AMR棚卸システム(RFIDリーダー UF-3000)導入事例
高精度の無人棚卸で
生産管理現場の省人化、効率化を実現
株式会社松永製作所
1974年創業の株式会社松永製作所は、車椅子の製造から始まりました。現在は、「人々が自分らしく生きることのできる社会の実現に、私たちのものづくりを通して貢献します」を理念として、車椅子をはじめとした福祉用品、ストレッチャーなどの医療関連機器の製造・販売を行っています。岐阜県養老町に本社・工場を構え、製品設計から試作、生産、販売、アフターフォローまですべてを自社で行う一貫体制を整える一方、近年ではパラリンピックで使用する競技用車椅子の開発・製造も手掛けることで、さらなる社会貢献へ寄与するとともに、社員の技術力向上、モチベーションアップにもつながる展開を図っています。
※2025年7月時点
AMR棚卸システム(RFIDリーダー UF-3000)
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導入時期
2025年1月
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導入目的
精度の高い在庫管理・棚卸を実現したい
在庫管理・棚卸にかかるスタッフの業務負荷を軽減したい
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課題
人の手による入出荷と在庫データとの差異がゼロにならない
部品の欠品や余剰が発生する
倉庫の高い場所に保管された製品のバーコード読み取りが困難
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効果
100%に近い制度の在庫管理が実現
明確な数量・納期の回答が可能に
夜間の棚卸で、省力化・効率化
棚卸業務に従事していた人員の有効活用
ご希望どおりの製品・日程で利用者様に車椅子をお届けするために…
精度の高い在庫管理・棚卸システムを導入
開発から製造、納品後のアフタフォローまで、自社製品の全てに対して一貫体制を整えている松永製作所。そのこだわりは、ご利用者様に心ゆくまで満足できる製品をお届けしたい、そんな想いから始まりました。それは「製品を作ることに対して」だけではありません。「部品や製品の在庫管理システムも自社で開発しています。自分たちが思い描いた管理を実現するためには、トライ&エラーで『育てていく』ことが一番だと考えたからです。そして何よりも大切にしているのはスピード化です。現場から『ここはちょっと使いにくい』という声があればすぐに修正し、お客様から在庫の問い合わせがあればすぐに回答できる、すぐにアクションできる、そんなシステムを実現するために社内のスタッフで開発・メンテナンスを行っています。」そう話すのは、総務部 総務課 システム管理係 青木俊樹 技師です。
従来の在庫管理は、製品にバーコードを貼付、スキャナーで読み込み数量を合わせるといった流れで行っていました。人の手による入出荷作業は、在庫データとの差異が発生するため、棚卸の頻度・品質を上げる必要がありました。また、もうひとつネックとなったのが製品を保管する倉庫の高さです。倉庫は約5メートルの高さがあり、製品は高さの限界まで積上げます。そのため、製品が入った段ボールをラックから下ろしてバーコードを読み取るといった、体力も時間も要する大変な作業でした。さらに、複数の作業者が使用する部品管理の現場では、必要な部品の欠品に気づかない、在庫に気づかず発注し余剰の在庫を抱えるといった課題があり、頻繁に行う棚卸に負荷がかかっていました。これらの作業をなんとか省力化・スピード化できないかといろいろ調査を進めた結果、RFIDの存在を知りました。これなら、ラックに積んだままで数の把握が可能となり在庫のミスマッチが防げるのではないか、それが新たなシステムを導入検討するきっかけとなりました。
車椅子の座り心地は抜群
所狭しと並びます
最初に検討を始めたのが、RFタグを読み取るリーダーです。リーダーメーカー4社からデモ機を借り、現場で読み取りの検証を行いました。車椅子は金属製のため、リーダーとタグの距離が長くなるほど読み取りが困難という特性がありますが、4社のデモ機のうち一番遠くまで読み取ることができたのが東芝テック製のUF-3000でした。「リーダーがUF-3000に決まり、当初は人が持ち動いて読み取り作業を行っていました。作業をしていくうちに、『リーダーを動くものの上に載せればさらなる省力化が図れるのではないか?』と考えました。そこでリーダーを台車に乗せて動かし読み取りテストを行ったところ、うまい具合に読み取ることができたのです。『これならイケる!』と、このとき確信しました。」(青木技師)
UF-3000と、展示会で探し当てた自律移動ロボット「KeiganAMR」を組み合わせることにより、AMR棚卸システムのハードウェアが完成しました。課題となっていた倉庫の高さは、ホームセンターなどで売られている伸長式のポールをAMRに搭載し、先端にUF-3000を取り付けることでクリアしました。固定概念にとらわれない斬新な発想、社内での忌憚(きたん)のないコミュニケーションが、唯一無二、松永製作所にしかない逸品を作り上げたと言えます。
製造部の加藤氏
総務部 青木技師
無人で、しかも夜間に
限りなく100%に近い精度の棚卸が可能に
AMRは、あらかじめ設定されたコースをスムーズに走ることができました。調整が最も大変だったのは、RFタグの読み取り精度です。「UF-3000自体は受信感度がとても良く、リーダーとしての性能はとても素晴らしい物です。」そう話すのは製造部 管理課 調達管理係 加藤武氏です。「AMRは設定どおりに走るし、リーダーの性能は良いのですが、製品や部品の性質上、電波が届きにくいという課題がありました。ですから、金属が多い場所ではAMRを回転させたり速度を落として受信しやすくしたり、極力いろいろな角度から読み取るといったプログラムを組みました。人の手で試し、次はシステムで試し…何度も何度も繰り返しました。文字どおりのトライ&エラーです。」(加藤さん)
改善に改善を重ね、2025年1月に本稼働が始まりました。最初の棚卸では、7400台保管している製品在庫で読み取ることができなかったのはわずかに12台。限りなく100%に近い結果を得ることができました。現在、棚卸は従業員がいない夜間に行っているという同社。「製品の在庫に関しては、棚卸を行った翌日には『その数字の在庫が必ずある!』と自信を持てるようになりました。お客様からの注文に対しても、納期と数量を確実にお伝えできるということが、とても大きな効果です。また夏場の倉庫はとても室温が上がります。人が作業するにはとても過酷な環境です。夜間に、しかも無人で在庫管理ができますので、その費用対効果は計り知れません。」(青木技師)
高い場所もくまなく読み取り
今後の展望と
東芝テックへ期待すること
AMR棚卸システムの導入は、生産効率の向上を指示したところ、スタッフ自らがアイデアを出し合い考え、東芝テックの協力を得ながら結果を出してくれたものです、と満面の笑みで話す松永社長。今後の展開と東芝テックへの期待を伺いました。
「生産効率の向上は、製造業の永遠の課題です。RFIDを活用した在庫管理の成功を第一歩とし、今後はその情報を生産計画や販売計画につなげ、より効率的な生産活動に役立てられればと考えています。今回、東芝テックさんにはわれわれのわがままをたくさん聞いていただきました。何度も足を運んでくださり、また度重なる試験にもお付き合いいただき感謝しかありません。わがままついでのお願いですが、今後も製造業の『困った』をワンストップで解決いただける強い味方であり続けていただけることを、大いに期待しています。」(松永社長)
導入事例インタビュー動画
製造現場の在庫管理における課題と、 AMR棚卸システム導入による効果を
株式会社松永製作所代表取締役社長 松永紀之様、総務部 総務課 システム管理係 技師 青木俊樹様、製造部 管理課 調達管理係 加藤武様にお話を伺いました。
※当記事は2025年7月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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