スーパーマーケットのインストア・マーチャンダイジングと店舗レイアウト

お店づくりトピックス

スーパー店内のイメージ画像

インストア・マーチャンダイジングとは、お客様が思わず商品を手に取り、購入したくなるような「売場づくり」や「商品陳列」、「販促演出」を通じて、顧客満足度を高め、買上点数や客単価の最大化を図る取り組みです。 そのためには、お客様の店内回遊率を高め、販売機会を増やすことが重要となります。そして、その実現において大きな役割を果たすのが店舗レイアウトです。

衝動買い(非計画購買)が店舗価値を高める

スーパーで買い物をしているイメージ画像

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、近年はネットスーパーや宅配サービスが急速に拡大しました。しかし、生鮮食品を中心とした日常の食材については、依然として多くのお客様が実店舗での購入を望まれています。

店内を自由に歩き回り、自分の目で商品の品質を確認し、価格を比較しながら買い物を楽しみたいというニーズは、現在も非常に強い状況です。A社が2024年に実施した「スーパーマーケット店舗での購買行動に関する調査」(図表1)にも、その傾向が明確に表れています。

同調査によると、スーパーマーケットにおける購買の約9割が非計画購買に該当するという結果となりました。非計画購買の中には、購入する商品カテゴリーのみを決めて来店し、売場で品質や価格を比較して商品を決定するケースも約3割含まれています。しかし、約6割のお客様は、購入する商品カテゴリーすら決めずに来店し、売場で魅力的な商品や新商品を発見することで購買につながっています。

特に生鮮食品では、その傾向が顕著です。生鮮主体のスーパーマーケットにおいては、「思わず買ってしまう」「ついで買いしてしまう」といったワクワク感のある売場づくりが、ネット時代だからこそ、ますます重要になっています。

 そして、それを実現する具体的な手法こそが、インストア・マーチャンダイジングなのです。

<図表1> お客様の購買行動

購買行動をイメージした図

「買上点数」「客単価」UPを目的とするインストア・マーチャンダイジング

スーパーで商品を手に取るイメージ画像

売上高は、図表2のように分解して考えることができます。

重要なのは、インストア・マーチャンダイジングが、あくまで来店されたお客様に対して店舗内で実施する施策である点です。チラシや広告による集客、あるいは企業全体の価格戦略によって客数を増やす活動とは、本質的に異なります。

インストア・マーチャンダイジングは、店舗内におけるさまざまな工夫によって買上点数を増やし、客単価を引き上げる活動です。この点を明確に理解することで、売上改善施策の精度は大きく向上します。

セルフサービス方式のスーパーマーケットで買上点数を増やすためには、まずお客様に店内を回遊していただき、客動線を延ばす必要があります。さらに、多くの売場に立ち寄っていただき、より多くの商品と接していただくことが重要です。

お客様は商品と接して初めて、陳列やPOPによる商品の魅力訴求を受け、購買を決定されます。そのため、店舗で実施する各施策が、どの数値に影響するのかを理解することが極めて重要となります。

この理解があってこそ、仮説と検証によるPDCAを適切に回すことができ、実務経験に裏打ちされた知識と技術を身に付けることにつながります。

<図表2> 売上高・客単価・買上点数の構造とインストア・マーチャンダイジング

売上高・客単価・買上点数の構造とインストア・マーチャンダイジングをイメージした図

買上点数を増やす店舗レイアウトとワンウェイ・コントロール

スーパーでお客さんが買い物をしているイメージ画像

客動線を延ばし、お客様の回遊を促進しながら各売場の立寄率を高める――。その重要な鍵を握るのが店舗レイアウトです。

同じ店舗、同じ品揃えであっても、改装などによってレイアウトを変更しただけで売上が大きく変化することは珍しくありません。

スーパーマーケットの店舗レイアウトにおける基本原則が、「ワンウェイ・コントロール」(図表3)です。

これは、店舗側の意図によって買い物動線を設計し、「マグネット(磁石)」と呼ばれる、お客様を引き寄せる商品や陳列、POPなどを配置することで、計画的に店内回遊を促す手法です。現在、多くのスーパーマーケットで基本的な考え方として採用されています。

また、ワンウェイ・コントロールは、単に磁石を配置するだけではありません。商品の連続性やカラーコントロールなどを組み合わせることで、さらに高い効果を発揮します。

適切なワンウェイ・コントロールは、単に客動線を延ばすだけではなく、目的商品の探しやすさを高め、関連商品や必需品の買い忘れを防ぎ、新商品との出会いによる楽しさも提供します。

つまり、「ショートタイム・ショッピング」と「快適で楽しい買い物体験」の両立を実現することが、その本質なのです。

<図表3> ワンウェイ・コントロールとマグネット

ワンウェイ・コントロールとマグネットをイメージした図
(注) 用語は各社で異なる場合があります

買上点数・利益に影響する第三磁石と第四磁石

スーパーでお客さんが商品を手に取っているイメージ画像

磁石の中でも、現場担当者が比較的取り組みやすいのが、第三磁石と第四磁石です。

各部門においてこれらに該当する売場や商品は、多くの企業で担当者の提案や判断によって、ある程度変更できる場所となっています。また、短期間で成果が表れやすいため、仮説と検証を行いやすい売場でもあります。

さらに、主にサブ通路のゴンドラに陳列される高利益の定番商品については、生鮮売場との関連販売によって買上点数を向上させ、店舗利益に大きく貢献する重要な役割を担っています。

一方で、来店客の一般的な通過率は、主通路(外周通路)が75〜90%であるのに対し、サブ通路は5〜15%程度と大きな差があります。そのため、いかに主通路からサブ通路へお客様を誘導するかが、スーパーマーケットにおける重要な課題となっています。

【第三磁石のポイント】 

① エンドや平台によって売場に変化やワクワク感を演出し、「安さ」や「季節感」を訴求することで、お客様を立ち止まらせ、第四磁石へつなげる役割を果たします。

② 売場に変化を持たせるため、原則として13週以内で売り切る非定番商品を中心に展開します。定番売場化しないことが重要です。

③ 品目数を絞り込み、インパクトを重視します。目安としては最大5品目程度が適切です。

【第四磁石のポイント】 

① 主通路で立ち止まったお客様を、サブ通路へ引き込む役割を担います。

② ゴンドラ内に単品量販の棚を設けたり、棚板を外して大量陳列する「スロット陳列」を活用したりすることで、主通路からの視認性を高めます。また、大型POPなども活用しながら、広告掲載商品やPB商品、話題の新商品を訴求します。

③ それぞれの通路に近いエンドや平台の商品との関連性を持たせることで、より高い回遊効果を発揮します。

インストア・マーチャンダイジングは、単なる「売場演出」ではなく、お客様の店内回遊を促進し、買上点数と客単価を高めるための重要な経営施策です。

特に、非計画購買の割合が高いスーパーマーケットにおいては、店舗レイアウトやワンウェイ・コントロール、さらには第三磁石・第四磁石の活用によって、お客様に「発見」や「ワクワク感」を提供できるかが大きな差別化要因となります。

ネット時代だからこそ、リアル店舗には“歩いて楽しい”“思わず買ってしまう”売場づくりが求められており、それを実現する現場力こそが、今後のスーパーマーケット経営における重要な競争力になるといえるでしょう。

(文)特定非営利活動法人JOFリンク 代表 小川英治 
発行・編集文責:株式会社アール・アイ・シー
代表取締役 毛利英昭

※ 当記事は2026年5月時点のものです。
 時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

お問い合わせ・資料請求

Toshiba Tec Group Philosophy Creating with You ともにつくる、つぎをつくる