お客様が買いやすく、欠品や過剰在庫を減らす陳列・棚割りの基本

お店づくりトピックス

スーパー店内を買い物しているお客様のイメージイラスト

売場の商品は、棚割りによって「どの棚に」「どの商品を」「どの位置へ」「どれだけ配置するか」が計画されています。棚割りは単なる商品の並べ方ではなく、お客様に「何を、どう提案するか」という店舗の意思を反映した重要なものです。適切な棚割りによって、お客様は商品を探しやすくなり、短時間で快適に買物ができ、一方お店は売上の拡大を図りながら、欠品や過剰在庫を防ぎ、適正利潤をあげることができます。

棚割りの4つの考え方

スーパー陳列棚のイメージ画像

棚割りとは、商品を陳列棚の「どこに」「何を」「いくつ(どのくらい)」置くかを図面やリストで計画・決定することです。

まず、棚割りの4つの基本的な考え方についてご紹介します。

  1. アソートメント(品揃え)

    限りある売場の中で、お客様により豊富で必要とされる品揃えを実現する必要があり、企業の政策や店舗の状況で総合的に決定されるものです。

  2.  グルーピング(売場分類)

    品揃えした商品は陳列する際、お客様の利便性を考えて、用途・機能・ブランドなどでグループ化されます。この分類は、管理(台帳)上の商品分類とは別に、関連性や販売促進を考慮したものとなります。関連販売によって、お客様は短時間に便利な買物ができ、また買い忘れを防ぎ、企業側としてはついで買いを促し買上点数を増やすことができます。

  3. ゾーニング(店舗レイアウト・陳列位置)

    グループ化した商品を、どの陳列棚のどの位置に配置するかを決定することです。陳列位置については、陳列の上下左右の法則やゴールデンゾーン、関連性・連続性などを加味して決定されます。

  4. フェーシング(各商品のフェース数)

    棚割り作成の最終段階で、各商品のフェース数を決定することです。売れ筋商品はフェース数を拡大し、品切れによるチャンスロスを減らし、不振商品はフェースを縮小するなどして売場の生産性を高めます。同時に同じ棚の各商品の補充のタイミングを統一することで、作業量を減らすことができます。これをバスタブ理論といいます。バスタブ理論とは、商品の販売量に応じて陳列量を配分することで、棚全体の商品がほぼ同じタイミングで補充時期を迎えるという考え方です。(図表1)。

    <図表1>陳列のバスタブ理論

陳列のバスタブ理論をイメージしたイラスト

棚割りの変更(棚替え)

スーパーで品出しをしているスタッフのイメージ画像

生鮮食品や新商品などの入れ替えが早いスーパーマーケットでは、棚割りは一般的に次のタイミングを目安に変更されます。

  ①季節商品の入れ替え → 半期に一度の大幅な定番棚の棚替え(春夏型⇔秋冬型)。

  ②売れ筋商品の拡大と死に筋商品の縮小 → 適時

  ③新商品の導入 → 1カ月単位

  ④52週MDの運用 → 1週間単位

  ⑤セール・キャンペーン → 随時

 ただし、あまりに頻繁な棚割り変更はお客様を戸惑わせるとともに、作業負担も大きくなるため、適切な頻度を定めて定期的に行う必要があります。

また、陳列は必ず棚割り通りに行うようにします。勝手に変更すると意図した効果を得られません。欠品などで一時的に陳列を変更した場合は必ず元に戻すようにします。鮮魚売場など時間帯や売れ行きによって、商品の並べ替えなどで変更した棚割りは、開店時に元に戻すようにするのが良いでしょう。

陳列棚の陳列位置

スーパーで買い物をしているお客様のイメージ画像

ついで買いが多いスーパーマーケットでは、商品棚の陳列位置(高さ)による「目につきやすさ、手に取りやすさ」で商品の売れ行きは大きく変動します。一般的に最も売れる位置はゴールデンゾーンと呼ばれますが、定義はいくつかあり、以下の①〜③を同義とする場合もあります(図表2)。会社・店舗によっても定義が異なる場合があります。

陳列位置の基本は、棚の高さに合わせて置く商品の特徴を変える上下の法則に基づいて、通常最も売れる位置には利益率が高い商品や育成商品など売り筋(売り込みたい商品)を陳列します。

  ①ゴールデンライン:お客様が商品を最も見やすい目線(ライン)のことで、通常まっすぐ見た目線より20度下がったラインのこと。

  ②ゴールデンスペース:ゴールデンラインを中心に上に10度、下に20度の商品を見やすい(視認率の高い)範囲で、売上への影響が
            最も大きい場所。

  ③ゴールデンゾーン:ゴールデンスペースの中で商品を最も見やすく、さらに手に取りやすい範囲で、最も売れる場所。

  ④シルバーゾーン:ゴールデンラインの次に商品を見やすく、手に取りやすい場所。

<図表2>陳列棚とゴールデンゾーン

陳列棚とゴールデンゾーンのイメージイラスト

【陳列棚の種類とゴールデンゾーン】

  ①垂直型ゴンドラ : 目線から10度~20度下の範囲。女性(身長160cm前後)で床から約110140cm

  ②L字型ゴンドラ:目線から10度~20度下の範囲+最下段

  ③張り出し型ゴンドラ(青果など) : 最下段

  ④冷蔵ケース(鮮魚など):最下段

 

【通路幅とゴールデンゾーン】

  通路幅に比例してゴールデンスペースの範囲は変動します。

前進立体陳列

スーパー陳列棚を整えているスタッフのイメージ画像

前進陳列の目的や効果はよくご存知と思います(図表3)。前進立体陳列は、前出し陳列とも呼ばれ商品を棚の前方に立体的に高く陳列し、奥に行くほど高さを低く陳列する方法で、次のような効果があります。

  ①在庫数が少なくてもボリューム感が出る。

  ②商品が整然と並び、鮮度感や活気が出る。

  ③商品が前面にそろっているため、お客様が商品を手に取りやすくなる。

 

<図表3>前進陳列

前進陳列を説明したイメージイラスト

前進立体陳列のポイントは、商品を棚の前面に揃えて陳列し、背面が空いているように見えなくすることです。品出しや前出しの作業時に、常に陳列を豊富な印象に整えることが大切です。前進立体陳列の逆は、後退平面陳列と呼ばれ、商品が売れるにつれて奥に引っ込んだ状態で陳列に迫力がなくなり、お客様が商品を見つけにくく、販売が抑制されてしまいます。

 以上、セルフサービス・セルフセレクションを基本とするスーパーマーケットにおいて、陳列は、お客様に「選びやすく、買いやすい売場」を提供するだけでなく、売りたい商品を効果的に訴求し、利益の最大化につなげる重要な販促手法でもあります。

普段何気なく買い物をしているスーパーマーケットですが、このような陳列の工夫がなされているのです。

(文)特定非営利活動法人JOFリンク 代表 小川英治
発行・編集文責:株式会社アール・アイ・シー  
代表取締役 毛利英昭

  • 当記事は2026年7月時点のものです。
    時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
Toshiba Tec Group Philosophy Creating with You ともにつくる、つぎをつくる