プレスリリース
スマートフォンアプリサービスによる
食生活改善と食品ロス削減の実証実験について
~インセンティブのある提案が消費者に与える効果を検証~
2023年1月17日
東芝テック株式会社
東芝データ株式会社
サッポロホールディングス株式会社
株式会社GIG
株式会社日本総合研究所
フラー株式会社
株式会社ユニバース
東芝テック株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:錦織弘信、以下「東芝テック」)、東芝データ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:北川浩昭、以下「東芝データ」)、サッポロホールディングス株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:尾賀真城、以下「サッポロホールディングス」)、株式会社GIG(以下「GIG」)、株式会社日本総合研究所(以下「日本総研」)、フラー株式会社(以下「フラー」)、株式会社ユニバース(以下「ユニバース」)は、家族の食生活の改善および家庭系・事業系の食品ロスの削減を支援するスマートフォンアプリのサービスが、消費者にどの程度受け入れられ、効果を出せるのかを検証する実証実験(以下「本実証実験」)を行います。
本実証実験では、参加するモニターの苦手食材データのほか、日々の食品の購入履歴データや食生活データなどを基に、食生活の改善を促す行動をスマートフォンアプリが提案し、モニターとその家族の食生活の改善に対する効果を検証します。
また同時に、食材の使い切りや食べ切り、そして野菜の皮なども使った調理を促す提案や過剰在庫が発生した食材の購入の提案を行うことによる、食品ロスの削減効果について検証します。
本実証実験は、経済産業省委託事業「令和4年度 流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用したサプライチェーンの効率化及び食品ロス削減の事例創出)(注1)に採択され、2023年1月17日(火)から2023年2月17日(金)まで、青森県、岩手県、秋田県の3県で実施します。
背景
国内における食品ロス量は、2020年度時点で522万トンに上り、それを企業などが排出する事業系(275万トン)と消費者が排出する家庭系(247万トン)でおよそ半々ずつ分け合っていると推計されています(注2)。2015年度以降、食品ロス量は減少しているものの、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にはこれまで以上の削減が必要とされます。そうした中、企業に対する行政や株主、そして消費者からの要請は高まっており、企業での食品ロス削減への取り組みは年々活発化しています。
一方、消費者に対する外部からの働きかけは、自主的な取り組みを促す啓発活動を主とせざるを得ず、家庭系の食品ロス削減はあまり進んでいないのが実態です。
家庭系の食品ロス削減を加速させるには、消費者が喜んで食品ロス削減に取り組みたくようなアプローチを取り入れることが不可欠です。そのため、「もったいない」といった倫理観に訴えるばかりでなく、食生活や健康の改善など、消費者にインセンティブを感じられるサービスを提供し、そのサービスの利用によって同時に家庭系食品ロスも削減できるようにするといった方法の開発が求められています。
本実証実験について
本実証実験は、スマートフォンアプリ「うちれぴ(以下「うちれぴアプリ」)」(注3)を通じて、食生活の改善および食品ロス削減の観点から購入する食材や食生活に対する提案を行い、モニターの実際の行動に対する効果を測定するものです。
うちれぴアプリには、電子レシートサービス「スマートレシート®」(注4)を介して、スーパーマーケット「ユニバース」での購入履歴が自動連携され、また、モニターも食生活データ(食事を食べ切った後の食卓の写真、など)を自ら登録していきます。このようにして蓄積された購入履歴と食生活データ、そして事前登録された苦手食材データを基に、うちれぴアプリは、モニターとその家族の食生活の改善と食品ロスの削減を促す行動(朝食を食べる、苦手食材を利用したレシピを作る、ご飯を残さず食べる、など)の提案である「クエスト」を提示します。また、店舗で発生する食品ロスを削減するために、過剰在庫が発生した食材の購入を提案するクエストも提示します。
クエストにはそれぞれ、食生活データの登録といった達成条件が設定されており、達成時には、クエストごとに設定されたポイント(ユニバースで利用できるRARAポイントに交換可能)が付与されます。
検証テーマ
家族の食生活の改善および家庭系・事業系の食品ロスの削減を支援するスマートフォンアプリのサービスが、消費者にどの程度受け入れられ、効果を出せるのかを検証します。
- 家族の食生活を改善する行動の促進
朝食の摂取や苦手食材の克服など、食生活の改善を促すクエストの提供を通じ、食生活の改善効果を検証します。また、家族で取り組むことによるシナジー効果の有無も検証します。 - 家庭における食品ロスを削減する行動の促進
家庭系の食品ロスが発生する理由である、直接廃棄・食べ残し・過剰除去(野菜の皮などを取り除き過ぎること)に焦点を当て、それぞれの削減を目指したクエスト(食材の使い切り・食べ切り、野菜の皮などを使う調理の提案)の提供を通じた、食品ロスの削減効果を検証します。また、1.と同様に、家族で取り組むことによるシナジー効果の有無も併せて検証します。 - 店舗で発生する食品ロスを削減する購入の促進
