ペーパーレス化のメリットと落とし穴──
コスト削減の裏で見落としがちなリスクとは?
2026年1月23日
コラム
■業種・業態:製造業/物流業・倉庫業
■キーワード:ペーパーレス化/デジタル化/RFID
はじめに:急速に進むペーパーレス化
ペーパーレス化が進む背景と企業に求められる対応
改正電子帳簿保存法やインボイス制度、リモートワークの普及を背景に、ペーパーレス化は急速に進んでいます。これまで帳票類が多く残っていた製造業でも、トレーサビリティーや業務効率化の観点から、電子化の動きは日に日に強まっています。しかし、必ずしも紙ゼロが最適とは限りません。本記事では効果的にペーパーレス化を行うためのメリットや注意すべきポイントを整理し、自社に合った進め方のヒントをお伝えします。
ペーパーレス化の主なメリット
業務効率の向上とスピードアップ
最初のメリットは、業務効率の向上です。紙の書類は物理的に一か所にしか存在できません。そのため承認目的で書類を回す場合でも送付に時間を要する上に、回覧中に滞留したり、所在を見失ったりということも起こりかねません。しかし、電子化すれば複数人が時を置かずにアクセスでき、承認フローもシステム上で管理、完結するため、承認手続きの時間を大幅に短縮させることが可能です。また、過去の書類もファイル名や日付で検索可能となるため、書類を探す時間や手間を大幅に短縮できます。
印刷・保管コストの削減
また、直接的なコスト削減にもつながります。用紙代、インク・トナー代、複合機のリース料、さらに書類保管のためのキャビネットや保管スペースの賃料など、紙にかかるコストは積み重なると相当な額になります。特に複数拠点を持つ企業では、コスト削減メリットは大きいでしょう。
情報管理精度の向上と紛失リスク低減
紙の書類には紛失や劣化のリスクがつきものです。電子データであれば、バックアップにより紛失リスクを大幅に低減でき、アクセス権限の設定や閲覧・編集履歴の記録をすることも可能となり、情報管理の精度が向上します。
環境負荷の軽減と企業イメージ向上
そして紙の使用量削減は、森林資源の保護やCO₂排出量の抑制など環境負荷の軽減に貢献します。SDGsやESG経営への関心が高まる中、ペーパーレス化の取り組みは取引先や採用候補者へのアピールにもなります。
ペーパーレス化の注意すべきポイント
現場無視のペーパーレス化が混乱を招く
紙には紙の良さがあります。複数の書類を机に広げて見比べる、付箋を貼ってメモを書き込む、すぐに手に取って確認する。こうした使いやすさは電子データでは代替しにくい部分です。特に製造現場では「タブレットより紙の方が扱いやすい」という声も根強くあります。
現場の反発を招かずスムーズにペーパーレス化を進めるために、注意した方が良い点がいくつかあります。
その① 現場目線での仕事のしやすさを無視しない
長年紙で運用してきた業務フローを変えるには、現場の理解と協力が欠かせません。電子化したはずなのに「結局印刷してチェックしている」という状況も珍しくなく、中途半端なペーパーレス化は紙と電子の二重管理を招き、かえって業務を複雑にします。
その② 紙原本が必要な書類を見極める
法制上、紙での作成が義務づけられている書類は、公正証書が必要な契約(事業用定期借地契約など)や農地の賃貸借契約書など限定的です。ただし、紙で締結した契約書は訴訟時に原本提示を求められる可能性があるほか、取引慣行によって取引先が求めたり、証跡として監査機関が紙の書面の保存を求めたりするケースもあります。ペーパーレス化の対象となる業務プロセスの中で、どの書類が実際に必要なのかを選別しておくことが、後々の混乱を防ぐことにつながります。
その③ システム導入コストと運用ルール整備
文書管理システムやタブレットなどの導入にあたっては、初期導入費用に加え、保守費用も継続的に発生します。また、運用ルールが不十分なまま電子化を進めると、「どれが最新版か分からない」「紙と電子の二重管理でかえって手間が増えた」といった逆効果を招きます。
ムリなくペーパーレス化を進めるために、あえて紙を残す
残すべき紙・デジタル化すべき情報の整理軸
重要なのは「すべての紙をなくすことがゴールではない」という視点です。
注意点で触れた「中途半端なペーパーレス化」と、これから述べる「ハイブリッド運用」は異なります。前者はルールが曖昧なまま紙と電子が混在し、二重管理を招く状態です。後者は「どこを紙で残し、どこを電子化するか」を適切に整理した上での運用です。
整理の軸としては、以下の観点が参考になります。
- 法的要件:法令で紙保存が義務づけられているか
- 業務特性:現場で紙の方が使いやすい場面はあるか
- 頻度と重要度:頻繁に参照するか、長期保存が必要か
- 外部とのやり取り:取引先や監査機関が紙の書面を求めるか
重要書類は紙で残しつつデータ化する
「紙を残す」と「デジタル化する」は二者択一ではありません。現場作業など紙の帳票が便利なシーンでは紙のまま運用し、その後スキャンしてデータ化してシステムに取り込む運用も有効です。現場での見やすさや回付しやすさはそのままに、その後の参照や検索は電子データで行う。これにより、紙の原本の安全な保管とデジタルの利便性を両立できます。
紙とデジタルを両立するハイブリッド運用のメリット
現場の作業負担を軽減し、ミスを防ぐ
無理なデジタル化は、現場の負担を増やしミスを誘発します。
たとえば、手書きの方が早い検査チェックシートを無理にタブレット入力にすると、入力に時間がかかりミスも増えるといったことが起こりかねません。それならば紙のチェックシートは残しつつ、集計や保管だけをデジタル化する方が合理的です。
現場が「やりやすい」と感じる方法を尊重しながら、バックオフィス側の管理効率を上げる、このバランスがハイブリッド運用の本質です。
検索性・共有性を高めながら紙の使いやすさも活かす
現場での紙の運用をハイブリッド化し、紙とデジタルそれぞれの強みを活かせたらどうでしょうか?
