RFID導入事例

冷凍倉庫の棚卸という過酷な環境に対応し、
業務効率の改善にRFIDソリューションが貢献

株式会社フランソア

株式会社フランソアのイメージ画像

『スイーツ・スイーツ』のブランド名でチルド洋菓子を製造するフランソア七城工場が直面していた課題は、マイナス20~30度で行われる目視確認による棚卸作業の業務改善でした。過酷な作業はカウント漏れや記載ミスにつながり、生産管理の観点からも棚卸精度の向上が強く求められていました。棚卸に特化したRFIDソリューションは、スムーズな導入と共に劇的な成果につながっています。

RFID対応カラー複合機 + RFIDソリューション

  • 導入時期

    2025年2月

  • 導入目的

    冷凍倉庫内の棚卸の省力化と精度向上

  • 課題

    マイナス20~30度の環境下で月2回行われる棚卸の身体的な負担軽減

    寒さもありミスが目立つ棚卸精度の向上

  • 効果

    商品別にコンテナの山を並べ替え、目視で行ってきた作業の劇的な省力化

    RFIDリーダーでRFタグをカウントすることによる精度の大幅向上

課題として浮上した
冷凍倉庫内の棚卸精度向上

福岡市に隣接する新宮町に本社を置くフランソアは、1951年創業のパン・洋菓子メーカーです。長崎県、福岡県、熊本県に 4つの工場を展開し、九州全域と山口県、広島県で日配品事業を行っています。

70年にわたり製パン事業を行ってきた同社のチルドスイーツを製造する拠点には、従来の製パン事業とは異なる課題がありました。それは冷凍倉庫内の在庫管理の精度向上です。生産管理部 生産管理課主任の𠮷村 太志氏はこう説明します。

「七城工場では毎日1、2品のスイーツを集中的に製造して冷凍倉庫で保管し、注文に応じて出荷しています。在庫ロス削減の観点から、冷凍倉庫では毎月2回、棚卸を行っていますが、マイナス20~30度という環境で行う長時間の作業は在庫のカウント漏れや記載ミスにつながっていました」

株式会社フランソア 生産管理部 生産管理課主任 𠮷村 太志氏のイメージ
▲株式会社フランソア 生産管理部 生産管理課主任 𠮷村 太志氏

冷凍倉庫には毎日午前中から夕方にかけて工場で製造された商品が入庫し、翌日店頭に並ぶ商品は夜間に出荷されます。棚卸は一定数量の商品が並べられたコンテナを積み上げた「山」を一単位として、商品別に山を並べ替え、山の数を目視で確認するという手順で行われています。需要ピークに対応した在庫確保という目的から山数は最大で1,200に及び、棚卸は3名のスタッフで毎回3時間から6時間ほどかかっていました。

RFIDを活用した
棚卸業務を開始

冷凍倉庫という過酷な環境下での長時間作業は、身体能力や集中力の低下につながります。ミスを回避しながら棚卸の精度向上を図るためには、業務の効率化は避けて通ることができません。こうした中、Web会議システムの導入などで以前から取引があった東芝テックから提案されたのがRFIDソリューションでした。

コンテナの山は種類別に並べられていない場合もあり、目視ではミスが生じやすいイメージ
▲コンテナの山は種類別に並べられていない場合もあり、目視ではミスが生じやすい

「RFIDの存在はユニクロさんの店舗で知っていましたが、自社の業務への活用は考えたことがありませんでした。RFIDソリューションを提案され、私たちが思いついたのが、以前からの課題である七城工場の棚卸への活用です。東芝テックさんに相談したところ、マイナス20~30度の冷凍倉庫内でのRFID運用の事例はまだないということでしたので、まずは検証からスタートすることにしました」

同社が検証テストに向けた準備を開始したのは2024年9月のことです。クリスマス商戦に向けた繁忙期に入っていたこともあり、本格的な検証は2025年2月下旬にスタートしています。

繁忙期には冷凍庫内に商品がいっぱいになり、コンテナの山数は1,200を数えるイメージ
▲繁忙期には冷凍庫内に商品がいっぱいになり、コンテナの山数は1,200を数える

