネスパーソンによる利用が多く、BtoBに強い | 2,600万人 | 30~40代以上 | |
女性を中心に、写真や短編動画でのブランディングが強力 | 3,300万人 | 10~30代 | |
YouTube | 日本の人口の約半数が利用しているといわれる動画プラットフォーム | 6,500万人 | 10~40代 |
TikTok | ユーザー数や年代はやや狭いものの、ユーザーの興味関心にリーチしやすい | 950万人 | 10代 |
各SNSの特性や利用者層を把握しておかなければ、狙ったような集客効果を実感できません。例えばシニア層にリーチしたい場合に「流行しているから」という理由だけでInstagramを活用しても、狙ったターゲットに届かない可能性が高いでしょう。
反面、市場調査ができていれば新規顧客の集客に役立ちます。また、デジタル広告とは異なり、気に入った商品やサービスに対する好意的な口コミの投稿および拡散が期待できるため、ヒットすれば絶大な集客効果を期待できる側面もあります。
注意したいのは、いわゆる「炎上」と呼ばれる状態です。炎上してしまうと、商品だけではなく企業ブランディング自体にもマイナスの影響が波及する可能性があります。
【SNSがおすすめの企業】
- 自社商品・サービスのターゲティングができている企業
- デジタル広告よりも費用を押さえたい企業
- 運用方法のノウハウがある企業
【SNSがおすすめではない企業】
- 自社商品・サービスのターゲットが明確ではない企業
- 継続的な運用が難しい企業
- SNS運用のノウハウがない企業
オウンドメディア
オウンドメディアとは、自社サイトで展開するコラムや動画などのコンテンツを用いたマーケティングです。関連する施策には後述するSEOがあり、オウンドメディアの定義そのものにもさまざまな解釈があります。
オウンドメディアは直接集客ができるのはもちろんですが、商品・サービスや企業のブランディングを牽引し新規顧客にリーチできる手法です。リードタイムは長く、成果が出るまでに時間はかかりますが、顧客を育てつつ新規顧客の取り込みができることがメリットです。広告ではなくひとつのコンテンツとして集客するため、広告費を抑制することもできます。
他方、オウンドメディア単体での集客力は、ほかのデジタル領域の広告と比較して強くはありません。基本的にはSEOやSNSと組み合わせて展開していく必要があるでしょう。
また、コンテンツを作成する手間や費用も無視できません。外注することもできますが、広告とは別にコンテンツ作成費用が発生します。
【オウンドメディアがおすすめの企業】
- 自社にノウハウやブランドストーリーがある企業
- 広告費を抑えたい企業
- 新規顧客獲得と既存顧客の教育を同時に行いたい企業
【オウンドメディアがおすすめではない企業】
- 自社のプラットフォームを持っていない企業
- コンテンツ作成ができる社内リソースがない、外注できる予算がない企業
- 広告に即効性を求める企業
SEO(検索エンジン最適化)
SEO(Search Engine Optimization)は、検索エンジンに特定の言葉(キーワード)を入力した際に自社サイトを上位表示させるためのマーケティング戦略です。特定の悩みや疑問を抱えている不特定多数のユーザーにリーチできるほか、コンテンツを経由してリスト取りができることもメリットです。
反面、効果が出るまでには少なくとも3ヵ月~半年の期間が必要です。自社サイトを上位に表示させるためには、公開されたコンテンツに対する検索エンジンからの評価を待たなくてはいけません。その期間が一般的には3ヵ月~半年といわれています。
また、オウンドメディアと同じく、社内リソースや外注できる資金的体力がないと継続できないというデメリットがあります。中長期的な運用をして初めて効果が期待できる施策であるため、短期的な成果を望む場合は適していません。
キーワードの選定にはSEOの知見が求められます。専門人材の確保も必要になるでしょう。
【SEOがおすすめの企業】
- 自社にノウハウがあり、消費者ニーズにリーチできる企業
- 時間をかけて集客をしたい企業