現場では紙の帳票を使いながら、その情報は都度システムにも登録されている。紙の一覧性や書き込みやすさを活かしつつ、検索や共有はデジタルで効率化する。この「いいとこ取り」ができれば、現場の抵抗感も抑えられます。
「紙の帳票にIDを振って、どの帳票がどこに保管されているかをデジタルで管理する」というシンプルな方法でも、探す手間は大幅に減ります。
紙の強みを残しながらデジタル連携で業務を効率化
──A3カラープリンターRFIDソリューション
デジタル化した紙の帳票で利便性と効率化の「いいとこどり」を
ここまで述べてきたハイブリッド運用を実現する手段のひとつが、東芝テックのA3カラープリンターRFIDソリューションです。
このソリューションは、あらかじめRFタグが貼付された用紙に対し、印刷とRFタグへのデータ書き込みを同時に行い、紙とデジタルのハイブリッド運用を実現します。現場で帳票に手書きするタイミングでRFIDを読み込めば、作業履歴等を自動で記録することが可能となります。まさに、紙とデジタルのいいとこ取りです。
既存の帳票運用を変えずにRFID管理を実現
RFIDなら、バーコードのように一枚一枚スキャンする必要はありません。離れた場所や箱の中にあっても複数の用紙を一括で読み取れるため、棚卸・入出庫・工程確認の業務を大幅に省力化できます。
また、既存の帳票をそのまま活かせるため、現場の業務フローを大きく変えずに導入が可能です。紙の帳票を使い続けながら、RFIDによるデジタル化のメリットを享受できるようになります。
「紙とデジタルをつなぐ」という発想
このソリューションの特長は、現場が使い慣れた紙の帳票をそのまま活用しながら導入できる点です。
既存の業務フローを大きく変えることなく、RFIDによる自動データ化で製造や物流現場、バックオフィスの管理効率を向上させる、「紙をなくす」のではなく「紙とデジタルをつなぐ」という発想で、現場の負担を増やさずにペーパーレス化のメリットを享受できます。
保管時の帳票の検索にも有効
たとえデジタルデータとして保存されていたとしても、後日紙の原本を参照する必要性が生じることがあるかもしれません。RFID付きの帳票であれば、保存時の探索にも有効です。検索性や共有性といったデジタルのメリットを得ながら、紙の一覧性や使いやすさも維持する。法的に紙保存が必要な書類は原本を残しつつ、データでも管理できる。ペーパーレス化の「落とし穴」を避けながら、メリットを最大化する仕組みです。
まとめ:自社に合った「ちょうどいいペーパーレス化」を目指す
メリット・デメリットを整理し、自社の最適バランスを見極める
ペーパーレス化には多くのメリットがある一方、デメリットや注意点も存在します。重要なのは、「紙ゼロ」を目指すことではなく、自社の業務特性や法的要件を踏まえて最適なバランスを見極めることです。
残すべき紙を明確にし、それ以外は積極的にデジタル化する。このメリハリをつけることで、ムリなくペーパーレス化を進められます。
紙とデジタルのハイブリッド運用から一歩ずつ始める
いきなりすべてを電子化しようとせず、まずはハイブリッド運用から始めてみてください。紙の良さを活かしながら、デジタルの利便性を取り入れる。小さな成功体験を積み重ねながら、段階的に範囲を広げていくのが定着への近道です。
自社に合った「ちょうどいいペーパーレス化」を実現するために、本記事が参考になれば幸いです。
詳しくはA3カラープリンターRFIDソリューション紹介ページへ
紙とデジタルのハイブリッドソリューションの詳細は、製品紹介ページをご覧ください。
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※当記事は2026年1月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