不測の事態(例えば、豊作による生産過剰、新型コロナウイルス感染症の影響による牛乳の需要減など)によって発生した過剰在庫について、消費者に対し削減への積極的な協力を促すクエストの提供を通じた、削減効果を検証します。
実施概要
- 実施場所
- ユニバース全57店(青森県、岩手県、秋田県)、モニター自宅
- 実施期間
- 2023年1月17日(火)~2023年2月17日(金) 計32日間
- 参加者
- 事前募集モニター100名+モニターの家族
全体像
うちれぴアプリのイメージ
各社役割分担
東芝テック(本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 錦織 弘信)
東芝データ(本社: 東京都港区、代表取締役CEO: 北川 浩昭)
- 電子レシートサービス「スマートレシート®」の提供
サッポロホールディングス(本社: 東京都渋谷区、代表取締役: 尾賀 真城)
- うちれぴアプリをベースとした消費者向けアプリケーションの構築
- 本実証実験の運用
GIG(本社: 東京都中央区、代表取締役: 岩上 貴洋)
- うちれぴアプリをベースとした消費者向けアプリケーションの構築
日本総研(本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 谷崎 勝教)
- 本実証実験の全体設計・推進・効果検証
フラー(本社: 新潟県新潟市、代表取締役: 渋谷 修太、山﨑 将司)
- うちれぴアプリをベースとした消費者向けアプリケーションの構築支援
ユニバース(本社: 青森県八戸市、代表取締役社長: 三浦 建彦)
- 本実証実験の実施場所の提供
- 本実証実験の運用
今後の予定
各参画企業は、本実証実験の結果を検証した上で、それぞれの分野から、家庭系および事業系の食品ロスの一層の削減に役立つサービスの開発と社会実装に向けた活動を推進します。
- (注1)
- 令和4年度 流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業
(IoT技術を活用したサプライチェーンの効率化及び食品ロス削減の事例創出)
IoT技術やデータの活用によって、店舗運営やサプライチェーンを効率化させながら生産性の向上を図るとともに、新たな付加価値を創出していくことが、社会的な役割の大きい流通・物流業の持続可能な成長にとって重要となってきています。そうした中、本事業は、IoT技術やデータを活用することで、サプライチェーン全体の効率化や社会課題である食品ロス削減に資する事例を創出するための実証事業を実施することを目的として行われます。
本事業を経済産業省より受託している日本総研は、本事業において食品製造業、小売業やその他協力企業各社とともに、上記背景および目的に基づき、令和4年度中に複数の実証実験を実施することを予定しています。
その一つである本実証実験は、主に家庭系食品ロスの削減を通じた小売業の新たな付加価値の創出を目的として実施するものです。
本事業の対象領域と本実証実験の対象範囲
(注2)日本の食品ロスの状況(2020年度)
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/attach/pdf/220609-6.pdf
※「日本の食品ロス量が推計開始以来、最少になりました」(農林水産省プレスリリース/2022年6月9日)より
(注3)うちれぴの概要
家族とのコミュニケーションで家事負担軽減と「食」の楽しさや喜び創出を目指すサッポロホールディングスが運営するスマートフォン向けアプリ。「家族の食を通じて、よりあたたかい世界に」をビジョンに掲げ、「『食事に込められた思い』をつなぎ、家族ごはんに笑顔を増やす」をミッションと定めている。2021年1月からβ版のwebアプリにて、生活者の家庭での料理に関するニーズの検証と、料理に関連する一連の体験をシームレスにつないだフードテックサービスの構築を目指した実証実験を実施。検証結果をふまえ、1.家族の「食」に関するコミュニケーションの促進、2.一連の料理体験に関わる多種多様な企業との協業・連携、3.購入情報や各家庭の食材在庫情報を起点としたレシピ提案とフードロス削減への貢献の3つの観点からサービスの提供を進めている。
参考ホームページ: https://uchirepi.app/
(注4)スマートレシート®の概要
東芝テックが開発・運営し、東芝データが運営を支援している電子レシートサービス。会計時に通常は紙で提供される購入商品の明細レシートを電子化し、電子レシートセンターでデータとして管理、提供する。消費者は手元に紙のレシートを残さなくてもスマートフォンで購入履歴をいつでも確認することができ、消費者の買い物における利便性の向上につながるとともに、 紙レシートの発行コストや環境負荷を減らすことができる。本実証実験において、購入履歴データをうちれぴアプリに連携する。
参考ホームページ: https://www.smartreceipt.jp/
「スマートレシート®」は東芝テック株式会社の登録商標です。
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