集客方法の種類と特徴をオフライン・オンライン別に紹介
効果的な集客方法の選び方とは
情報収集ツールや販売チャネルの拡大に伴い、店舗や企業の集客方法もオフライン・オンラインを問わず多様化しています。できるだけ効率よく、かつ効果的な集客方法を取り入れたいと考えるのは当然の戦略となるでしょう。
しかし、どのような集客方法を採用すればいいのか、決めかねている企業や悩みを抱える小売店は少なくありません。オフライン・オンラインそれぞれの主な集客方法の特徴や、自社にマッチした方法を選ぶためのポイントを紹介していきます。
オフラインでの集客方法の種類と特徴
オフライン集客は、インターネットを使わない集客方法です。一定のコストが発生することや、ターゲティングや効果測定の難しさが課題とされてきましたが、いまではIT技術の導入や、それに伴うデータ活用の高精度化により、効率的な運用手法も増えてきています。
また、オンライン集客ではアプローチが図りにくいシニア層を集客しやすいといったメリットも見逃せません。エリアを限定した集客にも向いている方法です。
オフラインでの代表的な集客方法に挙げられる、以下のアプローチについて紹介します。
- チラシ・ポスティング
- 展示会
- 無料セミナー
- 電話営業
チラシ・ポスティング
チラシによる集客アプローチの代表格は、新聞折込とポスティング配布です。
メリットとデメリット
新聞折込もポスティングも、対象地域を限定してチラシを配布できることがメリットです。特にポスティングはより狭い範囲へのセグメントが可能で、新聞をとっていない世帯にもアプローチできます。
ただし、新聞折込もポスティングも、コストが比較的高額であることがデメリットに数えられます。目を惹くようなキャッチコピーやデザインをチラシに掲載し、集客効果をいかに高められるかが成否のカギを握るでしょう。
施策のポイント
チラシの失敗例で多く見られるパターンは、ターゲットにマッチした配布方法がなされず、集客に結びつけられないケースです。幅広いエリアで中高年層や主婦層を中心にアプローチを図りたい場合には新聞折込、細かくエリアを絞り込みたい場合にはポスティングといったように、ターゲットと配布チャネルのマッチングを意識しましょう。
展示会
展示会は、設定されたテーマに沿った複数の企業が出展し、それぞれのブースで自社商品を紹介するイベントです。商品の認知を拡大し、見込み顧客を獲得したい場合に効果的な手法となります。
メリットとデメリット
展示会は、見込み顧客と直接会って、商品やサービスの魅力を訴求できる点が最大のメリットです。大規模なイベントとなれば数千人、あるいは数万人が訪れるため、広く認知拡大を図る機会にもなるでしょう。
ただし展示会への出展は、出展料やブースの設営費用、配布物やノベルティの製作費用など、多額のコストが発生しがちです。出展準備に割かれる人的・時間的コストも見逃せません。
施策のポイント
展示会による集客では、事前告知をどこまで徹底できるかがポイントになります。事前に見込み顧客へ案内を送るほか、自社サイトやSNSで告知を行いましょう。
展示会の失敗例で多く見られるパターンは、ブースのデザインです。社名を目立たせるよりも、何を取り扱っているのかが一目でわかるようなデザインにすることがポイントになります。
無料セミナー
無料でセミナーを開催して自社の商品やサービスを訴求する方法で、こちらも見込み顧客の獲得に適しています。
メリットとデメリット
無料セミナーは、自社の商品やサービスに関連する領域に興味がある潜在顧客や見込み顧客に、直接コミュニケーションをとれることがメリットです。ただし、キャンセルが出やすく、会場費用も発生します。
施策のポイント
無料セミナーを通じて売上につなげていくには、参加者が満足するような内容を準備し、自社への信頼感を確実に高めなくてはいけません。また、失敗例として多いのは、セミナーの内容と自社の商品やサービスのターゲットが合致していないケースです。集客数よりも来場者の質が重要になるでしょう。
電話営業(テレアポ)
架電を介して商品やサービスの紹介を行い、商談のアポイントメントなどを取る方法で、新規顧客の開拓に向いています。
メリットとデメリット
直接電話でアプローチできることから、ヒアリングをもとにニーズを踏まえて訴求しやすいことが大きなメリットになります。一方、電話をかける担当者に精神的な負荷がかかる特性が懸念されます。
施策のポイント
電話営業は、「電話を切られずにいかに話を聞いてもらうか」が勝負です。落ち着いたトーンで要点を簡潔に話していかなければいけません。
失敗例として多いのは、そもそも電話をかけるリストの質が低いというケースです。これまでの資料請求履歴やセミナー参加者、展示会来場者などのデータから、精度の高いリストを作成しましょう。
オンラインでの集客方法の種類
オンラインによる集客は、インターネットを活用したアプローチです。多くのユーザーに幅広くアプローチを図れる手法でありながら、対象の絞り込みも容易です。また、施策効果を定量的に検証できることも特徴になります。
