イメージ画像

マストバイキャンペーンとは?
成功事例からわかる効果・メリットと成否をわけるポイント

食品や化粧品などの商材でしばしば実施されている、対象商品の購入を条件に抽選に応募できるキャンペーン。こうした「特定の商品の購入」を条件とするキャンペーンは、「マストバイキャンペーン」と呼ばれています。

マストバイキャンペーンは、購買を促進する作用があるのはもちろんのこと、認知拡大等のブランディング効果も期待される取り組みです。本記事では、マストバイキャンペーンの特徴やメリット、主な種類や成功事例などを解説します。

マストバイキャンペーンとは

マストバイキャンペーンとは、特定の商品の購入を条件として実施されるキャンペーンのことです。

【マストバイキャンペーンの実施例】

  • 商品に貼りつけられたシールを集めて、台紙になっている専用ハガキに貼って応募する
  • 商品を購入したレシート画像を専用フォームにアップロードする

これら「購入の証明」を条件としたキャンペーンは、製菓や食品、飲料、化粧品などのジャンルにて、たびたび取り組まれている施策です。また、こうしたキャンペーンは、消費者に向けて直接的に購買を促す効果のほか、メーカー企業側に小売店の商品棚のスペース確保としてメリットが還元される観点からも、有効な施策とされています。

なお、類似する用語に「オープンキャンペーン」や「クローズドキャンペーン」があります。

  • オープンキャンペーン:誰でも簡単に満たせる条件を設定して応募者を募るキャンペーン
  • クローズドキャンペーン:「商品の購入」「サービスの利用」「来店」などを参加条件とするキャンペーン

つまり「商品の購入」を参加条件としているマストバイキャンペーンは、後者のクローズドキャンペーンに分類されます。

マストバイキャンペーンの成功事例

マストバイキャンペーンをより具体的に理解すべく、実際にどのような形式で実施されているのか、モバイル決済を展開する企業の成功事例を紹介します。

キャンペーン内容 モバイル決済を使用して支払いをした際に、決済利用金額の20%相当を独自残高で還元するマストバイキャンペーンを実施。還元総額数億円にのぼる大規模予算を投入した。
反響
  • 約400万人の新規ユーザー獲得
  • 10日間の決済回数330万件を記録
  • モバイル決済における認知度No.1を獲得
  • 第2段キャンペーンでも新規ユーザー360万人を獲得

その他のマストバイキャンペーン事例

先に挙げた具体例のほか、マストバイキャンペーンを実施・成功している企業はさまざまなジャンルに見られます。

製薬会社の事例

ある製薬会社では、対象商品の裏側に印字された二次元バーコードを読み取り、LINE公式アカウントのお友達登録を完了した人に向けて、対象商品をもうひとつプレゼントするマストバイキャンペーンを実施しました。

同キャンペーンのポイントは、「何度でもチャレンジ可能」であること。毎週10名に当たるとして、期間中の継続購入を促しています。また、商品のリニューアルにあわせて同種のキャンペーンを展開し、リニューアルの認知拡大にもひと役買っています。

医薬品メーカーの事例

ある医薬品メーカーでは、キャンペーン期間中に対象商品を一定金額以上購入し、レシートをアップロードすると景品が当たるマストバイキャンペーンを実施しました。具体的には、購入金額1,000円以上でトラベルセットが、3,000円以上で温泉旅行が抽選で当たるという内容です。

さらに、応募時に対象商品に対する熱い思いを書いてくれた人のなかから、抽選でシークレットアイテムが当たる追加プレゼント企画も実施。販売促進と同時に、顧客ロイヤルティの測定もなされています。

また、ハガキからも応募できるようにキャンペーンを設計し、デジタルが苦手な人の参加も促せるようになっています。

顧客体験(CX)と顧客ロイヤルティ|価値を高める方法と事例

飲料メーカーの事例

ある飲料メーカーでは、対象商品に貼られたシールを集めて応募することで、抽選で旅行ギフト券やうなぎの蒲焼きなどが当たるマストバイキャンペーンを実施しています。

さらに抽選で当たるコース以外にも、5,000円相当のデジタルポイントが「必ず当たるコース」も用意。外れなしの景品も準備することで、既存顧客はもちろんのこと、新規顧客に対しても販売促進を図りたい狙いが読み取れます。

マストバイキャンペーンのメリット

マストバイキャンペーンのメリットのイメージ

マストバイキャンペーンの実施によるメリットは、大きく次の2点に集約されます。

  • 購買促進効果
  • ブランディング効果

なかでも着目したいのが、後者にあたる「ブランディング効果」の観点です。

そもそもマストバイキャンペーンは、参加に「購入」が必須になる特性から、販売促進効果を狙うのは当然です。しかし、メリットはそれだけに留まらない点が、マストバイキャンペーンの面白いところです。施策の内容次第では、先に触れたモバイル決済企業のキャンペーン成功事例のように、強力なブランディング効果が還元されます。

「モバイル決済といえばこの会社」と真っ先に思い出してもらえること、つまりユーザーの第一想起を獲得したことは、利用するサービス選びの第一候補になりやすいことと同義です。これにより、さらに売上も向上する好循環が生み出されます。

キャンペーンに伴う認知の拡大は、消費者の信頼感や安心感を醸成します。競合他社との差別化戦略などにおいても、少なくない効果を発揮するでしょう。

マストバイキャンペーンの主な種類

マストバイキャンペーンにはさまざまな種類がありますが、次のような方式が代表的です。

  • QRコード応募
  • レシート応募
  • シール応募
  • シリアルナンバー応募

QRコード応募

商品やレシートに記載されているQRコードを読み取って購入を証明する方法です。QRコードから専用ページや応募ページへと遷移し、個人情報を入力するプロセスが一般的です。先に紹介した事例のように、LINE公式アカウントのお友達登録ページに遷移するケースもあります。

