RPAによる業務自動化のカギは「データの自動取得」──RFID連携で工場・バックオフィス業務を効率化

2026年1月23日

コラム

■業種・業態:製造業/物流業・倉庫業  
■キーワード:RPA/定型業務/効率化/RFID

倉庫でRFIDリーダーを使って在庫をスキャンする作業者
現場でのデータ取得を自動化することで、RPAによる業務自動化の効果が最大化される

はじめに:RPAによる業務自動化への期待と現場で起きていること

人手不足・残業削減の切り札として注目されるRPA

製造業や物流業の現場では、慢性的な人手不足と長時間労働が経営課題となっています。生産管理システムへのデータ入力、帳票作成、在庫情報の更新といったバックオフィス業務は、毎日発生する定型作業でありながら、担当者の負担は小さくありません。
こうした状況を打開する手段として、RPA(Robotic Process Automation)への期待が高まっています。RPAを導入すれば、PC上の定型業務をソフトウェアロボットに任せることができ、残業削減や省人化につながると期待されています。

「RPAを入れれば何でも自動化できる」という誤解

しかし、RPAを導入しても期待した効果が得られないケースは珍しくありません。シナリオを組んだものの、入力データが紙やFAXで届くため結局手入力が必要になり、データ準備に多くの時間を取られてしまう。RPAの効果を阻んでいるのは「入力データの準備」という壁であることが多いのです。

本記事では、RPAの基本的な仕組みを整理したうえで、なぜ「データの自動取得」が重要なのか、RFIDとの連携によってどのようにエンドツーエンド(データの発生から処理完了までの一連のプロセス)の自動化が実現できるのかを解説します。

RPAとは何か:PC上の処理を自動化する仕組み

定型的な事務処理を代行するソフトウェアロボット

RPAとは、人間がPC上で行う定型操作を、ソフトウェアロボットに代行させる技術です。あらかじめ作業手順(シナリオ)を設定しておくことで、ブラウザやExcel、基幹システムを操作し、データ入力や転記、ファイル保存を自動で実行します。
製造業のバックオフィスでは、受発注処理、在庫データの更新、請求書の作成、日報の集計など、RPAで自動化できる業務が数多く存在します。

RPAが得意な業務・不得意な業務の例

RPAが得意なのは、「手順が毎回同じで、ルールが明文化されている作業」です。システム間のデータ転記や定型帳票の作成などが該当します。一方、人の判断が必要な業務や、紙帳票の読み取りはRPA単体では対応困難です。適切な業務選定が導入成功の第一歩となります。

RPAによる業務自動化で得られるメリット

RPAを適切に導入すれば、作業時間の大幅短縮、ヒューマンエラーの削減、担当者の負担軽減といったメリットが得られます。単純作業から解放されることで、分析や改善活動など付加価値の高い業務に集中できるようになります。

RPAだけでは解決しづらい「入力データ準備」の壁

デスクに積まれた紙の帳票とExcelが開かれたPC画面
紙帳票からの手入力がボトルネックとなり、RPAの効果を阻んでいるケースは多い

現場に残る帳票・手書き情報の存在

一見便利なRPAですが、導入に向けて大きな壁が存在します。RPAは「システム上のデータ」を処理する仕組みなので、紙の情報をデジタル化する部分には対応できません。ここがボトルネックとなるケースが非常に多いのです。

実際、検査チェックシートや作業日報など、現場で発生する情報の多くが紙ベースで運用されています。紙帳票には「一覧性がある」「汚れた手でも扱いやすい」といったメリットがあり、すべてをデジタル化することが難しいのが実情です。

そこで紙の良さとデジタルを両立しRPAの効果を最大化するために、何らかの方法で紙情報をデータ化する必要があります。しかし、人の手によるインプット自体、非効率な作業です。「現場の検査記録が紙で上がってきて、それをExcelに打ち直している」、「手書きの数字が0なのか9なのか判別できず、確認に時間がかかる」──など、かえって作業効率を落としている状況は少なくありません。

データ不備・入力ミスもRPAシナリオの限界を生む

また、「RPAのシナリオを組んだものの、元データの形式が不統一のためエラーとなってしまう」という事態も少なくありません。取引先ごとにフォーマットが違う、入力項目に漏れがある、といった状況ではRPAが処理できないことがあるためです。人手による入力ミスや転記漏れも同様です。RPAの効果を最大化するには、「処理の自動化」だけでなくデータ入力時のボトルネックの解消、つまり「データ取得の自動化」をセットで考える必要があります。

現場のデータ入力を自動化・簡便化する妙手とは?-RFID

RFIDによる自動記録で入力作業を軽減

現場での手入力を軽減する方法としてまず挙げられるのはRFIDの活用です。RFIDは、タグを付けたモノや帳票の情報を非接触で読み取れる、現場で発生する「読み取り→記録→転記」の手間を減らしやすい技術です。仕組みの詳細は別コラム「RFIDとは?製造・物流現場の業務効率を変える基礎知識と活用事例」に譲り、本記事では「入力作業を減らす」という観点で整理します。
RFIDは専用機器だけでなく、既存設備と組み合わせて活用されるケースも増えています。たとえば、既存の帳票運用を残しながら、帳票側にタグを付与して読み取りを自動化する、といった組み合わせも可能です。

バーコードとの違いと一括読み取りの強み

バーコードは1枚ずつスキャンが必要で、読み取りのたびに担当者が端末を操作する手間が発生します。一方、RFIDは複数のタグを一括で読み取れるため、スキャン回数そのものを大幅に削減でき、担当者の手間やオペレーションミス軽減が期待できます。