オンラインでの代表的な集客方法に挙げられる、以下のアプローチについて紹介します。
- メール
- オウンドメディア・ブログ
- リスティング広告
- LINE
- YouTube
- 自社アプリ
メール
メールによる集客で一般的なのは、メールマガジンを配信して自社の商品やサービスの魅力を訴求していく方法です。見込み顧客を優良顧客に育てやすく、リピート顧客の獲得にも向いています。
メリットとデメリット
メールマガジンは継続的な利用につながりやすいことがメリットです。ただし、質の高いメールマガジンを送付するためのコンテンツ作成力や文章力は不可欠となります。
施策のポイント
定期的な配信を担保するための企画力も欠かせません。開封してもらうために件名を工夫することもポイントになります。
失敗例として多いのは、迷惑メールフォルダに振り分けられてしまうケースです。送信ドメイン認証の設定ができる、独自ドメインを取得すべきでしょう。
オウンドメディア・ブログ
自社のメディアやブログを開設して、顧客とのタッチポイントを設ける方法です。商品やサービスをアピールするためのコンテンツのほか、ブランディングを図るためのイメージ戦略、関連する分野の情報発信などが行われています。
オウンドメディアやブログは、自社のファンを作り潜在顧客を見込み顧客へ、そして優良顧客へと醸成することが主な目的です。
メリットとデメリット
ブランディングや顧客ロイヤリティの向上が、自社メディアの大きなメリットです。コンテンツ制作や発信を社内で補えれば、運用コストも抑えられます。一方で、売上への効果が顕在化するまでに時間がかかりやすいことがデメリットです。
施策のポイント
見込み顧客の獲得や、認知度・ブランドイメージの向上、オンラインストアからの購入数の増加など、運用の目的を明確に設定することが最大のポイントです。「なんとなくオウンドメディアを作りたい」と始めたケースでは、目的が曖昧で成果もなかなか表れないことから、運用を短期間でやめてしまう失敗事例も目立ちます。
リスティング広告
リスティング広告はGoogleやYahoo!などで検索したキーワードに連動して、検索結果の上部や下部に表示される広告のことです。入札によってキーワードごとに広告の出稿価格が決まる仕様で、主にクリック課金制が採用されています。
リスティング広告は、商品やサービスに関連するキーワードを検索する層、つまり商品と近しいニーズをすでに有する層にアプローチできるため、新規顧客の獲得に向いています。
メリットとデメリット
広告アカウントを設定すればすぐに運用を開始でき、ニーズの高まっているタイミングに合わせて見込み顧客にアプローチできることがメリットです。比較的、低価格から始められることも特徴になります。
一方、競合他社との競争は激しくなりがちで、検索行動を取らない層や、広告に慣れている見込み顧客にはアプローチしにくいことがデメリットです。
施策のポイント
リスティング広告で集客を図るには、商品やサービスとの親和性が高く、競合他社が出稿していないキーワードを見つけることや、ユーザーの興味を惹くような広告文を作成することがポイントになります。
失敗事例で多いのは、競合他社が少ない低価格のキーワードで出稿を行ったものの、検索ボリュームの少なさから露出量やクリック数が足りなくなるといったケースです。入札するキーワード選定も重要なポイントになるでしょう。
LINE
企業が利用できるビジネスアカウントである「LINE公式アカウント」を活用する方法です。友だち登録をした人に向けて一斉メッセージ送信ができるほか、スタンプカードやクーポンなどの機能も利用できます。メールマガジンのようにメッセージを送信するほか、クーポンを一緒に送ることもできるため、リピート顧客を育てていきたい場合に向いています。
メリットとデメリット
LINEのメッセージはメルマガよりも開封されやすく、コミュニケーションをとりやすいことがメリットです。ただし、顧客に友だち追加をしてもわらないとメッセージを送れないことや、長文は送りにくいこと、ブロックされる可能性がある点などがデメリットに数えられます。
施策のポイント
メッセージの開封率を上げるために、生活時間帯を考慮して配信時間を設定することがポイントです。失敗事例として多く見られるのは、宣伝に力を入れるあまりメッセージの送信頻度が高くなりすぎ、その結果ブロックされてしまうケースです。メッセージを送る頻度は、1週間に1回程度が目安になります。
Instagramに画像や動画を投稿し、自社の商品やサービスの魅力を伝え、集客につなげていく方法です。社名や店舗名、商品名などのハッシュタグをつけて投稿するなど、発信内容をユーザーに「見つけてもらう」ための工夫が求められます。
メリットとデメリット
