第27回自動認識総合展 東芝テックブース レポート
省力化、作業ミス削減、DX推進などの製造業の課題解決ソリューションをデモ展示

■ 業種・業態 製造業/物流・倉庫業/物販・衣料店

第27回自動認識総合展 東芝テックブースのイメージ画像

国内唯一の自動認識技術・ソリューションの専門展示会である『自動認識総合展』が、9月10日から12日まで東京ビッグサイトで開催されました。今年の東芝テックブースの注目点は、来場者の過半数を占める製造業が直面する課題に焦点を絞り、具体的な業務に対応するソリューションをより分かりやすく紹介したことです。さらに、昨年設立されたエトリアとの協業による新たなソリューション提案が初めて披露されたことも大きな注目を集めました。

ラベルプリンタを起点に製造ラインの省力化を実現

今回で第27回を迎えた『自動認識総合展』は、“未来をつなぐAUTO-ID”をスローガンに、二次元コードやRFID、画像認識などに基づく自動認識の先進技術・ソリューションが一堂に集結しました。“自動認識からはじまる現場DX”をテーマに掲げた今年の東芝テックブースでまず注目すべきは、人手不足や作業ミスの削減、DX推進、技術継承、在庫管理の精度向上など、製造業が直面する課題に対応した具体的な業務シーンを想定し、分かりやすく展示・デモンストレーションが行われた点です。さらに、昨年7月に株式会社リコーとの間で複合機分野の開発・製造に関わる事業を統合して設立されたエトリアとの協業による新ソリューションも初出展され、大きな注目を集めました。

PDFファイルダイレクト印刷で業務省力化

製造業の現場では、部品入出庫(入庫ラベル)、トレーサビリティ(現品票)、出荷準備(出荷ラベル)など、さまざまな目的でラベルプリンタが活用されています。主な役割は、基幹システムや生産管理システムから出力されるPDFファイルを現場で印字することですが、従来はPDFファイルをラベルに印字する際、プリンタドライバを経由する必要があり、その結果、PCによる中継や管理、プリンタドライバ更新といった煩雑な作業工数が発生していました。
昨年11月に発売された「BX410T」は、PDFファイルダイレクト印刷機能を搭載しています。ラベル印刷に必要なアプリケーションをプリンタ側に内蔵したことで、印字専用PCの運用やプリンタドライバ更新が不要となり、システム管理者の負担を大幅に軽減します。さらに、今年7月にはシリーズ機種「BX430T」を発売。誤差±0.3ミリという高い印字位置精度により、シリアルナンバーや製品型番、製造年月日、製造元情報などを印字する銘板にも十分対応できる性能を備えています。今回は、これらのラベルプリンタの特長を生かした2 種類のソリューションがデモンストレーション展示されました。
1つ目は、海外で普及が進むラベル貼付マシン「APLEX4」と「BX410T」を組み合わせたラベル貼付自動化ソリューションです。人手によるラベル発行・貼付は、工数の煩雑さに加え、貼り間違いといった問題を引き起こしますが、発行から貼付までを完全に自動化することで、これらの課題解決に大きく寄与することが期待されます。さらに、「APLEX4」と「BX410T」との連携が容易に行える点も注目すべきポイントです。そのため、「BX410T」をすでに導入しているユーザーにとっても、「APLEX4」によるラベル貼付自動化は有効な提案となります。

ラベルプリンタ「BX410T」シリーズ+APLEX4のイメージ画像
ラベルプリンタ「BX410T」シリーズ+APLEX4

2つ目は、製造ラインの自動制御を担うPLC(Programmable LogicController)と「BX430T」を連携させたソリューションです。今回は、国内トップシェアを誇る三菱電機製PLCと連携した銘板発行のデモが行われました。PDFファイルダイレクト印刷に対応する「BX430T」とPLCを組み合わせることで、銘板発行にとどまらず、多様なニーズの掘り起こしにつながることが期待されています。