現場での作業・モノの動きをデータ化するメリット

入荷・棚卸・出庫などで読み取り結果をそのままデータ化できれば、現場担当者がExcelや基幹システムへ手入力する工程を削減できます。入荷時にゲートを通過させるだけで入荷データが自動登録され、棚卸時もリーダーでスキャンするだけで在庫が更新される──こうした運用が可能になります。このデータをRPAの入力として活用することで、エンドツーエンドの自動化が実現できます。

RFIDでデータを自動取得し、RPAで処理を自動化する連携イメージ

入荷・在庫・出荷プロセスを例にした連携ストーリー

入荷時、RFタグ付き商品がRFIDを検知するゲートを通過すると入荷データが自動登録されます。従来は納品書と現物を突合し、手入力で登録していた作業が不要になります。在庫管理でも同様で、RFタグ用のリーダーでスキャンするだけで、在庫データがリアルタイムに更新され「システムへの入力作業だけで午前中が終わる」という状況が解消されます。出荷時は一括読み取り後、RPAが出荷実績登録から請求書作成、通知メール送信まで自動処理します。

紙帳票や伝票を起点にデータをシステムへつなぐ流れ

現場で紙の帳票が必要な業務でも、RFIDとの組み合わせでデータ連携が可能になります。たとえば検査記録用紙。紙面にRFタグを貼り付けておけば、検査完了時にリーダーで読み取るだけで検査ログがシステムに記録されます。紙の使いやすさを残しながらデータ入力の手間を削減できます。
手書き帳票をデジタル化する手段としては、RFIDだけでなくOCRなども選択肢になります(業務要件に応じて使い分けます)。

例外処理や判断が必要な部分に人が集中できる体制

定型業務が自動化されれば、人は「例外処理」や「判断が必要な業務」に集中できます。たとえば、数量不一致や品質異常が発生した場合のみ担当者にアラートを通知し、対応の判断は人が行うなど、自動化する部分と人が判断する部分を切り分けることで、業務全体の効率が上がります。

解決策の一例:A3カラープリンターRFIDソリューションで紙とデジタルをつなぐ

ここまで見てきた「紙業務」の課題を解決する手段の一つとして、東芝テックのA3カラープリンターRFIDソリューションをご紹介します。

紙を残しながらデジタル化

A3カラープリンターRFIDソリューションは、プリンターで帳票印刷とRFタグへの情報書き込みを同時に行えます。現場で紙の帳票が必要な業務でも、リーダーでタグを読み取るだけで「どの帳票が、いつ、どこで処理されたか」が自動記録され、手入力や転記の手間を削減できます。

既存フローを大きく変えずにRPAとの連携を始められる

このソリューションによって、現場の帳票運用を残したまま段階的にデータ取得の自動化を進められます。紙とデジタルを併用するハイブリッドな運用から始められるため、現場の抵抗感を抑えながら導入できます。

RFIDでデータ取得し、RPAで処理するエンドツーエンド自動化のシナリオ

工場現場の作業実績収集〜集計レポート作成までを自動化するケース

①各ラインでRFID付き作業日報を使用→②作業実績がリアルタイムで蓄積→③RPAが毎日定時に集計・レポート作成→④管理者へ自動配信。
この流れにより、毎朝行っている生産計画の予実確認工数の削減が期待できます。

在庫情報の更新〜発注処理までを自動化するケース

①出庫時にRFIDゲートで出庫品を自動検知→②在庫数がリアルタイム更新→③基準値を下回ったらRPAが自動検知→④発注書作成・仕入先へ送信。欠品リスク低減と発注業務の省人化につながります。

RPAとRFID連携を見据えた自動化プロジェクトの進め方

まずは対象業務とデータの流れを可視化する

自動化プロジェクトの第一歩は、現状の業務を可視化することです。「紙で発生している情報」と「システムに入力されるタイミング」を明確にします。紙からシステムへの入力がボトルネックになっている業務が、自動化の優先候補です。

RPAだけで完結する部分とRFID等で自動取得すべき部分を切り分ける

システム間のデータ転記はRPAだけで自動化できますが、紙帳票のデジタル化や現場でのモノの動きの記録にはRFIDやOCRが必要です。この切り分けを明確にし、投資対効果の高い領域から優先的に取り組みます。

小さく始めて効果を確認し、段階的に拡大する

ホワイトボードの前で業務フローを整理するチーム
まずは対象業務を可視化し、小さく始めて効果を検証することが成功への近道

いきなり全社展開ではなく、1つの業務・1つの部門から始めて効果を検証します。削減できた作業時間やエラー率を定量的に測定し、成功体験を積み重ねてから横展開するアプローチが、リスクを抑えながら成果を上げる近道です。

まとめ:「処理の自動化」と「データの自動取得」をセットで考える

RPAの効果を最大化するには入力データの質と量が重要

RPAは定型的なPC操作を自動化する強力なツールです。しかし、いくら優れたRPAシナリオを組んでも、入力データが紙のまま、手入力のままでは効果は限定的です。「処理の自動化」と「データの自動取得」をセットで考えることが、エンドツーエンド自動化の鍵となります。

紙業務の見直しがエンドツーエンド自動化への第一歩

自動化を進める際には、紙業務の見直しも欠かせません。まずは自社の業務を棚卸しし、「どこで紙が発生しているか」「どこで手入力が発生しているか」を洗い出してみてください。そこに自動化のヒントが隠れています。

詳しくはA3カラープリンターRFIDソリューション紹介ページへ

東芝テックでは、帳票印刷とRFタグ書き込みを同時に行える「A3カラープリンターRFIDソリューション」を提供しています。紙の使いやすさを残しながら、データ取得の自動化を支援します。RFIDと紙のハイブリッド運用による業務自動化をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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※当記事は2026年1月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。