「第26回自動認識総合展東芝テックブース」
レポート
進捗管理から異物混入防止までRFIDソリューションを紹介
国内唯一の自動認識技術・ソリューションの専門展である『自動認識総合展』がこの9月に東京ピッグサイトで開催されました。東芝テックブースでは、製造、物流、流通、医療の4エリアを中心に、これまで培つてきたRFID技術に基づいて、課題解決に向けた多彩な展示が行われました。ここでは、特に注目すべき製品・ソリューションを紹介していきます。
RFIDタグ付きカラー指示書が製造業DXを支援
今回の展示でまず注目したいのは、業界初のRFIDライター対応A3カラー複合機「e-STUDI04525AC RFID」を基点とした新たなソリューション提案です。昨年秋に発売された同製品はすでに複数の企業に導入され、業務改善を実現しています。その一例が、冷凍倉庫の在庫管理における活用です。マイナス20度以下に保たれた冷凍倉麿内での長時間にわたる棚卸作業は、防寒対策をしても作業者にとって大きな負担となっていました。
「e-STUDI04525AC RFID」によるRFIDタグ付き現品票は、印刷されたカラー写真での視認性の良さとRFIDでの管理により、これまで月2回、6名のスタッフが4時間かけて行っていた棚卸を2名で30分に短縮し、作業者の負担軽減に大きな役割を果たしています。
同様のソリューションは、既存の帳票にRFタグを貼付することでも可能ですが、新たな工程が生じることや貼り間違いのリスクもあるため、普及は進んでいないのが実情です。しかし、「e-STUDI04525AC RFID」は、RFID普及の新たな起爆剤になることが期待されています。
その一環として今回紹介されたのが、「RFIDを活用した進捗管理の効率化と状況の可視化」です。製造業の現場では、優先順位を指示書の色で判別できるように運用しています。同様に、二次元コードを用いた進捗状況の可視化も普及していますが、ニ次元コードの場合、読み取りに手間がかかることが避けられません。例えば工場での出荷前検品では、毎日数百枚の指示書を読み取ることも珍しくないため、RFIDの活用は作業効率化に大きな意味を持ちます。
ブースでは「e-STUDI04525AC RFID」で出力したRFIDタグ付きカラー指示書をリーダーやガラスウォークスルーゲートで読み取り、進捗状況を大型モニターにリアルタイムで反映する一連のソリューションを実演し、大きな注目を集めました。
異物混入だけではないRFID備品管理のニーズ
今年8月、新千歳空港の搭乗待合室内にある店舗で発生した備品のハサミ紛失は、保安検査のやり直しを含む大きなトラブルに発展しました。ハサミは翌日、無事に店舗内で発見されましたが、備品管理の小さな不備が大きな問題につながることを再認識させる出来事でした。
備品管理に関連するトラブルは、これまでも箱の組み立てや商品の詰め合わせなどを担当する流通加工の現場で頻繁に生じています。備品にRFIDをひもづけることで、出荷時の備品混入を防ぐ「RF異物検知」は、まさにこうしたニーズに対応するソリューションです。ハサミやカッターなどの異物混入を出荷検品時に検知するだけでなく、混入した箱の特定まで可能なこのソリューションは、今後さらに幅広い分野での活用が期待されています。
PC+RFIDリーダライタでより小規模なニーズに対応
倉唐や店舗で普及が進むRFIDですが、一方で規模の観点から導入が難しいケースも少なくありません。その一例が製造業の資産管理です。工場の生産ラインの運用では、保全部品と呼ばれるスペアパーツを常に用意することが求められます。保全部品はトラブル発生の際に持ち出され、既存部品と交換されますが、復旧が最優先となることも多く、持ち出しの記録が残されないことも珍しくありません。このため、管理に苦慮する企業も少なくないのです。リーダーにかざすだけで持ち出しを管理できるRFIDを導入すれば、この問題は解決しますが、新たなシステム構築を考えると導入ハードルは決して低くありません。今回展示された「RF簡単棚卸」の最大の特長は、上位システムを必要とせず、PCとRFIDリーダライタさえ用意すれば、即座に運用を開始できる点です。それにより、製造業の保全部品に代表されるようなニッチなニーズにもスムーズに対応することが可能です。