ラベルプリンタ「BX430T」シリーズ+PLCのイメージ画像
ラベルプリンタ「BX430T」シリーズ+PLC

検品大助Lite+リライタブルレーザーシステム

POSレジのような感覚で両手を使ってスキャンできる「検品大助Lite」は、片手がふさがるハンディターミナルによる作業と比べ、より迅速かつ正確なスキャンを可能にします。今回は、物流業や製造業の現場に広く普及し、検品業務の効率化に貢献している「検品大助Lite」を起点とした新たなソリューションが紹介されました。それが、新たに設立されたエトリアが提供するリライタブル レーザーシステムとの連携です。
レーザー光によって非接触で印字を書き換える同システムの最大の特長は、ラベルを貼り剥がすことなく、約1,000回の繰り返し利用を可能にする点にあります。例えば、量販店の通い箱には店舗名や商品名、数量を記載したラベルが貼付されるのが一般的ですが、使用後にラベルを剥がす作業はどうしても人手に頼らざるを得ず、煩雑な業務となっていました。
「検品大助Lite」とリライタブルレーザーシステムは連携ができ、両システムの連携によりピッキングから部材の情報をラベルに表示するまでの作業を大きく効率化させていました。製造業向けには、部材払い出しにおける活用ソリューションが紹介されました。製造工程は資材倉庫からの部材払い出しを起点とするのが一般的で、ピックアップされた部材は検品を経て製造現場に送られます。その際、オリコンに貼付されるラベルは毎回剥がす必要がありました。こうした一連の作業を自動化するリライタブルレーザーシステムは、正確性の向上と省力化に大きく寄与し、人件費の削減によって数年で投資コストを回収することが可能です。

検品大助Liteのイメージ画像
検品大助Lite

ものづくりの技能継承の観点からも注目したい映像検索システム

映像検索システム

上位システムと連携し、見たいシーンを瞬時に検索できる東芝テックの映像検索システムは、ネット通販における検品作業などですでに広く普及しています。特に高く評価されているのは、「注文品が入っていなかった」といった顧客クレームへの対応における効果です。映像による検品作業の確認は、根拠に基づいた的確な対応を可能にします。
ものづくり現場における映像検索システムの導入は、クレーム対応にとどまらず、トラブル発生時のロット番号に基づく要因究明や、見本となる作業動画の教材として活用するなど、幅広い用途が想定されます。加えて、ベテラン層の定年退職に伴い、従業員教育を担う人材不足が顕在化する中で、作業を映像として管理できる本システムは、技能継承の観点からも注目すべきソリューションといえます。

映像検索システムのイメージ画像
映像検索システム

RFID設備予備品管理 Stock Viewing(ストックビューイング)

ものづくりの現場における生産ラインの維持・管理において、生産ライン予備品と呼ばれる保守パーツの管理は重要な課題の一つです。しかし、従来の目視に依存した管理方法では、生産ラインにトラブルが発生した際にはじめて必要な予備品の欠品が判明するケースも少なくありませんでした。この課題解決に大きな役割を果たすと期待されているのが、RFIDを活用した予備品管理ソリューションです。
RFID予備品管理ソリューション「Stock Viewing」の注目ポイントは大きく二つあります。第一に、RFIDによる正確な入出庫管理の実現。第二に、それに基づく在庫管理の省力化・正確化です。
生産ラインのトラブル対応には常に迅速さが求められるため、手作業による予備品管理ではミスが避けられません。RFIDを活用した管理では、予備品を出庫する際にリーダーでタグを読み取るだけで、従来は困難だった正確な入出庫管理を可能にします。同様に、RFIDによる棚卸は、従来に比べて大幅な省力化と精度向上を実現します。「生産ラインを止めない」という製造業の命題に対し、RFIDによる予備品管理が果たす役割は極めて大きいといえます。

RFID設備予備品管理 Stock Viewing(ストックビューイング)のイメージ画像
RFID設備予備品管理 Stock Viewing(ストックビューイング)

クラウド型物流業務効率化サービスLogi-Reco(ロジレコ)

物流業界で注目される「2024年問題」により顕在化したドライバー不足は、未経験者の登用による誤配送や荷下ろし忘れといった課題にもつながっています。この問題に対してはすでにさまざまなソリューションが登場していますが、高額な導入コストを要するケースも少なくありません。東芝テックのクラウド型業務効率RFIDサービス「CHAIN WORKS」の一環として提供される物流業務効率化サービス「Logi-Reco(ロジレコ)」の特長は、スマートフォンをデバイスとして活用することで、大規模な設備投資を必要とせず、誤配送防止やGPS機能との連携によるリアルタイム位置管理を実現できる点にあります。
基本的な仕組みは、上位システムで管理する車両情報や荷物情報を運行ドライバーのスマートフォンに紐づけることです。什器に貼付された二次元コードをスマートフォンで読み取ることで荷積み・荷下ろしを管理し、誤りがあれば即座にエラー表示され、誤配送トラブルを防止します。GPS機能との連携により現在地を把握できるため、到着時間に関する問い合わせにも的確に対応可能です。さらに、上位システムとの連携によって、ドライバーによる運転日報の作成が不要になる点も大きなメリットです。

