導入事例
自社アプリとの連携で、店舗とお客様の負担なく
“環境負荷の低減”を実現
ミニストップ株式会社
デジタル推進本部 店舗DX推進部 部長
齊藤 貴久様
※情報は取材時のものです
国内外に約2,000店舗を展開するコンビニエンスストア「ミニストップ」では、公式アプリ「ミニストップアプリ」とスマートレシートを連携し、約1年半で10万人以上の連携ユーザーを獲得。その結果、枚数にして約312万枚、CO2換算では2.4t分の紙レシートを削減しています。クーポン配布などの「アプリ連携促進キャンペーン」にも積極的に取り組んでくださるミニストップ様に、スマートレシート導入の経緯と成果、今後の期待について伺いました。
ミニストップ株式会社
ミニストップ株式会社
小売業として国内最大級を誇るイオングループのスーパーマーケット事業を担い、コンビニエンスストア「ミニストップ」を展開。店舗経営希望者とフランチャイズ契約を締結し、商品情報や経営ノウハウを提供する。
- 店舗数:
- 2,004店舗(国内1,853店、海外151店)※2023年6月末
- 本社所在地:
- 千葉県千葉市美浜区中瀬1-5-1
- 設立:
- 1980年(昭和55年)5月21日
- 資本金:
- 74億9,153万3,000円
リサイクル困難な「紙レシート」の廃棄を減らしたい
スマートレシート導入の経緯
ミニストップでは東芝テック製のPOSレジを導入しており、コンビニとファストフードを兼ねる特殊な業態形態から、東芝テックとはPOSシステムの最適化について長い協働の歴史があります。
「スマートレシート」についても、東芝テックのシステムや対応力に高い信頼を置いていますし、環境負荷の低減が求められる今、紙の消費量・廃棄量を減らせるサステナビリティの観点から導入には前向きでした。
コンビニエンスストアでは、レシートを受け取らないお客様も多く、レジ前のレシート廃棄ボックスはすぐにいっぱいになります。また、感熱紙はリサイクルに適さないともいわれており、レシートは小売業の環境に対する一つの課題です。しかし、レシートは購買証明書であり発行しないわけにはいきませんから、まさに「レシートの電子化」は最適解であるといえます。
加盟店様のオペレーションやお客様に負担や支障がないのなら、むしろミニストップが率先して参加することでプレゼンスを発揮し、小売業の「レシートの電子化」を盛り上げていけるのではないかと考えたのです。
自社アプリと連携でき、店舗とお客様の“手間がない”
スマートレシート導入の決め手
ちょうど導入検討中の時期に、2021年9月から「ミニストップアプリ」をローンチすることが決まり、スマートレシートも導入店舗のアプリと連携できる仕様であることから、アプリの拡張機能として同年12月より導入することに決定しました。
決め手は「手間のなさ」です。お客様はミニストップアプリをダウンロードし、スマートレシートとの連携をタップして会員登録するだけ。あとはお会計の際に、アプリのバーコードをスキャンするだけで電子レシートがアプリに届きます※。お客様はミニストップのポイント獲得やクーポン利用のためにバーコードを提示しますから、電子レシート発行のための手間はありません。そのため、店舗のオペレーションも基本的には変わりません。「紙のレシートも欲しい」というお客様がいたら、POSレジのレシート発行のボタンをタップするだけで紙レシートが発行され、アプリの電子レシートには「領収証発行済」のスタンプが自動で押されます。店舗、お客様、誰にも手間がかからずレシートロールの経費削減と環境負荷を低減できるのですから、導入にあたって社内でも「スマートレシートはプラスの評価しかなく、反対する理由が特にない」のが正直なところでした。
※スマートレシートアプリからも電子レシートの内容は閲覧可能
スムーズなAPI連携で作業コストを抑制できた
アプリ連携の実装までの経緯
スマートレシートを導入することで、ミニストップとしてはお客様の購買データ等を保持しつつも、追加で電子レシート用のデータまで保持する必要がないので、セキュリティリスクや管理コストを避けられる点は大きなメリットでしたね。
また、スマートレシートとミニストップアプリのシステムを紐づけるAPI連携は非常にスムーズで驚きました。通常、他社システムとのAPI連携では、ミニストップアプリ側でもカスタマイズを要するのですが、スマートレシートでは用意されたAPIだけでスムーズに連携が済み、作業コストもスケジュールも短縮できたのは非常にありがたかったです。
継続的なキャンペーンで10万人以上が連携、
