RFIDトータルソリューション導入事例
約1,400台の農機具管理は、RFID導入により
精度の高い商品管理と棚卸の効率化を実現
農機具専門リサイクルショップ 飛行船アグリ

古新聞や雑誌の回収業から始まった飛行船アグリは、現在、農機具の中古販売、買取、修理を専門とする地域密着型のリサイクルショップとして広く知られています。同社は、“農業王国”として名高い栃木県を拠点に、鹿沼店と宇都宮店の2店舗を展開しています。また、オンライン販売を通じ、栃木県内はもとより、全国の農家や新規就農を考える方々に、多様な種類の農機具を安価に提供しています。
RFIDソリューション
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導入時期
2024年1月
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導入目的
日々の商品管理の精度向上、棚卸の効率化を図りたい
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課題
5か所ある保管場所における商品管理の精度向上
年2回の棚卸業務を効率化したい
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効果
現地に行かなくても常に最新の保管場所を把握
3人で2~3日かかっていた棚卸が、ほぼ1日で終了
お客様の問い合わせ対応でお待たせしなくなった
古新聞・雑誌の回収業から 農機具専門のリサイクルへ
1989年、リサイクルという概念がまだ日本で新しかった時代に、飛行船アグリは古新聞や雑誌の回収業としてスタートしました。その後、時代の移り変わりとともに着物や雑貨などの不用品に加え、家電製品やオートバイなども回収するようになりました。20年ほど前からは農機具の回収を始め、現在では農機具修理を専門とする地域密着型のリサイクルショップとして広く知られています。

農機具の取り扱いについて、企画課 課長の蒲 喜美雄氏はこう話します。
「オートバイの回収・リサイクル販売を始めた頃から農機具の取り扱いが増えました。20年ほど前から徐々に農機具の量が増え、現在の状態となっています。栃木県には、お米や野菜、イチゴを生産する農家が多く、農機具の取り扱いが増えるのは必然だったのかもしれません」

農機具の販売ではオンラインを積極的に活用し、オークションサイトとの連携により、全国の農家や新規就農を考える方々に、多様な種類の農機具を安価に提供しています。
「北海道や沖縄からの問い合わせもありますが、輸送コストや、不具合が発生した場合のアフターサービスの出張コストを考えると、商圏はあまり広げられないですね。ただし、新品購入を検討中で中古を試してみたいお客様の場合は、遠方でも問題ないようです」
現在、飛行船アグリでは、県内農家からの買取をはじめ、大阪・名古屋のオークション等で入手した中古農機具を、屋内外の展示場にて保管しています。常時在庫するその数はおよそ1,400台。保管場所は近隣に5か所あり、一番遠い場所でも車で10分程度とのことです。



「在庫はおよそ3か月で一回転するため、農機具の保管場所は頻繁に変更されます。以前は、毎日商品管理を行っても農機具探しに時間がかかり、お客様をお待たせすることがありました。そのためGPSを活用したロケーション管理を導入しましたが、GPSでは5~10mのズレが生じ、場所の特定には精度を欠いていました。この課題を解決するためにRFIDに着目し、GPS+RFIDのシステムに切り替えることを決めました」
RFIDタグを雨ざらしで検証
商品管理と棚卸で効果絶大
懇意にしている販売店を通じて、東芝テックとの取引が始まりました。導入した機器は、RFIDタグとそれを出力するラベルプリンタ、そしてRFIDハンドリーダー UF-3000です。それらをコントロールするアプリケーションは、自社で開発しています。
「オペレーション自体はそれほど複雑ではないため、ご提案いただいたアプリケーションではオーバースペックでした。機器の導入と同時にWebサイトとスマートフォンを使う仕組みも自社で開発し運用しています。運用の流れとしては、まず入荷商品に付帯している“仕切書(紙)”の情報をパソコンに入力して商品登録をします。その後、登録情報を書き込んだRFIDタグを発行し商品に取り付けます。商品の保管場所でスマートフォンを使用して写真撮影すると、GPS情報が取得され、保管場所のデータも記録されます。注文が入ると商品を特定し、RFIDタグを読み取って出荷登録を行い、在庫ゼロになります」

RFIDは“水や金属に弱い”といわれることがあります。使用する環境によっては、用途が制限されることや電波干渉でスキャンに不具合が生じる場合があります。
「こだわったのは、RFIDタグの耐水性です。保管場所は5か所あり、そのうちのいくつかには屋根がありません。雨や雪にさらされる商品に取り付けるRFIDタグはかなり吟味しました。少なくとも2、3か月外に置くことを前提に長期テストを実施しました。その結果、これなら大丈夫、というRFIDタグを採用しています。現在のところ、商品との電波干渉は発生していません。それよりもRFIDタグの付け間違いや欠落などに注意しています」

RFIDの導入効果は絶大で、日々の商品管理と棚卸の業務効率が格段に高まったようです。
「商品管理の精度が大幅に向上しました。入荷した商品のRFIDタグを読み取りながら、他の商品も同時にスキャンできるため、常に最新の所在がわかります。その結果、5か所ある保管場所に商品を探しに行くことがなくなりました。棚卸は年2回、行っています。これまでの手作業では、従業員3人で2~3日かかっていました。保管場所を徒歩で何往復もしながら商品を確認する作業は過酷で、腰を痛めることもありました。それがRFID導入後は、スキャンを実施するとほぼ1日で終了します。大まかなスキャンを行って、あとは詳細を確認する作業だけです。もう、RFID導入前の手作業には戻れないですね」
新しい技術やソリューションを
効果的に使う方法を一緒に進める
「現在、RFIDタグの発行はこの事務所で行い、保管しています。商品がまとめて送られてきた際にRFIDタグを取り付けています。今後は、名古屋や大阪のヤード(買い付け場)でもRFIDタグを発行し、その場で取り付けることで、リアルタイムに管理する仕組みを考えています」

東芝テックは、最新技術や幅広いソリューション開発を強みにしています。最新のソリューションを積極的に活用する飛行船アグリとの協業関係をさらに深めることで、今後もお客様に喜んでいただける商品やサービスの提供がますます実現しそうです。

※当記事は2024年11月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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