女性を中心にした若い年齢層をターゲットにする場合に向いているほか、自社のファンを育成しやすいことがメリットです。ただし、他のSNS媒体と比較すると拡散性は低く、画像にもクオリティが求められます。
施策のポイント
Instagramの運用効率を高めるには、画像や最初の1文だけで商品やサービスの魅力が伝わるように工夫することがポイントになります。画像に訴求力がない、あるいは宣伝色が強くユーザーが求める投稿との間に乖離があるケースなどが、失敗例に挙げられます。
Twitterを活用して、自社の商品やサービスに関連する情報を発信する方法です。
メリットとデメリット
TwitterはSNS媒体のなかでも、リツイートやリプライの機能が充実しており、拡散力の高さが最大のメリットになります。一方で、140文字までの投稿に限られるため、ツリー形式を採用するなど見せ方には工夫が求められます。
施策のポイント
Twitterの運用では、生活時間帯を考慮しながら1日3投稿程度を発信し続けるアクティブ性がポイントになります。失敗事例として多いのは、ホームページにある情報だけを発信したり、ブログの更新情報のみを投稿したりといった、フォロワーに対して面白みのないツイートに終始するケースです。それでは拡散効果は望めません。
YouTube
YouTubeに動画を掲載し、自社の商品やサービスの魅力を伝える方法です。 YouTubeは幅広い世代へのアプローチが可能で、ブランドイメージの向上にも役立ちます。
メリットとデメリット
YouTubeは自社のファンを育てていきやすく、企業への信頼度を高めやすい点がメリットです。一方で、動画の撮影・編集にかかる工数が多いことや、一定のスキルが要求されること、集客効果が顕在化するまでに時間がかかることがデメリットです。
施策のポイント
ターゲット設定が明確な企画を立案することや、サムネイルを工夫すること、チャンネル登録を促進するために定期的に動画を投稿するなどの点がポイントになります。失敗事例には、他社のマネに終始しているケースや、タイトルや概要欄のメッセージの訴求力が欠けているケースなどが多く見られます。
自社アプリ
ここでいう自社アプリとは、消費者への販促や集客を目的としたアプリを作成・展開することです。定期的な情報発信のほか、会員登録訴求やポイントカード、クーポン、プッシュ通知など豊富な機能を付帯できるため、リピート顧客への育成に向いた方法になります。
メリットとデメリット
会員カードやクーポンなど、店舗に関連するサービスを顧客が一括して管理できるようになるため、利便性や購買体験が向上します。ただし、アプリ開発にコストがかかるほか、導入後も継続的に運用コストが発生します。
施策のポイント
自社アプリをダウンロードするユーザー数が少ないと、目に見える効果は期待できません。アプリのダウンロードに特典を設けるなど、積極的なプロモーションを行うことがポイントになります。
失敗例として多く見られるのは、プッシュ通知を頻繁に送りすぎるケースです。週1回程度の通知に控えることや、プッシュ通知のオン・オフを切り替えられる仕様を取り入れるなどの配慮が欠かせません。
自社にとって効果的な集客方法の選び方
オフライン・オンラインともにさまざまな集客方法がありますが、自社に適した方法を選ばなければプロモーション効果は得られません。次の3点に着目し、集客チャネルをセレクトしましょう。
- 自社の強み・弱みを理解する
- 自社のターゲット層を把握・分析する
- 顧客に合わせてアプローチを変える
自社の強み・弱みを理解する
顧客となる層は自社へどのような期待をしているのか? 集客施策においては、こうした顧客ニーズの理解は欠かせません。その前段階として、自社の商品やサービスの強み・弱みをあらかじめ棚卸しましょう。
3C分析やSWOT分析などフレームワークの活用や、競合他社との比較によるポジショニング確認などが、集客方法を選ぶうえでのベースとなります。
自社のターゲット層を把握・分析する
設定したターゲット層によって、適する集客方法は異なります。自社商品やサービスの強み・弱み、競合他社の動向などから、注力していくターゲット層を明確に設定しましょう。ターゲット層の設定にあたっては、STP分析やペルソナ分析といった手法があります。
顧客に合わせてアプローチを変える
顧客は潜在顧客や見込み顧客、新規顧客、既存顧客、リピート顧客や優良顧客などに分類されます。それぞれの顧客に適したアプローチを行うことで、集客施策の効果は最大化されるものです。
たとえば、潜在顧客に向けてはオウンドメディアを介して自社を知ってもらう、既存顧客に対しては自社アプリによるポイント付与機能などを活用してリピート顧客に醸成するといった、集客施策の使い分けが考えられます。
まとめ
集客方法には、オフライン・オンラインを含め多くの種類があります。集客方法それぞれに異なる特徴があり、想定するターゲットや目的などに応じた向き・不向きがありますので、目標達成までの過程をイメージした中長期的な視点に立ち、自社に合った方法を検討していきましょう。