- 社内に対応できる人材がいて、継続的にコンテンツ作成ができる企業
【SEOがおすすめではない企業】
- SEOについての知見がある人材がいない企業
- 外注できる資金的体力がない企業
- 即効性を望んでいる企業
MEO(地図エンジン最適化)
MEO(Map Engine Optimization)は、検索エンジンに店舗の情報を表示させるためのプロモーション手法です。スマートフォンの普及で注目度が高まっており、主に店舗ビジネスを行っている企業におすすめの方法になります。
店舗の周辺にいる人物にリーチできるため、効果は比較的早く出る傾向にあります。目的がある程度定まっており、興味関心が高い顧客を集められることもメリットです。
一方で、SEOと同じく継続的な投稿や口コミの管理が必須となります。初期設定自体は難しくないものの、管理がなされなければ検索エンジンから「古い情報」と判断されてしまい、店舗情報が表示されなくなってしまうこともあります。また、顧客が書き込んだ口コミによってその後の集客にマイナスの影響を与える可能性にも留意しなければいけません。
【MEOがおすすめの企業】
- 店舗型ビジネスを展開している企業
- 興味関心が高い顧客を集めたい企業
- 継続的な集客を達成したい企業
【MEOがおすすめではない企業】
- インターネットビジネスなどの店舗を必要としない企業
- 継続的な運用・管理ができない企業
- 口コミの管理ができない企業
リストマーケティング(メルマガ・LINE)
メルマガや公式LINEなどを用いて顧客にリーチする方法を、リストマーケティングと呼びます。事前に何かしらの方法で集めた顧客のメールアドレスやLINEアカウントに、商品やサービスの情報を発信し、集客する方法です。
リストを集める必要があり、そのためにはSEOなど別の施策を実施しなければならない可能性が生じます。お友達登録割引などの手法を取り入れて、効率的に顧客情報を集めるオペレーションを整えましょう。
新商品やキャンペーンの案内のほか、ブランドストーリーや開発秘話など、顧客を啓蒙するような内容の発信も可能です。新規顧客だけではなく既存顧客に対しても有効な施策といえるでしょう。
ただし、あまりしつこく配信してしまうと、かえって顧客離れを招く可能性があります。また、メルマガの場合はメルマガ管理ツールが、公式LINEでは月額の利用料がそれぞれ必要です。
【リストマーケティングがおすすめの企業】
- 既存顧客にもリーチしたい企業
- 継続購入や再購入の商品・サービスを持っている企業
- 定期的に新商品やキャンペーンを発表している企業
【リストマーケティングがおすすめではない企業】
- リストがない企業
- 継続購入や再購入できる商品・サービスを持っていない企業
- 全くの新規顧客にリーチしたい企業
【アナログ編】新規顧客の集客方法
インターネットの発達やスマートフォンの普及などで押され気味のアナログでの集客方法ですが、いまも現役の手法として健在です。代表的な方法は次の6つになります。
- ポスティング
- DM(ダイレクトメール)
- 新聞・雑誌の広告
- 交通広告
- テレアポ
- 展示会
ポスティング
ポスティングは、一般家庭のポストなどに直接広告を投函する方法です。新聞などの折込広告とは異なり、チラシ単体で投函されるため、どの会社のチラシかわかりやすいことがメリットです。
集合住宅などの特定の共通した属性を持つ人々に一斉アプローチができるという側面もあるほか、デジタルノンネイティブにもリーチできるでしょう。比較的年齢層が高いターゲットへのアプローチに有効です。
一方、ポスティングを行うには対象となる地域の属性などを明確にしなければならず、その調査には少なくない手間がかかります。チラシの制作費用や印刷費、ポスティング費用などの発生もデメリットとなるでしょう。加えて、興味関心がなければ集客につながらないどころか迷惑扱いされる可能性もあるため、ポスティング後の反応をよく観察しなければいけません。
【ポスティングがおすすめの企業】
- 集合住宅などにまとめてリーチしたい企業
- 集客の成果を急いでいない企業
- 比較的年齢層が高いターゲットを狙う企業