これまでRFIDソリューションは、物流の上流から下流までの一気通貫やサプライチェーンの情報共有という観点で語られることが一般的でした。フランソアのRFID活用で注目したいのは、棚卸というニーズに特化した点です。

すでに説明した通り、七城工場の棚卸はコンテナの山をカウントして行います。これを受け、同社が考案したのは、商品名に応じたRFタグを各山に貼付し、読み取りを一気に行うというアイデアでした。この方法であれば、RFタグのリユースも可能です。運用のベースになるのは、RFタグが組み込まれたA4サイズの伝票です。商品名と商品写真がカラー印刷された伝票がクリアフォルダに挟まれ、コンテナの山の上に乗せる専用蓋にマジックテープで固定されます。

RFタグが組み込まれたA4サイズの伝票には、商品名と商品写真がカラー印刷イメージ
▲RFタグが組み込まれたA4サイズの伝票には、商品名と商品写真がカラー印刷

「一般的なラベルライターではなく、東芝テック製RFID対応カラー複合機を採用しています。採用の決め手となったのは、A4用紙が使える利便性と商品をカラー印刷できる点です。商品写真がカラーで印刷されていれば、貼付ミスをなくせますし、誰でもコンテナの中身が一瞬で分かります。RFID用紙のコンテナへの固定方法は両面テープも考えましたが、水洗いが難しくなるため、マジックテープを採用しました。ちなみにマジックテープの貼付は、生産管理部が手作業で行っています」

今回のRFIDソリューションではRFID対応カラー複合機のほか、2台のRFIDリーダーとRFタグが組み込まれたA4サイズの専用紙を導入しています。

伝票はクリアフォルダに挟まれ、コンテナの山に乗せる専用蓋にマジックテープで固定のイメージ
▲伝票はクリアフォルダに挟まれ、コンテナの山に乗せる専用蓋にマジックテープで固定

棚卸を劇的に省力化
精度も大きく向上

フランソアでは2月下旬の検証開始以来、週2回のペースで検証を継続的に行っていますが、評価は上々です。

「以前は、正確にカウントするためにコンテナの山を並べ替えていました。現在は、RFIDリーダーで読み取るだけで棚卸が完了するので、劇的に手間が減りました。これまで3名で3時間から6時間ほどかかっていた作業が、導入直後ということもあり、まだ主要商品を中心とした棚卸ですが、RFIDにより1名で1分以内に完了しています。冷凍倉庫内のRFタグの耐久性はもう少し時間をかけて検証する必要があると考えますが、当初の懸念材料だった金属建材による電波障害はまったく問題がないことが確認できています。読み取りもスムーズで、倉庫の扉を開けた状態だと前室のRFIDまで読み取ってしまうほどですが、これは扉を閉めてから読み取りを行うという手順を徹底することで解決できています」

マイナス20~30度の冷凍庫内で行う棚卸は、RFIDソリューションで劇的に効率がアップのイメージ
▲マイナス20~30度の冷凍庫内で行う棚卸は、RFIDソリューションで劇的に効率がアップ

今後の取り組みとして考えているのは、食品原料以外の資材をRFIDで管理することと、商品の入庫・出庫の管理についてです。

「例えば、商品包装用フィルムなどの資材管理をRFIDで行うことで効果があるのではないかと検討中です。また、少し将来の話となりますが、冷凍倉庫の出入口に東芝テックのウォークスルー型のRFIDトンネル式ゲートをうまく設置できれば、商品を搬入・搬出するだけで、正確な在庫管理ができると思っています」

東芝テックのRFID対応カラー複合機とRFIDソリューションの組み合わせは、製造業を中心に導入が進んでいますが、食品分野では初の事例となります。毎日入れ替わる冷凍庫の商品管理は、短時間で正確に数量を把握することが求められます。

東芝テックのRFIDソリューションは、その要望に応える最適解として高い評価をいただいています。

※当記事は2025年4月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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