ミニストップアプリの新規会員獲得にも大きく貢献
スマートレシート導入の効果①
スマートレシートを導入しても、使う人が増えなければレシートの電子化は普及しません。ミニストップでは2021年12月よりスマートレシートとミニストップアプリとの連携を開始して以来、現在(2023年6月)まで1年半で計5回の連携促進キャンペーンを継続的に実施し、10万人以上の新規連携会員を獲得しています。
特に初回のおよそ3ヶ月間(2021年12月20日~2022年3月31日まで)では、ミニストップアプリからスマートレシートへの連携を条件にコーヒーの無料クーポンをプレゼントし、想定を大きく上回る新規連携会員を獲得することができました。この成果はキャンペーンに加え、環境負荷の低減につながる取り組みとして、多くのメディアで取り上げていただいた効果が大きいと考えられます。
スマートレシートの位置付けは、あくまで「ミニストップアプリの利便性向上」としていますが、ミニストップアプリ自体の新規会員獲得にも大きく貢献しています。
店舗での積極的な声掛けも奏功。1年半で約312万枚の紙レシート削減
スマートレシート導入の効果②
スマートレシートの稼働から現在まで、店舗での混乱は一切発生せず、スムーズな運用が実現できています。稼動して1年半が経過していますが、スマートレシートの利用者数が顕著に増えている店舗も徐々に多くなってきています。その要因について確認したところ、スマートレシートの利用促進に積極的に取り組む店舗の姿がありました。
もちろん本部発信で、店舗や従業員向けに運用マニュアルを独自に制作し、各店舗へ事前の周知や配布、サポートを行ったり、サービス認知と利用拡大のためのお客様に向けたポスターやPOPなど告知物等の店舗での設置も継続して行ったりしていますが、それに加えて各店舗による能動的な取り組みも利用者数の向上において非常に重要なポイントです。
店舗にとってのスマートレシートの価値は、もちろん環境配慮に共感してくださる方もいると思いますが、レシートロールの経費削減とスタッフの工数削減が大きいと思います。店舗では、レシートに広告が入ることも「紙がもったいない!」というご意見をいただくこともありますが、節約意識が高い店舗にとってスマートレシートはメリットが大きいと考えます。
現在、スマートレシートの利用が比較的多い店舗では月間約4000件以上のレシートを電子化しており、1枚あたり0.15mとして計600m、月に約10本のレシートロールを削減できます。加盟店との10年契約の期間では数十万円の経費削減となり、スマートレシートの利用が増えれば、さらに大きな節約効果を生みます。それを店舗は手間をかけずに実現でき、むしろレシートをお渡しする工程や不要なレシートを片付ける手間を省力化できるので、加盟店は積極的にお客様にお声がけをし、アプリ連携を呼びかけていただいています。
ミニストップとしては、加盟店にメリットを提供しながら、環境負荷を低減できることがスマートレシートの大きな価値だと感じています。ミニストップ全店では、現在までの1年半で312万枚、距離にして46万7,486m、7,420ロールを削減。CO2換算では2.4tの削減につながっています。まだまだ大きくはない数値ですが、少しずつ積み上げていくことでよりインパクトのある成果につなげていきたいと思っています。
「電子レシート」が当たり前になる社会の実現へ
今後の取り組みについて
レシートの電子化は、お客様にとってお買物の内容を管理しやすくなり、レシートが不要な方には余計なゴミがなくなる「利便性の提供」だといえます。こうした取り組みは、その多くが廃棄され、リサイクルも困難というレシートの実情を知る一個人としては「環境課題を次世代に残さないための大人の責任」であり、ミニストップという企業としては「小売業の社会的責任」の一つと捉えています。
また、SNSなどを見ていますと、お客様は環境・社会に対する企業の姿勢を見て利用する店舗を「選別」していることがわかりますから、企業がお客様に支持され続けるためにも、必要な取り組みだと思います。
こうした想いから、ミニストップは今後もミニストップアプリとともに、スマートレシート連携を広げてまいりますが、それ以上に「レシートの電子化」が社会全体を巻き込んだ、より大きなムーブメントになってほしいと願っています。企業間連携にも、お役に立てることがあれば、ぜひご協力したいですね。
いずれ、電子レシートが当たり前の存在になり、POSレジの仕様もレシートレスが前提となる。そんな未来に向けて、東芝テックと協働していきたいと考えています。