【ポスティングがおすすめではない企業】
- 短期間で成果を出そうとしている企業
- 地域の属性などをリサーチしきれていない企業
- ターゲットが比較的若い企業
DM(ダイレクトメール)
ポスティングによく似ていますが、リストマーケティングと同じく何からの方法で取得した顧客の住所に、広告を郵送する手法がDM(ダイレクトメール)です。興味関心がある顧客に届くため、効率的なアプローチが期待できます。
チラシの作成のほか、郵送準備にコストがかかるデメリットはあるものの、不特定多数にリーチするのではなくターゲットに直接リーチできる点でポスティングより効率的といえるでしょう。
興味関心を有する多くの顧客に情報を届けられることもメリットですが、やり方によっては不信感を抱かれることもあります。個人情報が重視されるようになった昨今、DMに対して快く思わない人がいることも覚えておきましょう。
【DMがおすすめの企業】
- 顧客リストなどを持っている企業
- コストを抑えて効率的なリーチをしたい企業
- 多くのターゲットに同じ情報を与えたい企業
【DMがおすすめではない企業】
- 顧客リストがない、もしくは古い企業
- 郵送費などのコストをかけたくない企業
- 個人情報の取り扱いに関する規定が明確でない企業
新聞・雑誌の広告
新聞や雑誌の広告も、新規顧客の集客には有効な施策です。需要は減少傾向にありますが、ビジネスパーソンや高齢者などにリーチしたい場合におすすめです。
また、新聞や雑誌には定期購読している顧客がいるため、繰り返し広告を掲載し続けることで認知度が高まります。新聞広告を掲載するには審査があり、それをクリアしたという意味で企業の信頼性向上につながることもメリットです。
一方、広告出稿費が高額になりがちで、体力がなければ継続掲載は困難です。少額で出稿できる場合もありますが、一般的には広告欄が小さいなどの差別化が図られています。雑誌も含めて、近年は読者の減少が続いているため、継続出稿しても新規顧客の創出が難しいという側面もあるでしょう。
【新聞・雑誌の広告がおすすめの企業】
- ビジネスパーソンや高齢者にリーチしたい企業
- 認知度の向上や社会的信頼性を獲得したい企業
- 特定の地方・地域にリーチしたい企業
【新聞・雑誌の広告がおすすめではない企業】
- 広告出稿費を捻出できる企業
- すでに新聞・雑誌のメイン読者にユーザーが多い企業
交通広告
電車の中吊り広告やタクシーやバスの放送広告などを交通広告と呼んでいます。サラリーマンや学生など、公共交通機関を利用する人物をターゲットとしている企業におすすめの方法です。
広告費はかかりますが、不特定多数の人が利用する公共交通機関内でリーチできるため、新規顧客の獲得を狙いやすいメリットがあります。QRコードなどを掲載しておくことで、その場で問い合わせにつながることもあるでしょう。話題性のある広告であれば、SNSなどを経由して企業の知名度が上がる副次効果もあります。
交通広告のデメリットは、公共交通機関が発達した地域でなければ効果が薄くなる点です。運行本数が少なかったり過疎地であったりすると、比例して交通広告の効果も下がってしまいます。また、ほかのアナログ広告とは異なり、短時間で興味を引かなければならないため、広告のデザインやキャッチコピーも重要です。
【交通広告がおすすめの企業】
- 都市部のサラリーマンや学生がターゲットの企業
- 不特定多数の人物にリーチしたい企業
【交通広告がおすすめではない企業】
- 地方在住者をターゲットにしている企業
- 広告デザインのノウハウがない、もしくは経験が浅い企業
テレアポ
リストマーケティングなどで活用するリストを用いて、電話での営業を仕掛けるのがテレアポです。一昔前の手法と思われがちですが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って非接触で顧客にリーチできるため再度注目を集めています。
営業マンの電話応対の教育や教育担当者が必要になりますが、電話越しとはいえ会話をしながら商品・サービスの説明ができる点は大きなメリットです。顧客からの質問などをその場で解決できるため、すぐに集客につながる可能性もあるでしょう。