クラウド型物流業務効率化サービスLogi-Reco(ロジレコ)のイメージ画像
クラウド型物流業務効率化サービスLogi-Reco(ロジレコ)

進化するRFIDがさまざまな課題を解決

AR探索機能による棚卸の省力化

基幹システムやWMS(倉庫管理システム)とのデータ連携により、簡単かつ低コストでRFIDソリューションの導入を実現する「CHAIN WORKS」。今回、その新機能として紹介されたのが、RFIDとAR(拡張現実)を組み合わせた「AR検索機能」です。(参考出展)
RFIDソリューションは、入荷・出荷検品や棚卸といった業務を中心に普及しています。特に棚卸では、従来は数日を要していた作業をわずか数時間で完了できるなど、劇的な効果が期待されています。しかし一方で、RFID特有の課題も存在します。それは、金属や液体による反射、RFタグの重なりによる電波干渉などに起因する「読み取り漏れ」です。RFIDは広範囲を一度に読み取れるという大きな利点を持つ反面、在庫が確認できなかった場合、それが読み取り漏れなのか、欠品なのかを判別するのに大きな手間がかかります。特に、本来とは異なる棚や場所に紛れ込んだRFタグの読み取り漏れは、倉庫内での探索作業を発生させかねません。
「CHAIN WORKS」では当初からこの課題を認識し、電波の強さに応じて目的物のおおよその方向を示す探索機能を搭載していました。これにより読み取り漏れ時の探索をサポートしてきましたが、最終的には一定範囲内の在庫品を目視で確認する必要がありました。
この問題を解消するのが、新たに搭載されたAR探索機能です。Android端末のカメラ映像上にRFIDの電波の発信源を重ねて表示することで、在庫品の所在を直感的に把握できます。AR探索機能は、棚卸における読み取り漏れ防止だけでなく、とりわけ不慣れな作業者に対する出庫ピッキング支援にも大きな効果が期待されます。

業務効率化RFIDサービスCHAIN WORKS(チェインワークス)AR探索のイメージ画像
業務効率化RFIDサービスCHAIN WORKS(チェインワークス)AR探索

RFID+帳票印刷による製造DXの実現

ものづくりの現場におけるRFID活用の方向性として注目されるのが、RFIDライター対応A3カラー複合機「e-STUDIO4525AC RFID」による既存帳票とRFIDの統合です。最大のメリットは、RFIDによる進捗状況の可視化にあります。
多品種少量生産が前提となる製造現場では、納期に関する顧客からの問い合わせのたびに、現場に足を運び、進捗状況を確認する手間が発生することが少なくありません。作業指示書にバーコードを印刷し、リアルタイムで進捗を可視化する取り組みは以前からありましたが、作業ごとにハンディターミナルでバーコードを読み取る手間が現場の負担となり、定着しにくいという課題がありました。この問題を解決するのが、既存帳票をRFID化できる「e-STUDIO4525AC RFID」です。
そもそも製造現場におけるRFID活用の障壁の一つは、カラー印刷とRFID書き込みの双方に対応するMFP(複合機)が存在しなかったことにあります。
製造現場では、短納期の特急案件を色分けするなど、カラー印刷による作業指示書の視認性向上が重視されています。そのため、モノクロ印刷に戻すことを前提としたRFID導入は、現場にとって受け入れがたいものでした。「e-STUDIO4525AC RFID」は、A3サイズでのカラー印刷とRFID書き込みを同時に実現できることが大きな特長です。カラーによる視認性とRFIDによる進捗可視化を両立することで、製造業におけるDX推進に大きく貢献することが期待されています。

RFIDライター対応A3カラー複合機「e-STUDIO4525AC RFID」のイメージ画像
RFIDライター対応A3カラー複合機「e-STUDIO4525AC RFID」

※当記事は2025年11月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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