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坪効率とは?
目安となる平均や坪売上を高める方法

坪効率は、店舗の生産性を測るうえで重要となる指標です。坪効率が高まるほど、効率よく売り場を運用できていると評価できる一方、坪効率の低下は上手に店舗を利用できていないことを意味します。

本記事では、店舗経営者が知っておくべき坪効率の基礎的な概要と、坪効率を向上させる施策について考察します。店舗売上の停滞に悩んでいるのであれば、坪効率に目を向けて改善の糸口を探りましょう。

坪効率とは?

坪効率とは、売場1坪(約3.3㎡)あたりの売上高を指します。店舗の生産性を評価する指標のひとつであり、販促やマーケティング施策における現状分析の要素として利用されることが多いです。

坪効率の指標が重視されている理由は、大規模店舗と小型店舗では、純粋な売上の数値に大きなギャップが生まれやすいことにあります。

複数の店舗の生産性を比較する際、売上高だけに着目していては正確な評価は下せません。そこで坪効率を指標とすることで、店舗の能力を適切に図れるようになります。

広い店舗で莫大な売上があっても、坪効率が低ければ生産性には疑問符が付きます。一方、売上高はおよばないものの高い坪効率で小型店舗を運営できていれば、生産性の高い店舗と評価できます。

なお、坪効率は以下の要領の計算式で求められます。

坪効率の計算式 売上高(月間)÷売り場面積(坪数)
計算例 【条件】
● 売り場面積:20坪
● 月の売上高:500万円
【計算例】
500(万円)÷20(坪)=25(万円)

坪効率の平均値

坪効率は、売上や店舗面積だけでなく、取り扱う商品や顧客の回転数など、無数の変数が介在する指標です。そのため、「坪効率の平均値」といった明確な数値は算出できません。

「坪効率の平均値は業種によって異なる」の回答が最適解となってしまうため、店舗の坪効率の優劣を判断する際は平均値に着目するのではなく、前月・前年対比パフォーマンスや経費項目バランスの妥当性など、さまざまな要素を踏まえ俯瞰した視点が求められます。

なお、傾向として坪効率が高くなりやすい業種はあります。たとえば、大規模な面積を求められず顧客単価が高まりやすい寿司店のようなスタイルの業種や、限られた土地の中でビルを建てて営業する百貨店などの業種では、高い坪効率が期待できます。

坪効率を左右する要因

前述したように、坪効率を左右する変数は無数に存在します。代表的な要因を確認してみましょう。

【坪効率を左右する主な要因】

  • 売り場面積
  • 売上
  • 集客力
  • キャンペーンなどの販促活動
  • 品ぞろえ・製品商品単価

店舗を埋め尽くすほどの顧客が毎日押し寄せても、顧客単価が低ければ坪効率は上がりません。つまり、上記要因のそれぞれが坪効率を高めるベクトルへ作用した場合に、坪効率の向上が見込めます。特定の要因がずば抜けていれば坪効率が高まるという訳ではありません。

高い坪効率の例

高水準な坪効率での店舗運営に成功している2つのスーパーマーケットチェーンの事例から、坪効率を左右する要因をイメージしてみましょう。

【A社】東京都を中心に展開するディスカウントスーパーの事例

A社は東京都を中心に展開するディスカウントスーパーです。都心近くに立地するため賃料は相当な水準となりますが、その負担を高い坪効率でカバーしています。

同社の特徴は、什器の「高さ」にあります。背の高い什器を用いて在庫品も売り場に陳列するオペレーションを採用したことで、在庫回転率を改善。また、バックヤードの在庫数を減らす効果もあることから、デッドスペースを大幅に削減して坪効率を高めています。

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【B社】北海道や東北に広がる地域密着型スーパーマーケットチェーンの事例