デメリットは、やはり教育の必要性です。社内にテレアポ教育ができる人材がいなければ外注する形になりますが、対応可能な会社は多いため、外注化はそれほど難しいわけではありません。しかし、外注先のスタッフのレベルに集客数が左右されかねないため、こまめなやり取りが大切になります。
【テレアポがおすすめの企業】
- 商品・サービスを口頭で説明したい企業
- 比較的早く集客をしたい企業
- 外注できる資金的体力がある企業
【テレアポがおすすめではない企業】
- 電話での説明や対応ができる人材がいない企業
- 外注できる資金的体力がない企業
- 外注先に丸投げしたい企業
展示会
展示会への出展も、新規顧客の獲得につながります。基本的にはBtoBビジネスで採用されるケースがほとんどですが、展示会で自社製品を見てもらいつつ名刺交換を行うことで、リストとなる貴重な情報を収集できます。商品・サービスに興味を持った人にはその場でのプレゼンテーションもできるため、すぐに集客につながる可能性もあるでしょう。
一方、出店費用が高額になりがちな点はデメリットです。開催する会場の所在地や規模によりますが、イベント1回につき小さなブースで30~50万円、大きなブースであれば100万円を超える例も珍しくありません。また、同業者が集う展示会の場合は、見せ方を工夫しなければ集客が難しくなる点もデメリットです。
【展示会がおすすめの企業】
- BtoB商品やサービスを持っている企業
- 名刺交換などでリスト取りをしたい企業
- 興味のある顧客にすぐに説明できる環境が欲しい企業
【展示会がおすすめではない企業】
- 1回あたりの出展費用が捻出できない企業
- 同業者が集まる展示会で差別化が難しい企業
新規集客を成功させるポイント
新規顧客を集めるためには、方法を検討するだけではうまくいきません。本記事で紹介してきたどの集客方法にも共通していえますが、次の3点を十分に検討できていなければ効果の実感は望めないでしょう。
- サービスのベネフィットを明確にする
- ターゲットを策定する
- 適切な集客方法を検討する
サービスのベネフィットを明確にする
どれだけキャッチーな広告を掲載しても、顧客が商品やサービスにベネフィットを感じなければ購買行動にはつながりません。ベネフィットを明確にすることで、すでにその悩みを認知している顕在層にアプローチできるほか、これまでは気が付いていなかった必要性を実感する潜在層の両方にリーチできるのです。
ターゲットの購買行動を促すには、どのような見せ方がふさわしいのかを十分に検討しましょう。
ターゲットを策定する
入念なターゲティングも欠かせません。例えば20代男性というだけでは、どこにその人物が多く、何を使えば集客につながるのかを明確化できません。同じ20代男性でも、住所や年収、家族構成なども加味することで、どのような集客方法を実施すべきか、イメージできるようになります。
無難な広告を打って集客を狙うこともできなくはありませんが、ターゲットがぼやけていると集客効果が薄まる可能性は否定できません。集客方法を講じる前に、ターゲットを明確にしておきましょう。
適切な集客方法を検討する
サービスのベネフィットとターゲットが決まったら、適切な集客方法を検討します。上記にて各集客方法の特徴やメリット・デメリットを紹介しましたが、決定したベネフィットとターゲットをもとに、どの方法が適切なのかを見極めて実行しましょう。
予算に余裕があるのであれば、いくつかの方法を試してみるのもよいでしょう。実際にやってみなければわからない側面もあるため、複数の広告手法を採用できるのであれば、試してみる価値があります。現実的にどれかひとつしか採用できない場合は、じっくり検討することをおすすめします。
まとめ
新規顧客の集客方法はさまざまで、適切なターゲットやメリット・デメリットはそれぞれ異なります。
新規集客は、業種業態を問わず大きな課題です。ターゲットとベネフィットを明確にし、適切な集客方法を講じてください。それらが曖昧なまま集客施策を実行しても、思ったような成果につながらない可能性は否めません。時間をかけて十分に検討してみましょう。