QRコード応募はWebサイトやWebアプリ等を活用できるため、施策のバリエーションを広げやすいことが特徴です。応募した時点で抽選を実施し、すぐに結果がわかる「インスタントウィンキャンペーン」や、参加するごとにポイントを加算する「マイレージ型キャンペーン」の実施なども可能です。

なお、多くの人が手軽に参加できるメリットの一方で、QRコードを付与するためにパッケージの変更を強いられたり、小売店との間に調整コストが発生したりする点が懸念されます。

レシート応募

対象商品の購入レシートを撮影して、専用サイトやSNSにアップロードする。あるいはレシートそのものをハガキなどの台紙に貼り付け送付することを購入証明とする方法です。

この方法のポイントは、「レシートの再活用」にあります。これには、購入日や購入品目、購入店舗、購入金額などが明記されているレシートは、マーケティングツールとしても優秀に機能する背景があります。

購入証明に使用するのはもちろん、これらのデータは消費者の購入傾向分析にも応用できるため、顧客理解を深める意味でもおすすめの方法です。また、パッケージ変更などの手間も生じないため、低コストで実施できることもメリットです。

一方、QRコード応募のような印刷による告知効果はないため、キャンペーンの認知が進みづらいことが難点です。また、レシートには対象商品以外の購入品も記載されるため、プライバシーの観点から提出に嫌悪感を抱く消費者も一定数いるでしょう。キャンペーンの告知と合わせ、こうした心配を払拭するための説明記載も求められます。

レシート広告とは?見られやすい広告媒体として今注目される理由

シール応募

シール応募は、ハガキや売り場に設置した専用台紙に、商品に付いているシールを貼って応募することで購入証明とする方法です。キャンペーン用にシールを用意する場合もあれば、キャンペーンの実施を問わず商品に貼られたシールを期間中だけキャンペーンに使えるようにするケースもあります。

この方法のメリットは、商品にシールが貼られているため、購入に合わせてキャンペーンの認知が進みやすいことにあります。魅力的な景品を複数用意し、シールの数や種類によって応募できる景品の種類を段階的に設計するなど、期間中の継続購入を促せることもメリットでしょう。

ただし、デジタル化が進む現代では、やや古い印象の手法でもあります。また、キャンペーン期間中にはシールを貼る手間が、キャンペーン終了後には商品の回収およびシールを剥がす手間やコストが発生する点も懸念されます。

シリアルナンバー応募

対象商品に付与されたシリアルナンバーを、WebサイトやSNSなどに入力することで購入証明とする方法です。

シリアルナンバーはシールへの印字が一般的です。シール応募と同様に、購入時にキャンペーンの認知が進みやすい点がメリットになります。また、一定額以上を購入したら、シリアルナンバーが印字された応募券を直接手渡すという方法もあります。消費者の購入意欲を刺激でき、客単価アップも図れるでしょう。

一方で、シリアルナンバーの発行やシールを貼るコスト、キャンペーン応募を促すための店頭プロモーションが必要になる点などが難点です。また、キャンペーン終了後には商品を回収し、シールを剥がす手間とコストも発生します。

マストバイキャンペーンを成功させるポイント

マストバイキャンペーンを成功させるためには、次の2つのポイントを検討しなくてはいけません。

  • ユーザーに合わせた応募方法
  • キャンペーンのプロモーション

簡単にいうと「参加のしやすさ」と「キャンペーンの認知度向上」が成否を分けるポイントです。ターゲットと想定するユーザー層に適した方法を用意しなければ、参加率は伸びません。事前のユーザーリサーチが重要になるでしょう。

ユーザーに合わせた応募方法

マストバイキャンペーンの応募方法を検討する際に重要なことは、ユーザーにとって「簡単」な方法を採用することです。ユーザーがストレスを感じる応募方法では、参加率は高まりません。

たとえば、商品のメインターゲットが60~70代の場合、WebサイトやSNSを介した応募にハードルの高さを感じる人もいます。ハガキでも応募できるよう、参加の間口を広げることが最適解となるでしょう。

このように、ユーザーの年代や属性を考慮し、参加率が高まるような応募方法を選択します。

キャンペーンのプロモーション

そもそもキャンペーンを認知してもらえなければ、マストバイキャンペーンは成り立ちません。次のようなプロモーションが必要になるでしょう。

  • SNSで告知する
  • 商品設置コーナーにポップを設置してもらう
  • ユーザーに拡散してもらう

特に「ユーザーによる拡散」が見込めれば、企業側のプロモーションコストや手間は大きく軽減します。

たとえば、応募してその場で抽選結果がわかる、インスタント型のキャンペーンを実施する場合は、シェアしたくなるような当選画像を作成・表示すれば、SNSでの拡散も活発化します。また、「SNSでの拡散で当選確率が高まる」などのインセンティブを用意することも有効です。

まとめ

マストバイキャンペーンは上手く活用できれば、販売促進効果はもちろんのこと、ブランディングにも効果を発揮します。ブランド力の向上や認知の拡大は、消費者の信頼感や安心感の醸成につながり、再度の売上アップにも還元されるため、マストバイキャンペーンはぜひ取り組みたい施策です。

キャンペーンを成功させるためには、ユーザーファーストな設計が欠かせません。まずはユーザーのリサーチを徹底し、景品の選定や応募方法など、具体的な実施内容を検討しましょう。

別窓 このアイコンのリンクは、新しいブラウザウィンドウ、または新しいタブを開きます。