一方、北海道や東北、北関東に展開するB社では、都心と比較した賃料の安さを背景に、十分な売り場面積を確保し売上を高める戦略を採用しています。

このように、両社はまったく異なる経営戦略を敷いています。地域性や店舗が保有する強みによって、坪効率の捉え方は多様となる実情がうかがえるでしょう。

坪効率を高める方法

坪効率を高めるには、具体的にどのような施策があるのでしょうか。代表的な方法を紹介します。

【坪効率を高める方法】

  • デッドスペースをなくす
  • 座席数を増やす
  • 顧客単価を上げる
  • リピーターを増やす
  • 時間帯に合わせて品ぞろえを変える

やはり「無駄な場所を作らない」「多くの顧客を迎え入れる」「顧客単価を上げる」といった方向性が、坪効率の向上には有効でしょう。

一方、土地の大きさなどの要素は、基本的に改善の見込みはありません。立地に対して効率的な売り場面積を確保・活用する方針に沿い、売上アップを図ります。

デッドスペースをなくす

有効に活用できない空間や場所は、坪効率を低下させる直接的な要因です。

デッドスペースは、そもそもの利用自体が難しいというケースも少なくありません。しかし逆に考えれば、有効活用がなされた場合の坪効率向上効果は大きくなります。うまく利用する方法は本当にないのか、いま一度模索してみましょう。

デッドスペースを活かす方法には、貸しスペースとして事業展開する取り組みや、売上向上に貢献する新たな設備の設置スペースに採用するなど、さまざまなプランが考えられます。自社の状況を客観的に判断して、利用方法を検討してください。

座席数を増やす

座席の増設は、顧客を受け入れるキャパシティの拡大を意味し、売上の増加にも発展します。以下のような具体的な方法を検討してみましょう。

  • 純粋に机・椅子を増やす
  • テラス席を導入する
  • 机のサイズを小さくして座席数を増やす
  • カウンター席を増やす
  • 机を減らして立食するスタイルにする

しかし、上記のような方法を実施すれば、単純に坪効率が高まるというものではありません。座席の占有率が高まった結果、店舗が狭く感じられてしまうなどのネガティブ要因にも目を向けなくてはいけないでしょう。

テラス席を導入しても、需要がなければ施策の効果は期待できません。座席数を増やしたところで、訪れる顧客数が変わらなければ、売上の増加にはつながらないのです。

座席数を増設した先に望める効果から逆算して取り組まないと、意味のない施策になってしまいます。

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顧客単価を上げる

顧客単価が上がれば、坪効率も比例して高まっていくでしょう。

顧客単価を上げるためには、商品の値上げに踏み切る、あるいは顧客の購入量が増えるような販促に取り組むといった手法があります。総じて「高品質の商品・サービスの提供」は必須になるため、商品構成やオペレーションの変更といった施策が求められます。

高品質の商品・サービスの提供がなされれば、以下のような効果が見込めます。

  • リピート率がアップする
  • 値上げに対する妥当性が生まれる
  • 口コミや新規顧客の増加が見込める

坪効率の向上にかかわらず、店舗経営における重要な取り組みとなるでしょう。

リピーターを増やす

リピーターが増えていけば、顧客獲得のための宣伝費などコスト削減効果が生まれます。売上に対する利益率が向上するため、坪効率も高まるでしょう。

上述したように、リピーターを増やすためには高品質の商品・サービスの提供がポイントになってきます。「美味しくない」「品ぞろえに不満」「態度が悪い」といった店舗にリピートすることはありません。顧客のニーズを理解し、リピーターの獲得に努めましょう。

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時間帯に合わせて品ぞろえを変える

業種や立地条件などにもよりますが、時間帯に合わせて品ぞろえを調整することで、売上の向上につながることがあります。

たとえば、昼間の時間帯は主婦層が、17時以降ではサラリーマンや学生がメインの客層となっている場合です。ターゲットと相性のよい商品や販促対象品を、客層の偏りに合わせて陳列しましょう。

なお、時間帯に合わせた品ぞろえの変更は、過去の販売データなどをもとに定量的な根拠をもって判断してください。「主婦だから11~15時」「サラリーマンだから17~20時」といった、なんとなくの決めつけには要注意です。店舗に合わせた工夫が重要であることを念頭に置いて取り組みましょう。

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まとめ

坪効率は、売場1坪あたりの売上高を指す、店舗の生産性を測るうえで重要な指標です。

坪効率を高めていくには、デッドスペースの有効活用や顧客単価の向上など、さまざまな施策が考えられます。立地条件や過去の販売データなど店舗の特性を考慮しながら、効率のよい売り場づくりに取り組みましょう。

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