買上点数をアップする陳列と買上率

お店づくりトピックス

スーパーの棚に商品を陳列しているスタッフのイメージ画像

スーパーマーケットは、セルフサービス・セルフセレクションで販売する業態ですので、店舗内での売上拡大(買上点数の増加)を図るために、店舗レイアウトや陳列・棚割りが大変重要になります。 買上点数は、お客様の導線(以下、客動線)の長さ、売場立寄率、商品買上率によって変動し、客動線を延ばすために店内レイアウトが工夫されています。そして、買上点数を増やすためには、さらに立ち寄ったお客様の買上率を上げる必要があります。買上率は「ついで買い」を促す売場づくりによって高めることができます。ポイントは、お客様が商品を見る確率である視認率を高めることです。そこで、本稿では陳列・棚割りの考え方について解説します。

左回りの法則

スーパーで買い物をしている女性のイメージ画像

店舗のメインとなる客動線(青果から始まるレイアウト)は、どのように考えられレイアウトが組まれているのでしょう。ほとんどの店舗が左回り(反時計回り)になっているかと思います。考えてみれば店舗だけでなく、野球のベースランニング、陸上競技のトラック、スケートリンクまで、多くが左回りとなっています(図表)。

これには人体の構造上、心臓が左側にあることや肝臓が右側にあることにより、重心のバランスを補正する動きが左回りになるといった説など諸説ありますが、人は迷ったときに無意識に左へ曲がる行動パターンがあるといわれます。

一方、お化け屋敷やジェットコースターの多くは、わざと逆の右回りに設計し、人の恐怖感や不安感をあおっています。ここで重要なことは、スーパーマーケットも同様に、人本来の心理や行動パターンに基づいているということです。特に陳列や棚割りに関する原理原則は、実証された科学的根拠があり、効果をあげるためには、まず基本となる法則を理解する必要があります。

<図表1>左回りの法則

左回りの法則のイメージ図

商品の視認率を上げる

スーパー陳列棚のイメージ画像

①縦(割り)陳列と横(割り)陳列の組み合わせ

縦陳列は多くの店舗で一般的に採用されている陳列方法で、醤油、味噌といった同じ品群(ライン)の商品を陳列棚の上段から下段まで縦にコーナー化して陳列することです(図表2)。通路幅で変動しますが、陳列棚の前に立ったときの人の横の視野の限度は、陳列台1台分(90120cm)の範囲と言われています。また、立ち止まってものを探すときの人の目は、横方向(左右)よりも縦方向(上下)に動く傾向があることも実証されています。縦割りは、この人の目線の動きに基づいた陳列方法で、主なメリットとして次の2点が挙げられます。

・売場(部門単位)の中で探している商品のコーナーが分かりやすい。

・商品が縦方向に整理されていることで、買い忘れを防ぐ。

横陳列は、縦陳列で品群単位にまとめた商品を、さらに用途・容量・ブランドなどでグループ化し、比較・検討しやすくするために行われます。例えば、濃口醤油や丸大豆醤油を横陳列にグループ化して並べることで、お客様は同じ目線で商品を比較・検討することができます。実際の店舗では、縦陳列と横陳列は組み合わされています。

<図表2>陳列の上下と左右の法則

陳列の上下と左右の法則を説明している画像

②上下の法則

陳列棚の縦方向の商品の配置で「棚のどの高さに、何を、どう置くか」を検討する際に考慮する法則です。一般的な考え方としては、次の項目があげられますが、陳列棚の種類や通路幅で異なります。

・軽いもの・小さいものを上、重いもの・大きいものを下に陳列(お客様の利便性や安全性を確保)

・ゴールデンゾーンに利益率の高い「売り筋商品」(売り込みたい商品)を陳列

・「売れ筋商品」(PI値の高い商品)は、場所が悪くても売れるためゴールデンゾーン以外に陳列

③左右の法則(図表3

横方向の商品の陳列の考え方で、「右利きが多い」「視線の左から右へ」といった人の特性を考慮して、商品の配置を考える法則です。一般的な考え方の基本としては、次の項目が挙げられます。

・売り込みたい商品は、中央もしくは右側に陳列(中央が最もお客様の視認率の高い場所であり、またお客様の多くが右利きであり、右手で商品を取ることが多いため。この法則を考慮してお客様が視認しやすいNBトップブランドの右隣に、育成したいPB商品を陳列する場合もよくあります)

・「育成商品」や「売り筋商品」を認知度の高い「売れ筋商品」の間、もしくは両サイドに陳列(サンドイッチ陳列。お客様の目に留まりやすくなります)

<図表3>陳列の左右の法則

陳列の左右の法則を説明している画像

④松竹梅の法則(図表4

商品の価格帯が三段階用意されている場合、お客様は中間の価格を選びやすいという心理から、高価格・中価格・低価格の3商品を並べて陳列し、売り筋商品を中価格にすることで販売を促進します。

 

<図表4>松竹梅の法則

松竹梅の法則を説明している画像

⑤Zの法則(図表5

お客様が陳列の前で商品を探すとき、視線は左→右、上→下に移動する傾向があります(横書きの文章に慣れているため)。その後の視線は左上から右側へ移動し、斜めに下段左側へ移って右側に流れ、「Z」を描くように動きます。そのため最初の左上には、お客様の購買意欲を高める「新商品」「目玉商品」、次の右利きが手に取りやすい右上には「売れ筋商品」、続く左下にはメリハリをつけて「育成商品」、最後の右下には利益率の高い「売り筋商品」を陳列することが効果的とされています。

 

<図表5>陳列のZの法則

陳列のZの法則を説明している画像

このようにスーパーマーケットの売場づくりは、経験や勘だけではなく、人間の行動心理や購買行動の研究成果に基づいて構築されています。陳列や棚割りの基本原則を理解することで、売場を見る視点が変わり、より効果的な店舗運営や商品提案につなげることができるでしょう。

(文)特定非営利活動法人JOFリンク 代表 小川英治
発行・編集文責:株式会社アール・アイ・シー  
代表取締役 毛利英昭

  • 当記事は2026年6月時点のものです。
    時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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