RFIDによる業務の省力化、省人化は物流や小売業界にとどまりません。RFlDの役割は今後さらに広がるでしょう。
富士フイルムメディカル様のRFID活用事例が
自動認識システム大賞「優秀賞」を受賞
東芝テックのRFIDソリューションを基盤とする「画像診断Alを活用した内視鏡資産管理におけるテジタルトランスフォーメーション」(申請会社:富士フイルムメディカル株式会社、共同申請会社:株式会社ネットレックス/東芝テック株式会社)が、第26回自動認識システム大賞「優秀賞」を受賞しました。授賞式は、自動認識総合展の会場で行われました。
「画像診断Alの活用」と「RFIDの活用」二つの先進システムの融合を高く評価
富土フィルムメディカルは、富土フィルムが長年培ってきた独自の画像技術や光学技術、システム設計技術を製品やソリューション、サービスとして提供することで、医療現場の課題解決を支援しています。埼玉県にある内視鏡リペア&イノベーションセンター(大宮BASE)では内視鏡貸出機を集中管理し、顧客の要求に応じた貸出機材の引当や出荷、返却後の点検から修理、保管までと、多岐にわたる業務を行っています。今回、自動認識システム大賞「優秀賞」を受賞したシステムは、「画像診断Alの活用」と「RFIDの活用」という二つの技術を組み合わせたソリューションとして高く評価されたことが受賞につながりました。
画像診断業務の標準化と診断人材の育成効率化を実現
内視鏡の点検作業には、内視鏡が撮影した画像に異常が生じていないか確認する作業があります。しかし、内視鏡が撮影した画像の良否を診断し、数値化できる仕組みは存在せず、良否の判断は作業者に委ねられています。経験の浅い作業者では判断が難しく、ベテランのアドバイスが必須となり、対応できる時間にも限りがありました。そこで、ベテランの知見をモデル化した画像診断Alは、複数種類の異常画像を自動検出し、異常の可能性を数値化して分類します。画像診断Alによる分類が、経験の浅い作業者の作業品質を向上させるとともに、ベテランの指導時間の削減に寄与しています。また、ベテランがAlの結果を再評価することで、Alが再学習し、画像診断の品質を日々向上させています。
内視鏡の所在と工程仕掛の見える化により、固定資産の欠品と問い合わせゼロ化を実現
これまでの内視鏡の貸出機管理では、顧客から要求される営業用デモ機や修理代替機材(固定資産)を十分に準備できず、貸出までに時間を要することがありました。また、いつ修理が完了するのか、いつ機材を出荷できるのか、といった進捗や納期が不明瞭な状況もありました。そこで、内視鏡機体にRFIDタグを装着し、検査台にRFIDリーダーを設置。RFIDリーダーが自動検出したRFIDタグ情報は、作業工程清報と共に管理システムヘ即時に連携されます。作業者の入力負荷を軽減し、いつ、誰が、どこで、何を作業しているかをリアルタイムに見える化したことで、固定資産の欠品ゼロと問い合わせゼロを実現しました。また、管理工程の進捗をリアルタイムで見える化したことにより、工程滞留の解消、検査工数の削減によるリードタイムの短縮を実現しました。その結果、顧客を待たせることがなくなり、顧客満足度の向上に寄与したほか、余剰資産の把握が可能になり、固定資産圧縮に貢献しています。
将来的には、RFIDウォークスルーゲートの導入が計画されており、大宮BASEと全国のグループ会社、さらには海外拠点とのリアルタイムでの情報共有を目指しています。
※当記事は2024年11月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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